イカれたやつらがやってきた!!

れんたろう

第4話町一番の職人ドルジ

町一番という割には、通りから遠く離れ随分と寂しい場所にあるもんだと思った。

中では、一発でわかる職人のおっさんが金槌でカンカン叩いて作業していた。

額に汗をかき、真剣な眼差しでモノづくりをするその姿は男の俺でも惚れ惚れする。

作っているものがチンコガードでなければ尊敬していたかもしれない。



「なんだ、小僧。これが欲しいのか」

「いらないです」



何だ冷やかしかとぶつぶつと文句言われたが、防具の店に来てそれ買う奇特なやつはこの世界に何人いるんだと思った。

俺に興味を無くし作業に戻る親方に俺はここに来た理由を告げた。



「ここは、防具店でしょ?買いに来たんですけど」

「ほう、お前みたいな新人がか?ここにあるものは一品ものだ。注文を受けてから作る。量産品じゃねえ。だから、お前さんみたいな新人が手を出せる代物じゃないんだよ。帰りな」



だが、ここで帰るわけにはいかない。

チンコガードを作ってるぐらいだから、俺が頼むものを作ってくれそうだ。



「あなたじゃないと、ダメなんです。俺の力は特殊すぎて普通の防具じゃ、ダメなんです」

「何言ってんだ、お前」

「とりあえず、見てください」



俺は、ズボンを脱いでスッポンポンになった。



「何してやがる!お前、そっちの気があるのか!?冗談じゃねえ!俺はノーマルだ!それ以上近づいたら殺す!いいな、本気だぞ!!」

「落ち着いてください。俺だってノーマルです。あ、それ一応借りますね」



チンコガードを装着し、スキルを唱えた。



「ゴッドレイクイエムモード!!」



股間から放たれる光は、チンコガードを破壊し解放された。

光に包まれたおかげで直接見えることはないのが唯一の救いだ。

体が高揚感で満たされていくのがわかる。

これが全能力が上昇しているということなんだろう。



「スキル解除」



光り輝いていた股間は落ち着き、成長した息子がこんにちわしていた。

上も解放の衝撃で吹き飛ぶことをしった。

最初の戦闘で股間だけだったのは、完全ではなかったからみたいだ。

ズボンをはいて、とりあえず下だけは隠した



「お前さん・・・一体何者だ?すげえ力を感じたが」

「俺にもわかりません、俺が望んだ力ではないことは確かです」

「そうか、まあお前さんがただの新人じゃないことは分かった。だが、悪いんだがお前さんの防具は作れない・・・」

「え!?何でですか!?お金なら用意しますよ」

「金じゃねえんだ」

「そう、俺たちがこれを持ってる限りこいつに自由はねえ」



そういって現れたのは、5人の男達だった。

手には一枚の紙が握られていた。



「これは、奴隷契約書。こいつには、借金があるからな。返し終わるまでは働き続けてもらわねえとな」

「おい、爺。俺の肩パッドは出来たか?」

「・・・さっき、無くなったわい」

「なにい!?ふざけんな!俺は登山家も恐れるなで肩なんだ!肩のところがぶかぶかになるだろうが!」



あれ、肩パッドだったのか・・・



「ちっ、躾が足りなかったか。次は怠けないように体に叩きこんでやる」



契約書が光ると、おっさんは胸を抑えて苦しみだした。

あの契約書が痛みを与えているらしい。



「ワシの事はいい、お前さんには関係のないことだ。ここから、通りにいったところにバンバの店がある。ワシの名前、ドルジの紹介で来たといえばよくしてくれるはずだ。いけ!」

「はあ?他人の心配してる場合か?おい、てめえらまだ足りねえみてえだからやっちまえ!」

「うす!」



5人で殴る蹴るの袋叩きにしている。

おっさんは、ただ耐えている。

俺は契約書を持つ男の腕を掴んだ。



「あ!?なんだ、てめえ。まだ居たのか。さっさと失せろ」



男たちは、殴るのをやめこちらを睨みつけている。

何かあれば、こちらにターゲットを変えるつもりなのだろう。

その喧嘩、買おうじゃないか。



「ゴッドレイクイエムモード」



解放の衝撃波が男たちを襲った。

転げまわりながら、体勢を整え男たちはわめき散らした。



「てめえ!何したかわかってんだろうな!そっちがやる気なら、相手になってやるよ!」



男たちは、次々と武器を抜いてスキルを唱えていく。

体にオーラが見える、あれは強化系のスキルのようだ。



ジリジリと間合いを詰める。

お互い動かない、何かの合図を待つかのように呼吸を整えその時を待つ。



――パキッ



誰が踏んだか何かが割れる音がし、全員が一斉に動き出した。

短剣3、格闘1、剣1と全員近接。

遠距離系はいないことが確認できたので、各個撃破することにした。



一番近くにいた、格闘の奴から撃破する。

ジャブのような連続パンチをフェイントに左の炎をまとったストレートを放つ。

ジャブを避けたあと、幻影霞斬りでストレートに分身をあて本体で必殺をあてる。

今度は、自分の攻撃が見えた。

ちんちんで敵の脇を抜きざまに斬りつけている。

内臓は破裂し、その体から何かが抜けていくのがわかる。



――レベルアップ

スキル獲得 【回転斬り】範囲技



「ヨファン!――どこにいった!」

「マッド!上だ!」



格闘の男を倒した時には、既に上空に飛び上がりスキルを確認し発動準備に入っていた。

目標地点は、奴らの中央。

そこで一網打尽にする。



「バカが!空中に逃げ場はねえ!」

「バカはそっちだ!」



空中で回転しスキルを発動した。

ちんちんが伸びて回転しはじめると重心がブレ、縦横無尽に斬りつける刃と化す。

間合いの外から伸びてきたちんちんに短剣の刃が届く前に顔に直撃し残りの奴らも同じ道をたどり絶命した。

間一髪、急所を外れた男もいたが右腕を失っている。

俺は落ちていた右腕に掴まれていた契約書をはぎ取ると、回転斬りで切り捨てた。



「はあ、はあ、てめえ、こんなことして、うちの組織が黙ってねえぞ!」

「なら、そいつらも粛清してやろう。神の名の元に」

「わけが、わからねえ、く、そが――」



男は、そのまま息を引き取った。



「おっさん、大丈夫か」

「ふ、ふはは!いや、助かった。ありがとうよ。もう何が何だかわからんが、お前さんがめちゃくちゃ強いことは分かった。奴隷からも解放されたしこれでまた自由に槌がふれる。防具を作って欲しいんだったな!まかせろ!ワシが最高の一品を作ってやる!」



差し出された手を力強く握りしめ、男の契約が結ばれた。

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