小説 中年おっさんの俺の下に、魔法少女達がやって来て、同棲して色々騒動があったりしつつ、世界を救う話

がおー

25.ともかく、もっと魔物を退治する為に、もっと住宅街を歩く事になった。

住宅地をこつこつ歩くと、ちらほら、人の形をした、陰の様な肉塊の様なものがチラホラ現れる。そいつらを菜野葉ちゃんは炎でミクちゃんは雷で梓ちゃんは葉っぱをぶつけて戦う。
梓ちゃんが杖を振るって飛ばす葉っぱは、弾丸の様に発射されて、公園の大岩をバターみたいに切り裂く威力だ。
凄いねと梓ちゃんを褒めてやると、梓ちゃんは照れ嬉しそうに微笑んだ。
魔力一体につき、500円前後のお金が沸いた。それを僕らは、午前中の時間を全て使って倒していたら、2万円前後の金になった。
こんなあっさりと僕の会社員時代の日給を超えるとは・・・、少し落ち込んだ。
「こんなたくさん・・・儲かるもんだなあ、魔物退治って」
「そうですよっ、お金なんて、魔物倒せば、手に入るもんですっ。社畜なんてしなくても、良い世界なんですよっ!」
女神ちゃんは言った。
「僕らが住んでいる世界は、いつの間に、魔物倒して金が入るのが常識な世界になったんだ?」
「それは救世主様が理不尽に感じる事柄は全て無くなってるからですっ。世界を救うのに、労働してお金を稼ぐなんてやってられないでしょっ?」
「うーん、そうかもしれないが・・・誰がそんな世界にしたの?魔物が?」
「それは、世界の意志ですっ!」
女神ちゃんはドヤッと微笑んで言う。
「世界の意志?」
「そうそう、救われたがっている世界が、救世主様に、自分を救って貰う為に世界を変えたのですっ」
「は、はあ、救われたがっている世界って誰?」
「世界ですっ」
・・・・・・女神ちゃんの説明をこれ以上聞いても無駄そうなのであった。
「ねえ、救世主様、お腹空かない?」
菜野葉ちゃんが聞いてきた。
そろそろ12時だ。確かに腹減ってきた。
「何か食べに生きたいっス!」
ミクちゃんが腕をパタパタ振って懇願している。
ちょうど良い、どこかのファミレスにでも入るか。
「良いよ」
と、快諾してあげた。
三人は「やったー」と喜びの声を上げた。
「・・・あのっ!救世主様っ」
梓ちゃんが僕の腕をぎゅっと抱きつく。
「な、何?」
「・・・魔力供給・・・お願いして良いですか?」
梓ちゃんは、そう、お願いしてきた。
僕を見ているその目は、少し湿っている気がする。
「いや、そのさ・・・」
「ダメ・・・ですか?」
梓ちゃんは、さらに目を湿らせた。
他の二人もジトッと僕の事を見ている。
「・・・ここ、住宅地だし、人の目とかあるから、家でね・・・」
何とか誤魔化す。そう、ここは公衆の面前なのだ。
そう言ったら、落胆する様に、顔をうつむかせる三人。
そ、そこまで魔力供給なるものをしたいのか・・・。
そういえば、僕らは住宅地を歩き回った訳だが、魔物を退治している間は、まったく人が現れなかった。
思えば最初の魔物の時だって、人の気配がしなかったな。
魔物が現れてる時は人間の世界から離脱しているかもしれない。
そんな事を考えてみたが、とにかく腹が減って来て、考えるのがめんどくさくなってきた。
「ほらっ、さっさと飯を食いに行くぞ」
と発破をかけてやると。
「はぁーい」
と三人は元気良く答えた。

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