小説 中年おっさんの俺の下に、魔法少女達がやって来て、同棲して色々騒動があったりしつつ、世界を救う話

がおー

26.ファミレスについた。

僕達五人は座席についている。
僕と四人の少女達という組み合わせは、ウェイトレスに多いに怪しまれたが、気にしない事にした。
町中で魔物を倒しても、誰にも気づかれなかったのだ。この子達が来て以来、おかしな事が起きても都合良く公衆に気づかれやいない。きっと、怪しまれようが、問題無いだろう。
「スッスッスッ~♪、何食べ物ようかっス!」
「ふひっ、一番高い奴を楽しんでやるですっ!」
ミクちゃんと女神ちゃんはメニューを涎を滴ながら見ている。
「あわわ~、だ、駄目だよぉ~、救世主様に迷惑かかりそうな金額の物は・・・」
「そうよぉ、梓に女神様、救世主様、困っちゃうわよ、ねえ、救世主様」
そんな二人を、梓ちゃんと、菜野葉ちゃんは止める様に言っている。
「別に構わないよ、君達が、体を張って魔物と戦って稼いだお金だし、遠慮する必要は無いよ」
そうなのだ、僕の財布にある現金のほとんどはこの子達に稼いで貰ったのだ。
魔物を倒してお金を湧き出させるという、何とも奇妙な稼ぎ方で。
「そ、そう?でも、私達だって、救世主様にご褒美は貰ったし・・・」
顔を赤らめさせて、菜野葉ちゃんは言った。
「ご褒美って何?」
「・・・唾液を・・・」
さらに菜野葉ちゃんは顔を赤らめて言った。
聞き返さなきゃ良かったと思った。
「そんなものと、君達が働いて稼いだ金は比べものにならないよ」
「なるわよっ!」
バンっ!と菜野葉ちゃんはテーブルを叩いて語気を強める。
「救世主様の魔力たっぷりの唾液、救世主様の味がいっぱいでとってもとっても美味しい唾液、そんなものと比べたら、お金なんてどうでも良いものっ!」
顔を紅潮させて菜野葉ちゃんは言った。
他の二人の魔法少女もうんうんと頷く。
僕は周りを見渡してみると、辺りの人々は、驚きと軽蔑の混じった目で僕らを、いやっ、僕を見ている。
「ばっか!菜野葉ちゃん!大声で言う事じゃないだろう」
「ご、ごめんなさい、救世主様・・・」
僕が叱ると菜野葉ちゃんは縮こまる様に謝った。
「もう、このファミレスに居られないな。通報されかねない、出ようか、みんな」
僕がそう言って立ち上がろうとすると、
「大丈夫ですよっ」
と女神ちゃんは僕に席を座り続ける様促した。
「大丈夫なのか?」
「大丈夫ですよっ、誰も救世主様をロリコンだとか言って通報したりはしないのですよっ」
「そうか?」
「そうですっ、救世主様は救世主様なんですからっ」
女神ちゃんは、さも当然の事の様に言った。
そういう事ならそういう事なんだろう、深く追及するのは止めておく。
しかし、ファミレスである。
ファミレスというと、僕は、何となく嫌な気分になる。
「どうしたの?救世主様?」
菜野葉ちゃんが、僕の顔を覗き込む様に言った。
「どうしたって、何が?」
「うん、ちょっと、何か物憂げそうな表情になったから」
「え?そう?いや、何でもないよ、何でも・・・」
そう、誤魔化したが、菜野葉ちゃん、そして、ミクちゃんと、梓ちゃんまで、僕の方を見ていた。
「あー、何でもないって、何でも・・・」
三人に、心配されるほど、そんなに、落ち込んでいた様な顔をしていただろうか。
僕はただ、ふと嫌な思い出を思い出してしまっただけだった。
ファミレス・・・という、場所にまつわる嫌な思い出を
ガチャン!!
という皿が割れる音がした。
その音の方を見てみると、新人らしきウェイトレスが皿を落として割った様で、それを先輩らしきウェイトレスが叱っていた。
その光景は見覚えがあるものだった。

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