後悔して転生できたから、好きに生きよう的物語

月田優魔

波乱の人間関係

今日は入学式を終えた次の日。
周りも少しずつグループができ、人間関係が構築され始めている。
もしこのスタートに出遅れれば1年間ぼっちという可能性もでてくるだろう。
だが、オレはその心配はなさそうだ。


「おはよう優真」


高校に入って初めてできた友達、湊にあいさつされる。


「おはよう湊、今日は早かったな」


「まぁね、優真は遅かったね」


「少し寝坊したんだ、昨日は色々と疲れてな」


昨日は玲花と一緒に買い物に出かけた。
しかし、疲れた原因は買い物ではなくアイツに捕まったことだろう。
クラスメイトの山岸カレン。
今も女子数人と談笑している。
山岸がこちら向いてきて、オレと目が合う。
すると、こちらに歩いて近づいてきた。


「おはよう優真、昨日はどうも」


上から目線で話しかけてきた。


「別に…ってか、なんで下の名前呼びなんだ?」


「妹さんと区別がつきにくいでしょ。アタシだって呼びたくないわよ」


呼びたくないなら呼ばなきゃいいのに…。
こっちとしては、妹と一緒にお前に会うことなんて避けたいんだから。


「アンタの妹さんってすごく美人よね。あれだったらアタシじゃなく妹さんを選ぶのも分かるわね」


「だから、シスコンじゃない」


昨日オレが山岸のことを知らない、といったのを相当根に持っているようで、嫌味を言ってきた。
わざわざ嫌味を言いに近くに来たようだ。


「まぁいいわ、今日の放課後一緒に帰らない?」


唐突にそんなことを言い出した。
いくらなんでも急すぎるだろ。


「用事もないし、別にいいけど…。でもなんでいきなり?」


「愚問ね、仲を深めるには下校を共にするべきでしょ」


それをオレに言ってしまっては意味がないような気がするけどな…。


「それじゃあ、放課後にね」


そう言うと、山岸は自分のグループに戻ってまた談笑を始めた。


「優真、山岸さんと知り合いだったの?」


今まで黙っていた湊がようやく口を開けた。


「そうだぜ優真、いつの間にカレンちゃんと仲良くなったんだよ?」


いつの間にか翔が後ろにいて、会話に割り込んできた。


「仲がいいってわけじゃない。昨日偶然買い物中に会っただけだ」


「それにしちゃぁ変じゃねえか。普通一緒に帰りたいなんて誘われるか?」


これ以上誤魔化すとかえって怪しまれる。
できれば話したくなかったがオレはくつ箱でのやり取りも話した。


「っと言うわけで、山岸から言い寄られているんだ」


説明し終わると翔は羨ましそうな視線を向けてきた。


「いいなあ、あの山岸カレンから言い寄られるなんて、憧れるぜ。この幸せものめっ」


このっこのっ、とひじで脇腹をつついてきた。


「大変そうだね」


お気の毒様、と湊も肩に手を置いてきた。
めんどくさそうではあるが、同時に面白そうでもある。
オレはそんな気持ちを胸に秘め、放課後を待った。

















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