魔法学院の裏の魔法使い
パレード
その日の放課後オレは教室で静かに座っていた。
周りでは、話し込んだり家に帰ったりと様々である。
このディアフォード魔法学院は全寮制なので今日から帰る家は敷地内にある寮になる。
「お前は帰らないのか?」
隣の席で本を読んで帰ろうとしないオリビアに声をかける。
「これを読んだら帰るわ。あなたはどうなの?」
「オレはまだ帰らない」
どうせ寮に戻っても1人ですることもない。それなら学校に残っていた方がいいだろう。
クシェルも寮に帰らないみたいで1人で席に座っている。
「クシェルは帰らないのか?」
クシェルの席に近づき声をかける。
「私はまだいいかな。ガゼルは帰らないの?」
「オレもまだいい。帰ってもすることなんてないしな。よかったらこの学校の中を見て回らないか?」
「どういうこと?」
「オレたちこの学校に来たばっかりだろ。中を見ておくんだよ」
この学院はとてつもなく広い。中の構造などを把握しておきたい。
「いいよ」
オレとクシェルは学院内を見に行った。
「色々あったな」
オレたちは中庭を歩いていた。
「そうだね。サークルっていうのがいっぱいあってびっくりしたよ」
敷地の中にはサークル棟というのがあり、様々なサークルがあった。魔法生物を研究するサークルや自然を楽しむサークルなど様々だった。
「入りたいサークルはあったか?」
「特になかったかな。ガゼルは?」
「オレも特に」
クシェルもオレと同じように興味がないようだ。
中庭を歩いていると、そこでは亜人族の見せ物や魔法生物のパレードなどをやっていた。兎のような耳が生えている人間や猿のような体毛と尻尾がある人間、全身真っ黒で目がいくつもある怪物やツノが生えた馬のような生物など多種多様である。
それらが踊ったり行列を作ったりしていた。
「オレこういう初めて見るよ」
「……かわいそう」
ポツリと悲しげな瞳で呟くクシェル。
「亜人族は人間並みの知能もあって言葉も話せるのに特異な身体をしているからって見せ物にされて……」
「……そうだな」
オレは一応同意しておいた。優しくて理解のある人間はそう思ってくれるだろうが世の中そう簡単ではない。見た目や憶測で恐れられ迫害されるなどはよくあることだ。
「やっぱりそう思いますよね?」
突然後ろから声をかけられる。後ろを振り向くと明るい茶髪にウェーブのかかった女の子が同じく悲しそうな目で亜人族たちに視線を向けている。
「私もかわいそうだと思うんです。けど、世論は亜人族には人権はいらないって……。だから私はこの学校で学んで亜人族に人権を与えたいんです」
熱のこもった言葉で夢を語っている女の子にこちらから声をかける。
「君は確か同じクラスの……」
すると我に返ったようで慌てたように頭を下げる。
「ご、ごめんなさい。つい熱くなってしまって。私はミア・マレイラといいます。私と同じことを考えている人を見つけたのが嬉しくて」
「そっか。オレはガゼル・レイヴァルド、こっちがクシェル・ダーマイス。よろしくミア」
「よろしくお願いします」
オレたちは教室に戻っていった。
ミアとクシェルは先に2人で寮に帰っていった。オレは1人で教室に戻る。
もう時刻も遅くなっていたので教室には誰もいなかった………と見せかけて1人だけいた。
「まだ帰ってなかったのかよ」
オリビア・ハーマニーである。
「余計なお世話よ。もう帰るわ」
「まったく、何やってんだか」
オレは少し呆れてため息をついた。
それが気に入らなかったのかこちらに視線を向けてくる。
「何だよ」
「前から思ってたけど、あなたって首席の私相手でも物怖じしないわよね。普通の人は話しかけてこないのにあなたは普通に話しかけてくるもの。鬱陶しいわ」
鋭い視線でこちらを睨んでくる。
「悪かったな」
鬱陶しいなら無理に話しかける必要はないだろう。
これからはあまり話しかけないほうがいいな。
「それは生意気だから話しかけてくるのかしら、それとも鈍感で無神経だからかしら、それとも………実力があって自信があるからかしら」
「………何が言いたいんだ?」
言いたいことが分からず素直に訊ねる。
「私の雰囲気に気圧されずに会話ができるのは何故なのか少し気になるわ。だから私と模擬戦をしなさい」
「は?」
「私と戦うのよ。あなたの実力を見せて」
話が飛躍し過ぎている気がする。さっぱり意味が分からない。
「断ったら?」
「あなたと二度と話さない。明日、食堂にも行かない」
明日食堂に行ってくれないのは困る。
こうなったら、実力を周りに示した方がいいだろう。
「分かった。その勝負を受けるよ」
オレは戦うことを決めた。
周りでは、話し込んだり家に帰ったりと様々である。
このディアフォード魔法学院は全寮制なので今日から帰る家は敷地内にある寮になる。
「お前は帰らないのか?」
隣の席で本を読んで帰ろうとしないオリビアに声をかける。
「これを読んだら帰るわ。あなたはどうなの?」
「オレはまだ帰らない」
どうせ寮に戻っても1人ですることもない。それなら学校に残っていた方がいいだろう。
クシェルも寮に帰らないみたいで1人で席に座っている。
「クシェルは帰らないのか?」
クシェルの席に近づき声をかける。
「私はまだいいかな。ガゼルは帰らないの?」
「オレもまだいい。帰ってもすることなんてないしな。よかったらこの学校の中を見て回らないか?」
「どういうこと?」
「オレたちこの学校に来たばっかりだろ。中を見ておくんだよ」
この学院はとてつもなく広い。中の構造などを把握しておきたい。
「いいよ」
オレとクシェルは学院内を見に行った。
「色々あったな」
オレたちは中庭を歩いていた。
「そうだね。サークルっていうのがいっぱいあってびっくりしたよ」
敷地の中にはサークル棟というのがあり、様々なサークルがあった。魔法生物を研究するサークルや自然を楽しむサークルなど様々だった。
「入りたいサークルはあったか?」
「特になかったかな。ガゼルは?」
「オレも特に」
クシェルもオレと同じように興味がないようだ。
中庭を歩いていると、そこでは亜人族の見せ物や魔法生物のパレードなどをやっていた。兎のような耳が生えている人間や猿のような体毛と尻尾がある人間、全身真っ黒で目がいくつもある怪物やツノが生えた馬のような生物など多種多様である。
それらが踊ったり行列を作ったりしていた。
「オレこういう初めて見るよ」
「……かわいそう」
ポツリと悲しげな瞳で呟くクシェル。
「亜人族は人間並みの知能もあって言葉も話せるのに特異な身体をしているからって見せ物にされて……」
「……そうだな」
オレは一応同意しておいた。優しくて理解のある人間はそう思ってくれるだろうが世の中そう簡単ではない。見た目や憶測で恐れられ迫害されるなどはよくあることだ。
「やっぱりそう思いますよね?」
突然後ろから声をかけられる。後ろを振り向くと明るい茶髪にウェーブのかかった女の子が同じく悲しそうな目で亜人族たちに視線を向けている。
「私もかわいそうだと思うんです。けど、世論は亜人族には人権はいらないって……。だから私はこの学校で学んで亜人族に人権を与えたいんです」
熱のこもった言葉で夢を語っている女の子にこちらから声をかける。
「君は確か同じクラスの……」
すると我に返ったようで慌てたように頭を下げる。
「ご、ごめんなさい。つい熱くなってしまって。私はミア・マレイラといいます。私と同じことを考えている人を見つけたのが嬉しくて」
「そっか。オレはガゼル・レイヴァルド、こっちがクシェル・ダーマイス。よろしくミア」
「よろしくお願いします」
オレたちは教室に戻っていった。
ミアとクシェルは先に2人で寮に帰っていった。オレは1人で教室に戻る。
もう時刻も遅くなっていたので教室には誰もいなかった………と見せかけて1人だけいた。
「まだ帰ってなかったのかよ」
オリビア・ハーマニーである。
「余計なお世話よ。もう帰るわ」
「まったく、何やってんだか」
オレは少し呆れてため息をついた。
それが気に入らなかったのかこちらに視線を向けてくる。
「何だよ」
「前から思ってたけど、あなたって首席の私相手でも物怖じしないわよね。普通の人は話しかけてこないのにあなたは普通に話しかけてくるもの。鬱陶しいわ」
鋭い視線でこちらを睨んでくる。
「悪かったな」
鬱陶しいなら無理に話しかける必要はないだろう。
これからはあまり話しかけないほうがいいな。
「それは生意気だから話しかけてくるのかしら、それとも鈍感で無神経だからかしら、それとも………実力があって自信があるからかしら」
「………何が言いたいんだ?」
言いたいことが分からず素直に訊ねる。
「私の雰囲気に気圧されずに会話ができるのは何故なのか少し気になるわ。だから私と模擬戦をしなさい」
「は?」
「私と戦うのよ。あなたの実力を見せて」
話が飛躍し過ぎている気がする。さっぱり意味が分からない。
「断ったら?」
「あなたと二度と話さない。明日、食堂にも行かない」
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