宇宙人に転生した私、万能パワーで無敵に宇宙を大冒険!

ゆにこーん / UnicornNovel

第108話 境界

「見えてきました! 境界です!」

 フローンを出発して、今日でちょうど二日目。
 予定通り、第三ウェーブと第二ウェーブの境界に到着だ。
 ここを超えれば、目的の第二ウェーブに行くことが出来るんだね。

 それじゃあ早速、境界に突入だ! と、いきたいところなんだけど……。

「ねえチコタン、境界ってどこにあるの? 私には全然見えないよ……?」

 少し前から宇宙船の外を覗いているけど、境界らしきものは見えないよ。
 っていうか、ここは宇宙なんだから、真っ暗以外には何も見えない。

「ソーラの言う通りです、境界は目で見ることは出来ません」

「見えない? でもチコタン、さっきは『見えてきた』って言ってたよ? どうしてチコタンには見えるの?」

「“見えない”、を見ているのですよ」

 “見えない”、を見ている?
 “見えない”、を見ている……?
 “見えない”、を見ている…………?

 なるほど、“分からない”、ってことは分かったよ。

「ソーラ? お腹が鳴っていますわよ?」

「うナ? また理解出来なくて、お腹を空かせてるのかニャ?」

 うっ、色々と見抜かれすぎてて恥ずかしい……。

「えっと、つまりですね……ソーラには今、何が見えていますか?」

「もちろん、最高にうちゅカワイイ三人だよ」

「「「……」」」

「冗談だよ! 真っ暗な宇宙だよ!」

 マズい、もの凄くじっとりした目で見られたよ。
 本気で怒られそうだった、危ない危ない……。

「見えているのは真っ暗な宇宙ですよね。これっておかしいと思いませんか?」

「え? でもここは宇宙なんだから、真っ暗で当然……あっ、そっか!」

「そうです、宇宙空間で真っ暗はありえないのです。宇宙は常に、星々の光で輝いていますから」

 なるほど確かに、星の光も見えないくらい真っ暗っておかしいよね。
 つまりこの“真っ暗”こそ、境界ってことなんだ。

「分かったよチコタン、それじゃあこのまま進めば……」

「はい! 境界に突入します、そして……」

「うナ! 第二ウェーブに辿りつくはずだニャ!」

「いよいよ第三ウェーブとお別れですわね!」

 そういうことなら話は早い!
 目指すは第二ウェーブ、今度こそ私の体をとり戻して見せる!

「さあ、境界に向かって全速前進んんんっ!?」

 なっ、何この揺れ? もの凄く揺れてるよ!?
 もしかして、もう境界に突入した? それでこんなに揺れてるのかな?

「ひゃわわぁっ! どうしてこんなに揺れているのですかぁ~!?」

「ニニニッ……制御不能だニャゥ……」

「おかしいですわ! まだ境界には突入してないはずですの!」

 あ……どうやらまだ、境界には突入してないみたい。
 だったらこの揺れは一体何? もの凄く嫌な予感だよ……。

 とにかく皆、しっかりつかまって!

「「「「キャアァァ~!?」」」」

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