5000兆円と金髪ロリサンタで令和日本をぶっ壊す 〜魔法のがま口財布は最強チートアイテムだった!〜

ナガハシ

お引っ越し

 火力発電の燃料としては、石油はあまり使われていない。
 だが、他の化石燃料の需要が減って値下がりしたために、つられて下がってしまったのだ。


 産油国は損をしただろう。
 しかし、ガソリンの値段が安くなって、レギュラーガソリンの値段が1リットル60円くらいになった。


 安すぎだ。
 するってーと、人はガソリンをバカスカ使うようになる。
 産油国も生産量をアップさせる。


 せっかく再エネを流行らしたってのに、これじゃあ全然世の中クリーンにならない。
 まったく人間ってやつは。
 絶対地球壊すマンなのか。


「ひゃっほーい、車はええのー、トナカイより早いのじゃ」


 金髪ロリが、車窓から顔を出してそんなことを言う。
 トナカイさんが泣くぞ。


 仕事を辞めた俺は、車にのって軽井沢に向かっていた。
 別荘をレンタルして、しばらくそこで過ごすことにしたのだ。


 古い別荘で、街からも離れているが、魔法のがま口があるから何の問題もない。
 暖炉もあるので、冬になったら薪を燃やして、揺らめく炎を眺めながらコーヒーを飲もう。
 明るくなったら起きて、暗くなったら寝る。
 そうすれば電気も殆ど使わないし、実にエコな暮らしを満喫できるはずだ。


 やっぱり、まずは自分自身がエコにならんとね。


「よし、着いたぞ」
「ホホー! 日本にもこんなに良いところがあるんじゃのー」


 北欧には負けるだろうがな。


「その辺、見てきていいかのう!」
「よし、自転車を出そう」


 フルカーボンのめちゃくちゃ軽い自転車をがま口から出す。


「いってくりゅー!」
「気をつけてな」
「むほー! トナカイよりはやいわー!」


 するとロリは、あっという間にすっ飛んでいってしまった。
 だから、トナカイが泣くって……。


 俺は別荘に入ると、二階の一室を仕事部屋にすることにした。
 適当な机を出して、その上に重たいノートパソコンを置く。
 そして、環境に関する情報を集めた。


 人類が一年間に出す温室効果ガスは、CO2換算でおよそ300億トン。
 一方、森や海などの自然環境が吸収するCO2量はおよそ30億トン。


 これは大変だ。
 そりゃあ、異常気象も起こるだろうな。
 今すぐCO2排出量を10分の1にしなければならない。


 一人あたりが、年間に出していいCO2は0.37トン。
 これを実践できているのはガーナ、ケニア、カメルーン……。
 アフリカでもかなり貧しい地域の人達だけだ。
 ナイジェリアですら一人あたり0.47トンなのだ。


 ちなみに日本人は年間9トンも排出している。
 あ、再エネを流行らせたから7トンくらいになってるかな?
 でも全然足りない。


 今すぐ家電を全部売れ!
 車ものるな! チャリを漕げ!
 エアコン禁止!
 冬になったら冬眠しろ!


 いや、無茶だろうな……。
 いまさら江戸時代後期レベルの生活なんて耐えられないだろう。


 どうしたものか……。







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