57話　お座り！

「ダークマター、やっちゃって!!」

「「「むぅっ!?　むぐおおぉ～……」」」

　……。

　……終わった……かな？

「む……むぐぅ……」

「うナ？　急に大人しくなったニャ」

「ソーラ、一体何をしたのですか？」

「ちょっとした実験だよ」

「「実験？」」

　さて、実験の結果を確認してみよう。
　真ん中の奴がゴミ隊長だったよね。
　ダークマター、ゴミ隊長の口を解放して。

「ぷはぁっ……はぁ……はぁ……」

「聞こえてる？　話せる？」

「……はい……」

「まだ私達と戦う気はある？」

「……いいえ……」

　よし、ちゃんと大人しくなってる。
　それじゃあダークマター、他のゴミもまとめて解放しちゃって。

「ミャ！　動き出しタ！」

「危険ですわ、気をつけて！」

　おっと、急に解放したからビックリさせちゃったね。

「大丈夫だよ、見ててね」

　ふぅ……いくよ。

「お座り！」

「「「ハッ！」」」

　おぉ！　見事なお座りだ。
　まるで犬みたい、っていうか完全な犬だね。

「なっ!?　これは一体どういうことですの？」

「ワンちゃんだナ……」

「ソーラ……何をしたらこうなるのですか……？」

「ダークマターを使って命令に従うようにしてみたの。試しにやってみたけど、成功だね」

　三人同時はちょっと不安だったけど、意外と余裕だったね。
　ダークマターの使い過ぎ感も全然ない、むしろ凄く調子がいい。
　やっぱりここがダークマターの集まる星だからかな？

「マジーメみたいに洗脳したのかニャ？」

「洗脳はしてないよ、マジーメみたいに更生されすぎると困るからね。今回は一時的に命令に従うっていうだけ」

　マジーメみたいなのが三人も増えたら、流石に手におえないもん。
　便利で都合はいいんだけど、アレは一人いれば十分かな。

「命令に従わせる……凄い力ですわ……」

「ソーラ……恐ろしいことを考えますね……」

「うヌヌ……怖イ……」

　あら？　なんだか怖がられてる？

「一時的に従わせてるだけだよ？　洗脳じゃないから怖くないでしょ？」

「いえ……それを私達に使っていやらしいことを……と考えると凄く怖いです」

「うミュ……いやらしいことナ……」

「なっ!?」

　なるほどぉ！　その手があったかぁ!!

「……って、そんなことしないよ！　変なこと言わないで!!」

「ふふっ、冗談ですよ。ソーラはそんなことしませんよね？」

「きっと大丈夫、信じてるニャ……大丈夫だニャ……」

「そうですよね……本当にしませんよね？」

　まったく、二人とも分かってないんだから。
　無理やり従わせてイチャイチャされたって嬉しくもなんともないよ。
　私は自然な状態のカワイイ子に好かれたいの！

　ところで妙に念押しされてるけど、なんでだろう？
　もしかして信用されてない……いやいや、そんなはずないよね。

「ここまで見事にダークマターを操るなんて……あなたは一体……？」

　おっと、ゴメンお姫ちゃん。すっかり放置しちゃってた。

「何から説明しようか……とりあえず自己紹介をしておくよ、私はソーラ」

「チコタンです、無事でよかったですね」

「ミィシャンだヨ。よろしくニャ！」

「えぇ……ワタクシ……は……」

「「「危ない！」」」

　間にあえ！
　間にあった！
　いい匂いだ！
　フワフワだ!!

「気絶してしまいました……」

「ソーラ、ナイスキャッチだナ」

　ふぅ、ギリギリ抱きとめられてよかった。
　ダークマターを使って戦っていたから、きっと疲れちゃったんだね。

「とりあえず、どこか休めるところに行こうか」

　さて、一体この子は何者なんだろう？