頭脳派ゲーム世界の黒幕
入学式
今日は入学初日のため、入学式がある。
入学式の会場である体育館に入ると、五百人はいるかというぐらいの人が学年別に列を作り並んでいた。一年生の列を見つけるとオレと樟葉も並んで加わる。入学式まではまだ時間があるようで周りでは騒がしく近くの人と話している。
「間に合ってよかったね」
「ほんとギリギリだったな。入学早々遅刻するところだった」
「私は絡まれたから遅くなったんだけど、夜神くんは元々遅かったんだね」
「………うっさいわ」
「新入生諸君、静粛に!学園長が登壇される!」
教員の声が響き、騒がしくしていた生徒たちが口を閉ざす。静寂が戻った頃合いで壇上に一人の男が現れる。
「私が希望ヶ丘学園学園長の藤堂です」
見た感じ50歳前後の男性でスーツを着ている。
「新入生諸君、まずは入学おめでとう。この学校が君たちが三年間学ぶことになる学び舎です。校風は徹底した実力主義。力ある者は生き残り、力なき者は淘汰される、そういう世界です。皆さんも持てる力を全て使い勝利を掴み取ってください」
ありきたりな挨拶を聞いていると、突然学園長が壇上で手をあげる。
「突然ですが今から私とジャンケンをします」
いきなりのジャンケン宣言にわけがわからず、新入生たちはお互い顔を見合わせる。オレも意味がわからず樟葉と視線を合わせる。
「私はグーを出します。いいですか。最初はグー、ジャンケンーーー」
オレは慌ててパーを出す。
「ポン」
しかし、学園長のあげられた手はチョキを出していた。周りを見渡すとほとんどの生徒が学園長の言葉を信じてパーを出している。
「私にジャンケンで負けた人は退学です」
生徒たちの間に動揺が走る。そのあまりに理不尽な物言いに新入生の中から異議が飛ぶ。
「そんなっ!?学園長はグーを出すと言ったじゃないですか!!」
「はい。言いましたけど、それが何か?」
学園長は全く悪びれる様子もなくそう口にする、
「グーを出すことを契約書にサインしたわけでも、確約したわけでもありません。それなのに何故その言葉を鵜呑みにしたのですか?」
「そ、それは………」
「嘘を言っている可能性を考えなかったのですか?姑息な手であろうとも負けは負けだ、と言われてしまえば言い逃れはできませんよ」
学園長は楽しそうに生徒たちを壇上から見下ろしている。
「勝負とはこういう世界です。相手の策を見抜き裏を読む。皆さんも敗北者にならないように努力しなさい。これからの君たちの活躍を楽しみにしています。あ、それと、退学というのは嘘です」
またしても嘘をついていた。この学園長の話は話半分に聞いていた方がよさそうだ。
一癖も二癖もある学校のようで今から先が思いやられる。
学園長が壇上から降りる。
「ありがとうございました。これをもちまして入学式を閉会させていただきます。新入生たちは決められた教室へと向かってください」
生徒たちが散らばり自分たちの教室へと向かっていく。自分の教室は掲示板に貼り出されてあった。
「樟葉は何組だった?」
「4組だよ。夜神くんは?」
「オレも4組だ」
偶然にもオレたちは同じクラスだった。
「不良から助けられてクラスも同じ。運命感じちゃうかも」
「そうかもな」
からかうような口調だったので適当に流しておく。
樟葉とはこれからも長い付き合いになりそうだ。
オレたちは自分の教室へと向かって歩きだした。
入学式の会場である体育館に入ると、五百人はいるかというぐらいの人が学年別に列を作り並んでいた。一年生の列を見つけるとオレと樟葉も並んで加わる。入学式まではまだ時間があるようで周りでは騒がしく近くの人と話している。
「間に合ってよかったね」
「ほんとギリギリだったな。入学早々遅刻するところだった」
「私は絡まれたから遅くなったんだけど、夜神くんは元々遅かったんだね」
「………うっさいわ」
「新入生諸君、静粛に!学園長が登壇される!」
教員の声が響き、騒がしくしていた生徒たちが口を閉ざす。静寂が戻った頃合いで壇上に一人の男が現れる。
「私が希望ヶ丘学園学園長の藤堂です」
見た感じ50歳前後の男性でスーツを着ている。
「新入生諸君、まずは入学おめでとう。この学校が君たちが三年間学ぶことになる学び舎です。校風は徹底した実力主義。力ある者は生き残り、力なき者は淘汰される、そういう世界です。皆さんも持てる力を全て使い勝利を掴み取ってください」
ありきたりな挨拶を聞いていると、突然学園長が壇上で手をあげる。
「突然ですが今から私とジャンケンをします」
いきなりのジャンケン宣言にわけがわからず、新入生たちはお互い顔を見合わせる。オレも意味がわからず樟葉と視線を合わせる。
「私はグーを出します。いいですか。最初はグー、ジャンケンーーー」
オレは慌ててパーを出す。
「ポン」
しかし、学園長のあげられた手はチョキを出していた。周りを見渡すとほとんどの生徒が学園長の言葉を信じてパーを出している。
「私にジャンケンで負けた人は退学です」
生徒たちの間に動揺が走る。そのあまりに理不尽な物言いに新入生の中から異議が飛ぶ。
「そんなっ!?学園長はグーを出すと言ったじゃないですか!!」
「はい。言いましたけど、それが何か?」
学園長は全く悪びれる様子もなくそう口にする、
「グーを出すことを契約書にサインしたわけでも、確約したわけでもありません。それなのに何故その言葉を鵜呑みにしたのですか?」
「そ、それは………」
「嘘を言っている可能性を考えなかったのですか?姑息な手であろうとも負けは負けだ、と言われてしまえば言い逃れはできませんよ」
学園長は楽しそうに生徒たちを壇上から見下ろしている。
「勝負とはこういう世界です。相手の策を見抜き裏を読む。皆さんも敗北者にならないように努力しなさい。これからの君たちの活躍を楽しみにしています。あ、それと、退学というのは嘘です」
またしても嘘をついていた。この学園長の話は話半分に聞いていた方がよさそうだ。
一癖も二癖もある学校のようで今から先が思いやられる。
学園長が壇上から降りる。
「ありがとうございました。これをもちまして入学式を閉会させていただきます。新入生たちは決められた教室へと向かってください」
生徒たちが散らばり自分たちの教室へと向かっていく。自分の教室は掲示板に貼り出されてあった。
「樟葉は何組だった?」
「4組だよ。夜神くんは?」
「オレも4組だ」
偶然にもオレたちは同じクラスだった。
「不良から助けられてクラスも同じ。運命感じちゃうかも」
「そうかもな」
からかうような口調だったので適当に流しておく。
樟葉とはこれからも長い付き合いになりそうだ。
オレたちは自分の教室へと向かって歩きだした。
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