小説 中年おっさんの俺の下に、魔法少女達がやって来て、同棲して色々騒動があったりしつつ、世界を救う話

がおー

18.机に突っ伏していた。

そんな僕にひそひそ声が聞こえた。
それは僕とは関係の無い他者同士の会話だったが、会話内容が容易に僕に聞こえて来る、いや、寧ろ、僕に聞かせている様なわざとらしい、会話だった。
その会話内容は、僕の一挙一動が気持ち悪いだの、何のために生きているのだの。
身勝手な誹謗中傷だった。
僕はそれらを無視して、机に突っ伏す。
休み時間は長い。授業時間が来るまで、ただ、僕は待つしかなくて・・・

「救世主様・・・」

「救世主っーー!」
「救世主様っ」
「救世主様ぁ」

耳元で大きな声が聞こえて、僕の頭が弾ける。
気付くと目の前には女神ちゃんの姿。
「あ、あれ・・・っ?」
「起きたみたいですねっ。良かった、救世主様、うなされていましたよっ?」
そう言って、目の前の女神ちゃんは、僕に顔を近づけて・・・キスをした。
「!?!?!?」
激しく狼狽する、あんな光景を見ていた後に、美少女にキスをされてしまったのだ。狼狽するしかない。
「あーっ、ずるいよ、女神様」
横から菜野葉ちゃんの不満そうな声が聞こえる。
「そうっス!、そうっス!ズルいズルい」
「女神様ぁ、あたし達だって、救世主様とキスしたいのにぃ・・・」
菜野葉ちゃんの横にいる二人の少女も女神ちゃんに抗議する。
・・・二人の少女・・・?
良く見ると、見知らぬ少女が二人居た。
「救世主様、おはよう!」
「おはようっス!救世主っ!」
「あの~、その~、救世主様ぁ・・・おはようございますぅ・・・」
菜野葉ちゃんと、横の二人の少女も僕に挨拶をしてくる。
「えっと・・・、ちょっと・・・、君達、誰?」
「うんっ、誰って?」
僕の問いに菜野葉ちゃんが聞き返した。
「その、横に居る二人の子の事だよ、誰かな?」
「ま、魔法少女です・・・」
「そうそう、救世主様をお守りする為にやって来たっス!」
気弱そうな子と快活そうな子が僕の問いに答える。
「やって来たって、どこから?」
「魔法の世界からっス!」
「いや、もう女神ちゃんと菜野葉ちゃんが居るから、間に合ってるけど」
「そ、そんな事言わずに・・・一生懸命救世主様をお守りするので・・・」
もしかして、居候がまた二人増える事になるのか?いやいや、困るぞ、この猫の額程の面積しかないアパート、住人が五人になるなんて正気の沙汰じゃない。
「えっ・・・と・・・帰ってくれない?」
お願いしてみた。
「いやっ!いやっス!」
「お、お願いします・・・私達、救世主様のお側以外、居場所が無いんです・・・」
どうみても美少女にしか見えない二人の少女は僕にしがみついて懇願してきた。
「あー・・・もう、取り敢えず、朝食作るから、雪、唯、ちょっと、手伝いなさいな」
いつの間にか、菜野葉ちゃんがエプロン着ている。
「う、うん、わかった、まどかちゃん」
「わかったっス、まどか」
そう言って、3人は台所へ行ってしまった。
「あ、コラ、人の話を聞いて・・・」
「まあ、良いじゃないですかっ、救世主様をお守りしたいって言ってますしっ」
僕の膝の上で寝転がる様に女神ちゃんは言った。
「なあ、女神ちゃん、あの子達は一体・・・」
「私が呼んだんですよっ、救世主様をお助けする為にっ」
女神ちゃんはニコニコ微笑んだ。
「お前のせいかー!」
女神ちゃんの頭を拳でぐりぐり圧をかけてやったら、痛い痛いと女神ちゃんは悲鳴を上げた。

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