後悔して転生できたから、好きに生きよう的物語
死、そして、転生
気がつくとオレは真っ白な何もない世界で1人でつっ立っていた。
境界線の彼方まで真っ白で本当に何もない。
オレは一番新しい記憶を思い出す。
(そういやオレは死んだのか?)
(ここはどこだ。もしかして死後の世界ってやつか?)
そんな風に1人で悩んでいると頭の中に声が響いてきた。
「もしもし、もしも〜し、こちらワシじゃが、聞こえておるか〜。聞こえておったら返事をせえ」
そんな呑気そうな老人の声が頭の中から聞こえてくる。
オレは一応返事をしてみた。
「はい、聞こえてますが・・」
「おおー、聞こえておったか、よかったよかった。ひと安心じゃわい。まずは魂の蘇生には成功したようじゃな」
魂の蘇生?それにこの真っ白な空間。
なにがなんだかわからない。
「あの〜、何がどうなっているんですか、ここは一体・・・」
「説明がまだじゃったな。そこは冥界といって言うなれば死後の世界じゃ。そしてワシは神じゃ」
「はあ・・・ってことはやっぱりオレは死んだってことですか」
「そういうことじゃな・・・って食いつくのそこっ!??神ってとこ、まさかのスルー!??」
ずっこけそうな声でそう言った。
神もノリツッコミするんだ・・・
「死を経験したからか、オレ冷静になってるみたいで」
「みたいじゃな、神のワシも驚くほど冷静に見えるわ」
「それで、何がなんだか説明してほしいんですけど・・・」
「そうじゃったな、では説明しよう。つい先日、ワシは久々に下界の様子を覗いていたんじゃ。すると、今にも死にそうになっている君を見つけてな、死ぬ瞬間を見ていたんじゃ。すると君は死ぬ直前、生まれ変わりたい、みたいなことを思っていたからな、君の過去を覗き見させてもらった。すると後悔ばかりであまりに不憫だったのでな、神の気まぐれで転生させてやることにしたんじゃ」
「はぁ…ありがとうございます」
現実感がなさすぎて、言われてもピンとこない。
っというかここ、現実じゃないんだった。
現実味がなくて当然か。
「なんじゃ、張り合いのない。もっと喜ぶかとおもっておったんじゃが、えらく覇気のない返事じゃな」
「ずっと望んでいたことですから嬉しいはずなんですが、なんか現実味がなくて素直に受け取れなくて…」
聞きたいことは山ほどあったが、転生できるならまあいいか。
その疑問は別に俺は知らなくてもいいことだしな。
「ついでじゃから、君の能力を底上げして特殊な能力もあげておいたから、下界で試してみるとよいぞ。じゃあ、悔いのないように頑張るのじゃぞ〜」
最後まで呑気な声の神に送られて、オレは生き返った。
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