5000兆円と金髪ロリサンタで令和日本をぶっ壊す 〜魔法のがま口財布は最強チートアイテムだった!〜

ナガハシ

真実はいつも残酷

 6月を過ぎた頃からか、俺は何だか疲れていた。
 早く、5000兆円という重りから開放されたいと思うようになったのだ。


「世界平和がこんなに重いとは……」


 ただ、お金や物を配っただけで上手くいくというものではないのだ。


「ワシが想像していたより上手くいっているのじゃ、自信を持つのじゃ!」
「うん、頑張る……」


 どんな想像をしていたのだろう?
 というか、何で俺にやらせようと思ったのだろう。


「なあ、聞いていいか?」
「ワシがなんで、お前さんを選んだのかじゃな?」
「何故わかる……」


 はっ、俺の心を読めるのか!


「お前さんの心を読んだのは、プレゼントを渡す時だけじゃて」
「いや……今も読んだのだろう?」
「何を言うか、もう半年も一緒にいるのじゃ。お前さんの考えていることくらい、能力を使わなくともわかるのじゃ」


 夫婦みたいなことを言う……。
 ちょっと、嬉しくなっちゃうじゃないか。


「それは、お前さんがロリコンだからじゃよ」


 俺は口にしていた麦茶を吹いた。


「ワシは見ての通りのロリじゃ。カーチャンもバーチャンもロリなのじゃ。だからたぶん、一生この姿のままなのじゃ」
「遺伝子が仕事をしすぎる!?」


 そのままの姿でロリ婆ちゃんになるってーのかい。


「そうなのじゃ。だから結婚相手がロリコンじゃないと困るのじゃ」
「その理屈はよく分かるようなわからんような……」
「需要あってこその供給じゃ! ワシは、普通におなごとして幸せになりたい」


 求めよ! さらば与えられん!


「だから頑張って世界を平和にするのじゃ。ワシが喜んでお嫁にいけるロリコン親父になるのじゃ」


 お父さん、お母さん。
 ロリサンタの愛が重すぎる件について!


「そうか、わかった。残り3600兆円の使い方を考えよう」
「そうじゃそうじゃ、考えるのじゃ」


 だが、俺はちょっと、別のことが気になってしまった。


「なあ、俺以外にもロリコンはいっぱいいるぞ。そして、大金をもらったら喜んで使ってくれそうな人もな。例えば100人に50兆円づつ配って、一番上手く使ってくれた人のお嫁さんになるとか、そういうのは考えなかったのか?」
「お主……」


 するとロリは、何とも悲しそうな目で俺を見てきたのだ。


「な、何か変なことを言ったか、俺……」
「いいや、ただお前さんが、身体の芯まで競争社会に浸されているのだと、不憫に思っただけじゃ」


 ああ、なるほど。
 そういうことか……。


「お前さんがそうしたければ、そうすれば良いだけのことじゃ」
「うむ……それもそうだが」
「そっちこそ、世界中の奴隷少女を買い集めようとか思わんかったのか。わしゃてっきりそうすると思っとったんじゃが」
「いやいや……」


 奴隷ハーレムには、さほど興味がないんだよ。
 俺には、ただ一人のとっておきが居てくれれば……。


「げ、げふん……」
「こほん……」


 何故か妙な空気が流れ、俺とロリサンタはしばしモジモジした。


「た、確かに5000兆円という金は、個人が持つには重すぎるのじゃ。その重すぎる金をお前さんに預けてしまったのは、実を言えば、ひとえにワシの弱さなのじゃ……」
「え……?」


 どういうことだ?
 というか、待てよ。
 なんでこのロリ、5000兆円も持っていたのだろう。


「ワシは、親父どのから言われておったのだ。『お前はもう立派なサンタとしてやっていける歳だ。5000兆円分の金と物資が入った財布を渡すから、これで人間たちを幸せにしてやりなさい』とな……」
「…………」


 つまり……つまりそれって。


「ぶっちゃけワシ、プレッシャーに耐えられなかったんじゃわい!」


 といってロリは、誇らしげに胸を張った。


「お、お前ー!」


 俺に、全部押し付けやがったなー!
 まさかの職務放棄ものだったぁー!


「ワシの愛らしさに免じて許せ!」
「ゆ、ゆる!? ゆるさ……! す……」


 結局俺は、サンタの魔力に屈してしまうのだった。







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