剣聖伝説物語

南川 剣士

第3話 世界大戦

痛い……痛い……い…た…い………。

体が痛いと言っても、心が痛いと言っても、辞めるわけにはいかない。戦わない訳にはいかない。
……。
…………………………。

ー1908年2月25日ー

突然の出来事に、人間は絶望した。
その景色はまさに、地獄だった。
四種族が敵同士となって戦った。この星はもう終わったと誰もが思った。人間は四種族の中で最も弱い。勝ち目はないと思われた。
それでも戦い続けた人間がいた。
「剣聖」だ。彼らは、平和の為だけに体を鍛え、自分を磨いてきた。彼らは、体中から血を流し、戦った。
今まで彼らでさえ味わった事のない痛み、苦しみ、絶望、悲しみに襲われた。
でも、彼らは決して後ろを向かなかった。
剣聖総員ですら、この大戦を止めるのは厳しいと言われていた。
でも、人類は諦めなかった。
何故なら、「下上の四人」が救ってくれる事を願っていたからだ。下上の四人は、かつて、宇宙の戦争や、大陸大戦で活躍したとか。その四人は、人間の仲間と、言われている。
この大戦は、完全に終わるまでに、4か月かかった。
剣聖達は、死ぬ思いで戦い、本当に死ぬかのような痛みを味わった。それでも、死ぬ事は許されない。何故なら

ー世界が平和じゃないからー

「というように、世界大戦は、剣聖達も苦戦しながら4か月も戦い続けた大戦です。」
先生の話は意外とわかりやすい。
そう、さっきのは先生が言っていた事だ。
ここはシオンとスミレが通って居る中学校。
今は1920年6月25日。あの歴史的大戦が終わってから丁度12年。2人は15才。つまり、中学3年生だ。今は歴史の授業をしている。
その後の休み時間に、
「もうアレから12年も経ったんだ………」
とシオンが少し悲しそうに言った。そう、アレから12年も経った。
「そうだねぇ」
スミレが珍しく抜けた声で、少し悲しそうにそう言った。
彼女らは、あの時まだ2才で、戦う事は出来なかった。
あの時は、殆ど人の治癒しかしなかった。
でも、今は戦いがあれば戦える程の能力は身についた。
「ねーシオン〜ここ教えてよぉ」
こっちはクラスメイトの有里那(ありな)。シオンは成績優秀だった。100年に1人の天才と言われる程に。毎回テストでは満点で、実技試験などでも、優秀な成績を残している。
スミレはシオンには少し劣るが、成績は学年2位で、9教科の合計点数は896点だとか。でも、唯一シオンに勝てる部分がある。それは、体育の実技テストだ。シオンもかなり凄いがスミレはシオン以上だ。
「いいよ。あーそこはねー」
と、シオンは有里那に答えた。
「最近あの2人暗いよねー?」
なんて噂されているらしい。それは事実である。あの2人が最近暗い理由は、そう…

ーあの青年が12年間帰って来なかったからー

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