元魔王の人間的無双
迷宮
「ここか」
オレは迷宮の入り口にたどり着いた。森の中に木が生えていない場所があり、そこの地面に地下へと続く階段があった。
迷宮は一度入ったら二度と地上へ戻れないと言われており、中には魔物がいると言われている。これらは家にいるときに知った知識であり、実際に入るのは初めてである。迷宮は転生前には無かったものであり、やはり興味深い。
オレは迷宮の中へと足を進めた。
迷宮の中は洞窟のようになっており、入り組んだ地形になっている。少し歩くと前の方から足音が聞こえる。目を凝らしてみると、熊のような魔物が近づいてくる。
「早速だな」
地上の生き物よりも一回りもふた回りも大きい。
熊は突然突進してきて大きな爪で攻撃してくる。
その攻撃をあっさりかわすと剣で首を撥ねとばす。
戦いはほんの一瞬で決着した。
まだ一階層目なだけあって魔物は弱い。
オレはミアを探すべく足を進めた。
10階層目に到着した。魔物も少しずつ強くなってきて一筋縄ではいかなくなってきている。それでもまだミアは見つかっていない。
(この階層はもう普通の人間がいられる場所じゃない)
(しかし、まだミアは見つかっていない)
(まさか、もう魔物に……………)
そんな考えが頭をよぎり始めたとき、
「おい、見つかったか?」
洞窟の奥から人の声が聞こえてきた。近づいてみると、三人組の男が周りを警戒しながらしゃべっている。
どうやらミアではなさそうだ。
オレと同じ、迷宮を攻略しにきたんだろうか?
物陰に隠れて様子を伺う。
「見つからねぇ。どうする?あの女、諦めるか?」
「いや、あれは相当な上玉だ。売れば結構な金になる」
「そうだぜ。それに売る前に一発ヤリてぇしな」
明らかに悪役のセリフである。どうやら人間の女を捕まえて売ろうとしているようだ。
それにしてもその人間の女が気になる。もしかしてミアなのではないだろうか。
オレは奴らから情報を聞き出すことにした。
「お前ら、こんなところで何してたんだ?」
男たちに話しかける。
「誰だっ!?」
男たちが勢いよくオレを睨みつける。
「通りすがりの魔法師だ。それより何の話をしてたんだ?」
「お前には関係ない」
邪険にあしらわれる。
「そう言わないでくれよ。オレもお前らが探してる女が気になるんだよ」
男たちが驚きの表情になる。
「………聞いてたのか?」
「その女のことを教えてくれないか?教えてくれたら女を見つけたらお前らに渡してもいい」
嘘である。しかし今は情報を聞き出すことが最優先。それにこんな奴らとの約束は守るに値しない。
男たちは悩んだ末に教えてくれた。
「………いいだろう。女の名前はミア・マレイラ。チベット村の女でショートヘアーが特徴的だ。見つけたらちゃんと俺たちに渡せよ」
「分かった」
オレは何が分かったのかは口にせず、無言で手を前にかざす。
「……?」
男たちは何をしているのか分かっていないといった様子だった。オレは《基礎雷魔法》を発動し電撃を飛ばす。
三人の身体が電撃で光り輝き、煙を上げて崩れ落ちる。
「て、てめぇ……………っ」
「お前らは用済みだ。じゃあな」
さらに《基礎雷魔法》を浴びせて気絶させる。
そんな時、突然奥から悲鳴が聞こえてくる。
「うあぁああああああああっ!!助けてぇええええええええ!!」
人間の女が走ってこちらに近づいてくる。後ろに大きな魔物を引き連れている。逃げてくる女のその姿は話に聞いたミア・マレイラとそっくりだった。
オレは魔物に向かって走り出すと、剣に魔力を込めて魔物を真っ二つに切り裂く。
「大丈夫か?」
ミアが恐る恐る近くに寄ってくる。
「は、はい。ありがとうございます」
「君がミア・マレイラか?」
「はい、そうです。……私のことを知ってるんですか?」
「君のお父さんに君を助けてほしいと頼まれたんだ」
ミアは目を見開いて驚く。
「そうだったんですか。………私、三人組の男の人に追われていて、それでこの迷宮に逃げ込んだんです」
「それってあいつらだろ」
オレは気絶している男たちを指差して説明する。
「そ、そうです!あの人たちです!もしかして、あなたが倒してくれたんですか?」
オレは肯定の意味を込めて縦に頷く。
「ありがとうございます!!あの、お名前は?」
「ガゼル・レイヴァルドだ。よろしくミア」
「よろしくお願いします、ガゼルさん」
ミアの表情が最初より柔らかくなっている。オレと出会ったことで安心したようだ。
「ついでだからこの迷宮を攻略しようと思うんだが、構わないか?」
「はい。私はガゼルさんについていきます」
オレたちはさらに下の階層を目指し歩き出した。
オレは迷宮の入り口にたどり着いた。森の中に木が生えていない場所があり、そこの地面に地下へと続く階段があった。
迷宮は一度入ったら二度と地上へ戻れないと言われており、中には魔物がいると言われている。これらは家にいるときに知った知識であり、実際に入るのは初めてである。迷宮は転生前には無かったものであり、やはり興味深い。
オレは迷宮の中へと足を進めた。
迷宮の中は洞窟のようになっており、入り組んだ地形になっている。少し歩くと前の方から足音が聞こえる。目を凝らしてみると、熊のような魔物が近づいてくる。
「早速だな」
地上の生き物よりも一回りもふた回りも大きい。
熊は突然突進してきて大きな爪で攻撃してくる。
その攻撃をあっさりかわすと剣で首を撥ねとばす。
戦いはほんの一瞬で決着した。
まだ一階層目なだけあって魔物は弱い。
オレはミアを探すべく足を進めた。
10階層目に到着した。魔物も少しずつ強くなってきて一筋縄ではいかなくなってきている。それでもまだミアは見つかっていない。
(この階層はもう普通の人間がいられる場所じゃない)
(しかし、まだミアは見つかっていない)
(まさか、もう魔物に……………)
そんな考えが頭をよぎり始めたとき、
「おい、見つかったか?」
洞窟の奥から人の声が聞こえてきた。近づいてみると、三人組の男が周りを警戒しながらしゃべっている。
どうやらミアではなさそうだ。
オレと同じ、迷宮を攻略しにきたんだろうか?
物陰に隠れて様子を伺う。
「見つからねぇ。どうする?あの女、諦めるか?」
「いや、あれは相当な上玉だ。売れば結構な金になる」
「そうだぜ。それに売る前に一発ヤリてぇしな」
明らかに悪役のセリフである。どうやら人間の女を捕まえて売ろうとしているようだ。
それにしてもその人間の女が気になる。もしかしてミアなのではないだろうか。
オレは奴らから情報を聞き出すことにした。
「お前ら、こんなところで何してたんだ?」
男たちに話しかける。
「誰だっ!?」
男たちが勢いよくオレを睨みつける。
「通りすがりの魔法師だ。それより何の話をしてたんだ?」
「お前には関係ない」
邪険にあしらわれる。
「そう言わないでくれよ。オレもお前らが探してる女が気になるんだよ」
男たちが驚きの表情になる。
「………聞いてたのか?」
「その女のことを教えてくれないか?教えてくれたら女を見つけたらお前らに渡してもいい」
嘘である。しかし今は情報を聞き出すことが最優先。それにこんな奴らとの約束は守るに値しない。
男たちは悩んだ末に教えてくれた。
「………いいだろう。女の名前はミア・マレイラ。チベット村の女でショートヘアーが特徴的だ。見つけたらちゃんと俺たちに渡せよ」
「分かった」
オレは何が分かったのかは口にせず、無言で手を前にかざす。
「……?」
男たちは何をしているのか分かっていないといった様子だった。オレは《基礎雷魔法》を発動し電撃を飛ばす。
三人の身体が電撃で光り輝き、煙を上げて崩れ落ちる。
「て、てめぇ……………っ」
「お前らは用済みだ。じゃあな」
さらに《基礎雷魔法》を浴びせて気絶させる。
そんな時、突然奥から悲鳴が聞こえてくる。
「うあぁああああああああっ!!助けてぇええええええええ!!」
人間の女が走ってこちらに近づいてくる。後ろに大きな魔物を引き連れている。逃げてくる女のその姿は話に聞いたミア・マレイラとそっくりだった。
オレは魔物に向かって走り出すと、剣に魔力を込めて魔物を真っ二つに切り裂く。
「大丈夫か?」
ミアが恐る恐る近くに寄ってくる。
「は、はい。ありがとうございます」
「君がミア・マレイラか?」
「はい、そうです。……私のことを知ってるんですか?」
「君のお父さんに君を助けてほしいと頼まれたんだ」
ミアは目を見開いて驚く。
「そうだったんですか。………私、三人組の男の人に追われていて、それでこの迷宮に逃げ込んだんです」
「それってあいつらだろ」
オレは気絶している男たちを指差して説明する。
「そ、そうです!あの人たちです!もしかして、あなたが倒してくれたんですか?」
オレは肯定の意味を込めて縦に頷く。
「ありがとうございます!!あの、お名前は?」
「ガゼル・レイヴァルドだ。よろしくミア」
「よろしくお願いします、ガゼルさん」
ミアの表情が最初より柔らかくなっている。オレと出会ったことで安心したようだ。
「ついでだからこの迷宮を攻略しようと思うんだが、構わないか?」
「はい。私はガゼルさんについていきます」
オレたちはさらに下の階層を目指し歩き出した。
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