50年前に滅びた世界で

たかき

第26話 次なる街は

あれから一夜明け、今は自転車をこいで道を進んでいるところだった。食事を食べ、色々と片付けてあの野宿した所から出発して10分ほどは経った。だが、太陽はすでにかなり高い位置に陣取っていた。その理由は明白で、単純に起きるのが遅かったからである。
昨日は夜遅くまで星座作りに勤しんだのだが、結局起きたころにはどの星で構成されているのかを完全に忘れてしまった。多分、毎日新しい星座を作ることになるかもしれない。
今日も自転車を漕いでいるが、次の村や街にたどりつくことはできるのだろうか。とりあえず何か建物があればそこで休むなり一夜を過ごすなりしたいのだが。

「……お、なんかまた街があるみたいだな……」
「あー、ホントだ」

そんなことを思っていたが、割とすぐに次の街を見つけることができたみたいだ。
何か建物が見える。かなり遠くだが、かなりの数の建物があるように見えた。
どうやらもう次の街を見つけたみたいである。だがここからではわずかしか見えない。ちょうど小高い山から下りるような形になっているため、もう少し進んだら街の全体を見ることができるだろう。

「……え、めっちゃでかくね? ここの街」

街全体を見た第一印象がそれだった。小高い丘から街を覗くような感じになっているのだが、一言でいうとかなりでかい。見た限り2階か3階建ての建物がほとんどを占めているみたいだが、中にはかなり高い建物もあるように見える。
もっとしっかりと観察したいと思ったのでとりあえず自転車を止めてみようと思った。彼女に止まるということを伝え、ブレーキを掛ける。完全に制止するとサドルから降り、アンジェラも後ろの荷台から降りた。
改めてみると、やはり大きい。

「おお、ホントにでけぇな! おお、ホントにでけぇな!」
「ほんとだね……すごい大きな街だと思う」
「……そうっすね」

残念ながら2回言ったことには突っ込んでくれなかった。
しかし、この街はかなり大きいというのは事実だった。流石に首都圏だとか東京都市圏だとか東京都だとか、そこまでの広さはないと思うが、それでも最初に訪れた街とは全然違う。結構な広さな気がする。
街の真ん中あたりには周りよりも高い建物もあるみたいだが、時折かなり広い空き地みたいなのもあるみたいだ。セントラルパークみたいな公園なのだろうか。
とりあえず、この街に行く以外の選択肢はないだろう。そんなわけで再び2人で自転車に乗り、街に向けて進み始めた。


******


「完璧に廃墟……ですな」

最初にあの街に入った時もこんなことを言った気がするが、それでもこう言わざるを得ないほどの廃墟だった。
単純に廃墟とは言ったが、今まで見たものとは格が違っていた。建物の骨組みしか残っていなかったり、崩れていたりしている。何か焼けたような跡もある。それだけでなく、ところどころ不自然に建物と建物の間隔があいているところもある。その間の所には、建物の土台のようなのが、草などに覆われながらも存在している。
どうもこの間隔の所には昔は建物があったのだろうが、それがなくなってしまっているみたいだった。
さらに、道の方も何か爆発が起きたのか、アスファルトが円を描くように砕け土が露出し、そこから草とかが生えているようだ。道路の状態がこの辺りはかなり悪く、自転車に乗ることができない程だった。

「もしかして……爆撃されたからなのかな」

建物の様子や道路の劣化具合から言うに、単純に経年劣化で崩れたとは言えないようなのが多い。建物の土台しかないというのも、木造の建物が爆撃の炎で焼けてしまったからかもしれない。
その炎は爆撃によってもたらされたのではないか。証拠や確証はないが、かなり説得力があるのではないかと個人的には思っている。

「爆撃って……空から爆弾が降ってくるんでしょ?」
「そうそう。そういえばあの時見た手帳にも爆撃機がどうのこうのって、書いてあったよな……」

そうなると、もしかしてここは首都なのだろうか。確かに街の規模もかなり大きいし、ここが国の中心だったとしても不思議ではない。今の所首都らしい建物とかを見つけたりはしていないが、中心部の方に行けば何かあるかもしれない。
そんなわけで、地面のデコボコに注意し、自転車を手で押しながら中心部へと向かうことにした。



感想、評価等していただけると嬉しいです。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品