5000兆円と金髪ロリサンタで令和日本をぶっ壊す 〜魔法のがま口財布は最強チートアイテムだった!〜

ナガハシ

サンタの力

『えぇー、何者かがぁー、我が国の経済を破壊しようとしているのであってぇー』


 独特のべらんめえ口調で、財務大臣の人が話している。


『これは実にぃー、由々しきことでありぃー』


 まあ、いつもの調子なわけなんだが。


 ともあれ。
 年が明けてしばらく経ち、世の中は不穏な空気が漂い始めていた。


 金髪ロリサンタは実家に帰っている。
 またいつでも呼んでと言っていたから、多分呼べば来ると思うのだが。


「さて……」


 残り4880兆円。
 何に使うか。


『さしあたったぇー、最も憂慮すべきはバブルであってぇー、日銀と連携しぃー、然るべきタイミングでぇー、毅然とした処置を取るものとぉー、するぅー』


 記者会見終わり……と。


 日銀は最近、どんどん量的緩和とやらの規模を減らしている。
 それで預金金利があがったもんだから、国民もそれを結構支持しちゃってる。


『出口戦略ぅー!』『出口戦略だぁー!』


 メディアに出てくるコメンテーターも、そんなことばかりを口にしている。


 あと、最近俺の職場に、大量の運搬ロボットが導入された。
 優れたAIが搭載されているとかで、人間なんかよりよっぽどよく働くようだ。


 今働いている俺らが解雇される程ではないが、新規の募集はもうしないんだろうな……。
 心なしか、失業率もジワーッと上がってきてるし……。
 なんか、やな感じ……。


 という訳で俺は、日銀にケンカ売ってみることにした。


「サンタさーん!」
「呼んだかの?」
「うわ! びっくりした! なんで裸?」
「そりゃ、シャワーの最中だったらじゃ」


 あわてんぼうですか?
 床がビチャビチャだよ……。
 俺はがま口からタオルを取り出す。
 今治タオルだ。


「いや、そんなに急いで来なくても……とりあえず身体を拭きなさい」
「うむ、かたじけない」


 あと、服を着なさい。
 嫁入り前なのに……。


「今度は何をするのじゃ?」
「景気を冷やそうとしている輩に、アツいのをくれてやる」
「ホホー! 面白そうじゃの!」


 このサンタ、ノリノリである。


「日銀というところが国債を売ってしまうので、それを買ってしまおうと思うのだ」
「ふむ、コンビニに行けば買えるかのう?」
「いや、無理だな。というか、素人が手を出していいもんじゃない」
「じゃあどうするんじゃ?」
「プロにお願いするんだよ」
「ふむ、証券口座を作るのじゃな」


 わかってるじゃないか。
 さすが経済ロリ。


「国内ではなく海外だな。そして出来るだけ分散させたい」
「スイスとアメリカ、あとケイマン諸島あたりかのう?」
「そうだな、適当な秘密口座作って、1000兆円くらい突っ込んで、いつでも動かせるようにしてくれるか」
「ほいきた」


 何というか。
 ありがたいね……。


「出来たぞい」
「はやぁ」
「サンタのコネを舐めてはいかん」
「ははぁー」


 俺は思わず地にひれ伏してしまった。
 サンタって最強じゃね?







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