55話　ダークマターVSダークマター

「やるぞお前等！」

「「了解！」」

　お？　何やらゴミ溜りが三角形に集まってる。
　なんだろう、台所の三角コーナーの真似かな？

「「「ダークマター、あの娘を捕えろ！」」」

　えっ、ダークマター!?

「そうはさせません！　ダークマター、ワタクシを守って!!」

　嘘!?　お姫ちゃんまで！

「うヌヌ……肌がピリピリするナ」

「空気が震えてる感じがします」

　お姫ちゃんとゴミ溜りの間で、空気がバチバチ光ってる。
　かなり強力なダークマターをぶつけ合ってるね。
　まさか両方ともがダークマターを使えるなんて。

「チコタン、ミィシャン、私の後ろに下がって」

　ダークマター、私達を守って！

「おォ、バリアーだミャ！」

「ソーラ、ありがとうございます」

「ダークマターがぶつかり合ってる、二人ともバリアーから出ないようにね」

　これでチコタンとミィシャンは安全。
　さて、お姫ちゃんはどうなったかな？

「お前等！　出力を上げろ!!」

「「出力アップ！」」

「くっ……くうぅ……」

　おっと、お姫ちゃんが押されてるみたい。
　流石に三対一は厳しいよね、これは早く助けに──。

「あなた達まだいましたの？　早くお逃げなさい!!」

　えぇ……せっかく助けようとしたのに。

「ソーラ、今助けに入ろうとしてましたよね？」

「でも止められちゃったナ」

「うん、ピンチだと思ったんだけど……」

　まあ、少し様子を見てもいいんだけど……。
　ホントに危なくなったら無理やり割り込むからね！

「ぐうぅ……負けるわけには……っ」

「無駄だぁ！　俺達の着ているダークマター強化スーツは最高性能のものだ。スーツを着ていない貴様では絶対に勝てないぞ!!」

　強化スーツ？　あの銀ピカスーツのこと？
　三対一で、しかも変なスーツまで着て、それは流石に卑怯じゃない？

「どうしたどうしたぁ！　もう限界か？」

「大人しく拘束された方が、痛い思いをせずに済むぜ？」

「くっ……まだまだ！」

　おぉ！　お姫ちゃんのダークマターが強くなった。
　ちょっと押し返してるかも？

「往生際の悪い小娘だ……お前等！　最大出力で一気に押し込むぞ！」

「「了解！」」

「あっ……あうぅ……っ」

　ダメだ、やっぱりゴミ溜りの方が優勢みたい。
　お姫ちゃんはそろそろ限界だ。

「ヘッヘッヘ、ユニオンマスターに届ける前に、俺達が可愛がってやるぜ！」

「それはいいな、たっぷり遊んでやろう」

「くうぅ……なんてゲスな連中ですの！」

　はぁ……ホントにゴミにもほどがあるよ。
　自分達は三人がかりで、しかも銀ピカスーツでズルしてるくせに。どうしてそこまで偉そうにゴミ発言が出来るんだろうね。

「チコタン、ミィシャン──」

「はい、やっちゃってください！」

「うナ！」

　おぉ、名前を呼んだだけなのに答えが返ってきた。
　二人とも私の心を読んでるみたいだよ。
　さてそれじゃあ……。

「フハハハッ！　さあ、大人しく拘束されろ!!」

「もう……限界……っ」

「はいそこまで！」

　ちょっと失礼、無理やり割り込むね。

「なんだ貴様は!?」

　ゴミ溜まりは無視無視。

「なっ!?　何をしていますの！　逃げてって言いましたのに!!」

「放っておけるわけないでしょ、助けさせてよ？」

「助ける？　あなたには分からないかもしれませんが、これはダークマターによる攻防なのです。あなたに出来ることなんてありませんわ！」

「いいからいいから、任せておいて！」

　さ、ゴミ掃除といきますか!!