その後をちょっとだけ

　サハラ砂漠は１０００万平方キロメートルある。
　これは、アメリカ合衆国とほぼおなじ面積だ。


　１０００ｋｗのメガソーラーシステム。
　設置費用、およそ３億円。
　必要敷地面積は３０００坪（約１万平方メートル）。


　３０００兆円で、１００億ｋｗのメガソーラーシステムを敷設した場合。
　その総敷地面積は１０万平方キロメートルとなる。
　サハラ砂漠の、およそ１００分の１だ。


「サハラ砂漠、でけえ！」
「でかいのう……」


　サハラ砂漠をメガソーラーで埋め尽くすには、魔法のがま口財布をもってしても１００年かかるようだ。
　意外と大した事ないな、５０００兆円。


「そんなに電気を作ってどうするのじゃ？」
「さあ、そこまでは考えていない……」


　とりあえず、残りの２０００兆円で超電導直流送電ケーブルを地球に張り巡らせておこう。
　国連さんがきっと管理してくれるはず。
　なんたって、６００兆円もあげたんだからな。


「これで物資は全部だな。後は５０００兆円分のお金を……」


　主要通貨に変換して均等分配するだけだ。
　今は１ドル２００円まで持ち直しているから２５兆ドルだ。
　日本人頑張った、超頑張った。
　それをを８０億人で割って、一人あたり３１２５ドルか。


　日本円にすると６０万円くらいだな。
　もっとも、物価が倍以上になっちゃったから、一昔前の感覚だと３０万円ってとこか……。


「いま、世界の個人金融資産を合計すると２５０兆ドルくらいになるらしい」
「円にするには『京』の単位がいるのう」


　よく知ってるな。
　さすが経済ロリ。


「２５兆ドルというのは、その１０分の１の数字だ」
「つまり、前に日本で１２０兆円配った時と、似たような割合になるのじゃな」


　その通りだ。
　あの時の、日本の総金融資産は１５００兆円くらいだったから、あの時配った１２０兆円は、だいだいその１０分の１だ。


「だから大丈夫だと思うんだ」
「どんぶり勘定じゃのー。プロが聞いたらなんていうか」
「さあな、だが俺は早くこの重荷をおろして、正月気分を満喫したいんだ」
「そうじゃのー、さっさとやってしまうか！」


　翌朝、サハラ砂漠の１００分の１を覆ったソーラーパネル。
　各国の首脳は、そのエネルギーをどう分配するかで大いに揉めることになる。


　世界中の難民が、密かにサハラ砂漠への移動を開始していた。
　ユニセフもそれに絡んでいるようだ。
　サハラ砂漠が緑化され、やがて新たな国となる日は遠くないようだ。


「初詣には振り袖を着ていきたいのじゃ！」
「そうだな、買いに行こう」


　その日が、金髪ロリとの初デートの日となった。
　振り袖はもちろん、俺が仕事で稼いだお金で買うつもりだ。