元魔王の人間生活
模擬戦
特別演習室を使うためには生徒会長の許可が必要になる。ガゼルとオリビアは生徒会室に足を運んでいた。
「ようこそ。俺が生徒会長のキース・グランハルトだ。それで、1年生が俺に何の用かな?」
好戦的そうな目つきの男だった。
「特別演習室をお借りしたいんです」
「その理由は?」
「オレとオリビアで模擬戦をするためです」
キースは眉をひそめ、訝しげな視線を向けてくる。
「お前たちでは勝負にならないんじゃないか?ハーマニーは首席でレイヴァルドは二軍の中でも下の方だったと記憶しているが……」
「そうなんです!」
オリビアが突然大きな声をあげる。
「なのにコイツは自分の方が上だった言ってくるんです!」
オリビアがガゼルを激しく睨む。
「言ったのはオレじゃないんだけどな」
ガゼルは一応反論しておいた。自分で言ってないという部分は大切なところだからだ。
「つまり、周りの人間がレイヴァルドの方が上だと思っているのをハーマニーは自分が上だと証明したいと?」
「そうです」
オリビアは迷わず言い切る。オリビアは自尊心が高いようで、自分のことを周囲に認めさせたいようだった。
「レイヴァルドはなぜ受けたんだ?」
キースは今度はガゼルに話を振る。どうやらキースは模擬戦をするに至った経緯を知ろうとしているようだ。
「戦いはやってみないと分からないし、それに………オレにも負けられない理由があるんで」
「………いいだろう。お前ら二人の特別演習室の使用を許可してやる。ただし審判はこの俺が直々にさせてもらう」
「ありがとうございます。失礼します」
生徒会長の許しを得てガゼルとオリビアは生徒会室にを後にした。
特別演習室でガゼルとオリビアは向かい合っていた。審判にはキースが、部屋の片隅にミアとクシェルが見守っている。
「よく逃げずにきたわね」
「逃げるわけにはいかないからな」
お互いの視線が交錯しあう。
キースが二人に視線を送り、ルール説明をする。
「いいか。どちらかが戦闘不能になるか、危険だと判断して俺が止めに入るまで戦闘を続けること。それではーーーーー始め!!」
まずはガゼルから仕掛ける。
《火魔法》火弾をオリビアに向けて放つ。
オリビアは《障壁魔法》でその攻撃をガードする。
その隙にガゼルはオリビアの懐に潜り込んでいた。
右拳をオリビアの顔面目掛けて繰り出す。
オリビアは間一髪その攻撃をよけるとガゼルから大きく距離を取る。
「………今の、なに?」
オリビアはガゼルに訊ねる。今の、とは一瞬で距離を詰めたことだろう。
「特殊な歩行術で一瞬で距離を詰める《縮地》。魔法じゃないから、この学院の評価方法では測れない」
再びガゼルが《縮地》で距離を詰めると今度は左手で掌底打ちを繰り出す。
しかし《障壁魔法》で防がれて攻撃は届かない。
オリビアは再び大きく後ろに距離を取ると、《火魔法》火炎滅却砲の魔法陣を展開する。
直撃すれば火傷では済まない。黒焦げの炭になってしまうだろう。
しかし、オリビアの魔法陣は発動前に吹き飛ばされた。
「なっ………!?」
オリビアから思わず声が漏れる。その隙にガゼルは《縮地》で距離を詰め、腹部に拳を繰り出す。
「ッ!!?」
そのままオリビアは腹を抱えてうずくまった。
ガゼルはうずくまるオリビアに手刀を振り下ろそうととする。
「それまで!勝者ガゼル・レイヴァルド」
キースが試合の終了を宣言する。
「やりましたね、ガゼルさん」
ミアが喜びながら近づいてくる。
「まあな。今回はお前のお陰で勝てた。ありがとな」
「そんな。私のお陰だなんて……」
ミアが嬉しそうにモジモジしている。
「………なんだ……?今のは?」
ようやくダメージから回復したオリビアがガゼルに訊ねる。
「魔力そのものを圧縮して飛ばして、魔法陣を吹き飛ばしてしまう対抗魔法だ。これも少し普通の魔法とは違うから、評価されない」
ガゼルは学院の評価方法とは違う魔法や技を使っていた。これで後始末が簡単だ。
「学院の評価はあてにならないってことね………勉強になったわ」
オリビアは悔しそうだったが、どこか清々しかった。
「おもしろい」
キースがガゼルをじっと眺めていた。
「ようこそ。俺が生徒会長のキース・グランハルトだ。それで、1年生が俺に何の用かな?」
好戦的そうな目つきの男だった。
「特別演習室をお借りしたいんです」
「その理由は?」
「オレとオリビアで模擬戦をするためです」
キースは眉をひそめ、訝しげな視線を向けてくる。
「お前たちでは勝負にならないんじゃないか?ハーマニーは首席でレイヴァルドは二軍の中でも下の方だったと記憶しているが……」
「そうなんです!」
オリビアが突然大きな声をあげる。
「なのにコイツは自分の方が上だった言ってくるんです!」
オリビアがガゼルを激しく睨む。
「言ったのはオレじゃないんだけどな」
ガゼルは一応反論しておいた。自分で言ってないという部分は大切なところだからだ。
「つまり、周りの人間がレイヴァルドの方が上だと思っているのをハーマニーは自分が上だと証明したいと?」
「そうです」
オリビアは迷わず言い切る。オリビアは自尊心が高いようで、自分のことを周囲に認めさせたいようだった。
「レイヴァルドはなぜ受けたんだ?」
キースは今度はガゼルに話を振る。どうやらキースは模擬戦をするに至った経緯を知ろうとしているようだ。
「戦いはやってみないと分からないし、それに………オレにも負けられない理由があるんで」
「………いいだろう。お前ら二人の特別演習室の使用を許可してやる。ただし審判はこの俺が直々にさせてもらう」
「ありがとうございます。失礼します」
生徒会長の許しを得てガゼルとオリビアは生徒会室にを後にした。
特別演習室でガゼルとオリビアは向かい合っていた。審判にはキースが、部屋の片隅にミアとクシェルが見守っている。
「よく逃げずにきたわね」
「逃げるわけにはいかないからな」
お互いの視線が交錯しあう。
キースが二人に視線を送り、ルール説明をする。
「いいか。どちらかが戦闘不能になるか、危険だと判断して俺が止めに入るまで戦闘を続けること。それではーーーーー始め!!」
まずはガゼルから仕掛ける。
《火魔法》火弾をオリビアに向けて放つ。
オリビアは《障壁魔法》でその攻撃をガードする。
その隙にガゼルはオリビアの懐に潜り込んでいた。
右拳をオリビアの顔面目掛けて繰り出す。
オリビアは間一髪その攻撃をよけるとガゼルから大きく距離を取る。
「………今の、なに?」
オリビアはガゼルに訊ねる。今の、とは一瞬で距離を詰めたことだろう。
「特殊な歩行術で一瞬で距離を詰める《縮地》。魔法じゃないから、この学院の評価方法では測れない」
再びガゼルが《縮地》で距離を詰めると今度は左手で掌底打ちを繰り出す。
しかし《障壁魔法》で防がれて攻撃は届かない。
オリビアは再び大きく後ろに距離を取ると、《火魔法》火炎滅却砲の魔法陣を展開する。
直撃すれば火傷では済まない。黒焦げの炭になってしまうだろう。
しかし、オリビアの魔法陣は発動前に吹き飛ばされた。
「なっ………!?」
オリビアから思わず声が漏れる。その隙にガゼルは《縮地》で距離を詰め、腹部に拳を繰り出す。
「ッ!!?」
そのままオリビアは腹を抱えてうずくまった。
ガゼルはうずくまるオリビアに手刀を振り下ろそうととする。
「それまで!勝者ガゼル・レイヴァルド」
キースが試合の終了を宣言する。
「やりましたね、ガゼルさん」
ミアが喜びながら近づいてくる。
「まあな。今回はお前のお陰で勝てた。ありがとな」
「そんな。私のお陰だなんて……」
ミアが嬉しそうにモジモジしている。
「………なんだ……?今のは?」
ようやくダメージから回復したオリビアがガゼルに訊ねる。
「魔力そのものを圧縮して飛ばして、魔法陣を吹き飛ばしてしまう対抗魔法だ。これも少し普通の魔法とは違うから、評価されない」
ガゼルは学院の評価方法とは違う魔法や技を使っていた。これで後始末が簡単だ。
「学院の評価はあてにならないってことね………勉強になったわ」
オリビアは悔しそうだったが、どこか清々しかった。
「おもしろい」
キースがガゼルをじっと眺めていた。
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