イレギュラー・レゾナンス 〜原初の世界を再び救う為の共振〜
第58話 カ……えーっとぉ、なんだっけ?
——なんだよ、必要なのは罠に掛らない為の冷静さや解析力ではなく、罠を意にも介さないほどの力や肉体でもない。
——ゴールを導き出す推理力と閃きじゃねぇかよ。
「でも、まだ、手掛かりが足りない」
これだけじゃゴールの場所を特定出来ないから、絶対にまだ手掛かりがどこかにあるはずだ。
「とりあえず、ここの地形を把握するか。……あそこの塔、登れるかな?」
何か他にもあるのは確信したが、それが何か分からないため、この地図が、パラシェル公園を示していたことが判明したことにより出てきた。
この地図が本物かすらも危うい。という可能性。
その真偽を確かめるため、地形を把握しなければという考えに至る。
まずはそれを行うために高いところに行きたいので、高いところを探すと、地図の中にある塔を捉え、登れるかと確かめるため、そこに向かう。
飛べれば楽なのにな。
別に飛べないわけじゃないけど、こんな大勢が見てる中で飛ぶわけにも行かないし。
飛んだらすぐに済むのに、でも観客のせいでそれをするわけには行かないので、今この学園対抗戦というシュチュエーションに口を尖らせる。
わざわざあそこまで行くのめんどいから飛びたい。
だって行ってもし登れなかったら無駄足じゃん。
心の中では文句たらたらだが、外見には一切出さずに足を動かし続ける。
俺は目だけを横に動かし、その存在を今一度認知してから、それを放っておく。
……いつまで着いてくんだろ?
歩いて塔の麓に着き、近付くとその高さが一段と実感出来る、高くそびえるそれの天辺を見ようと、上を見上げる。
「でかいなぁ……あ、扉あった」
首が痛くなったので視線を元に戻すと、偶然にも、塔内部へと繋がる扉らしきものを見つけた。
「っしょっと……お、ビンゴ!」
錆びて動かしにくくなった重い扉を開けると、そこには外壁に沿って螺旋状に上へと続く階段があった。
つか、あんまり会わないな。代表者に。
まぁこんな広い街舞台にしたら、そりゃそうなるけどさ。
兎にも角にも、上へ上がる……のをやめ、足を止めた。
気が変わったんだ。
これ以上付きまとわれるのももうお断りだ。
そして、ずっと着いて来ていたそいつを呼び出す。
「……そろそろ出て来い。何かしてくるまで手出す気はなかったけど、やっぱこの場で終わらす」
振り返り、そいつの居場所へ向けて少しばかり威圧を飛ばす。
「おやおや、気付かれていましたか。流石は『王家の新精』……でしたっけ? 物騒なお言葉をお使いになる」
「『王家の新精』……ね。ふふっ、あながち間違いじゃないところがまた笑えるよな」
意外にも自分に合っている称号で、思わず笑みが零れ出てしまう。
「あの、お一人で話さないでもらえます?」
「あぁ、ごめんごめん。忘れてたよ」
さっき呟いてしまった言葉が聞こえていなかったことに安堵し、本気でそいつのことを忘れかけていたことを本心で謝った。
「……まぁいいです。改めまして、私はカラム=ソクマ。そうは思っていませんが、一部の方からは『帝王の右腕』などと呼ばれています。『帝王の黒幕』なんかが望ましかったんですがね」
「わーいたいやつだ」
帝王の黒幕とか。
「……中二病の方ですか?」
「……!! うるさいですねッ! とにかく私とここで戦《や》るんでしょう!? 早く始めましょう!」
「え、なんで?」
意味が理解できないその言葉に、俺は首を傾げる。
「なんでって……あなたが戦《や》ると言ったんでしょう!?」
「え? 言ってないけど」
あれ、俺そんなこと言ったっけ?
「言ったでしょうッ! ここで終わらすと!!」
まるで俺がおかしいと、感情をぶつけるように言い放つ……えーっと……カ、カラン?
「いや、あれはただ付きまとわないでって、交渉するつもりだっただけなんだけど……。あと、君の名前なんだっけ?」
「いや、あの雰囲気は完全に戦う流れだったでしょう!! っていうか失礼ですねあなたッ! カラムですよ、カ、ラ、ム!
あぁ、カラムね。覚えたよ、うん。
「そんな流れだったかな?」
「何かしてくるまで手出す気はなかったけど、なんて言ったら、もうその流れでしょ!!」
「あーそうだね。てか君声デカいね。普段からそれだと近所迷惑になるよ? あと喉痛んじゃうよ?」
大丈夫かな?
「誰のせいでこんなことしてると思ってるんですかッッ!!!」
「えっと……?」
「あなたのせいですよ! ア! ナ! タ!」
「あ、俺? ならそんな声出さなくていいよ? 耳悪くないし、いざとなったら身体強化で聴力強化するから」
「そういうことじゃないですよッッ!!!」
「あ、そうなの?」
「そうで……ごほっ! ごほっ!」
「大丈夫? のど飴あるから舐めな」
異空間収納から、偶然あったのど飴を投げ渡す。
「あ、ありがとうがざいま……って! 違いますよ!」
さっきのまぁまぁ豪快な声とは違い、掠れた声で叫ぶ……あーっと、なんだっけ? カ、カロンだっけ?
「ねぇ、そんなことより君の名前なんだっけ?」
「ほんと失礼ですねアナタッ!! カラムですよ! なんで忘れるんですか!」
「いや、なんか覚えにくくてさ」
「どこがですか! あなたの名前より短いでしょう!?」
「あー……そうだっけ? てか早く決めてよ。このままどっか行くんなら何もしないけど、襲ってくるなら容赦しないよ?」
「……こんなに舐められて黙って引くわけがないでしょう?」
「「…………」」
戦うと選択をした……カ……えーっとぉ、まぁいいや。
こいつが戦慄したように、黙ってこちらを見つめる。
「あの、大丈夫? その声。さっきあげたのど飴舐めた方がいいじゃない?」
俺は戦闘が始まる緊張で沈黙したのではなく、声が掠れているから喉の心配で黙ってしまったのだ。
「大丈夫ですよありがとうございます!!!」
もうやけくそで何でもいいといった様子のカ……? が、半分皮肉だろうがお礼を言ってきた。
こいつ中二病でもいい子だ。
お礼を言うなんて偉い!
……よし、競技に集中しよ。
「ま、やるってことでいいからやろうよ」
「ホンット、あなた勝手ですね! ……分かりましたよ。やりましょう」
……出来るだけ、早く終わらせよう。
シン達の為に、良い順位を獲得する為にも。
「——悪いけど、即刻終わらせてもらうな」
「おや、随分と舐められていますね。これでもメンバーの一人。ただでは終われません」
「……ラァッ!!」
「……ハァッ!!」
―――――――――
「ちょっとぉ……マギアス君他の学園のこと喋ってて全然動かないじゃぁん……」
不満そうに、映されている映像に見入っている先輩。
「まぁまぁ、マギアスなりに何か考えがあるんじゃないですかね?」
不満を垂らしている先輩を宥めるように、自分の考えを聞かせる。
「うーむ……大丈夫かな?」
先輩のことを無視して映像に目を移すと、何やらマギアスが誰かと話している。
音は聞こえるんだけど、会話は聞こえないなぁ。
何話してるのか気になる。
「お、何してんだろ」
その子と別れたマギアスは、上に特大花火を放ち、上に行くのは無理だと判断したみたいで、小走りを始めた。
その後、幾数もの岩石がマギアスを襲ったり、雹だったりが襲っていた。
「うわ! えっぐいことする!」
流石に心配になったが、その心配を裏切るようにマギアスは防いでいた。
「あー心配無用ですかそうですか……」
で、迷子になって、塔に上ろうとして、やめたと思ったら代表者の誰かと言い合っている。
マギアスの方は言い合ってるつもりないみたいだけど。
そしてしばらく言い合っていると、突然剣を交え始めた。
その時間はある程度続いていたが、マギアスが共振武器の力を使い始めると、どんどん力の差は開いていき、ついにマギアスが相手に打ち勝った。
「……さっすがマギアス」
感心すると同時に妬ましくもなったりしたが、やはりチームメイトとして誇らしくもなった。
——ゴールを導き出す推理力と閃きじゃねぇかよ。
「でも、まだ、手掛かりが足りない」
これだけじゃゴールの場所を特定出来ないから、絶対にまだ手掛かりがどこかにあるはずだ。
「とりあえず、ここの地形を把握するか。……あそこの塔、登れるかな?」
何か他にもあるのは確信したが、それが何か分からないため、この地図が、パラシェル公園を示していたことが判明したことにより出てきた。
この地図が本物かすらも危うい。という可能性。
その真偽を確かめるため、地形を把握しなければという考えに至る。
まずはそれを行うために高いところに行きたいので、高いところを探すと、地図の中にある塔を捉え、登れるかと確かめるため、そこに向かう。
飛べれば楽なのにな。
別に飛べないわけじゃないけど、こんな大勢が見てる中で飛ぶわけにも行かないし。
飛んだらすぐに済むのに、でも観客のせいでそれをするわけには行かないので、今この学園対抗戦というシュチュエーションに口を尖らせる。
わざわざあそこまで行くのめんどいから飛びたい。
だって行ってもし登れなかったら無駄足じゃん。
心の中では文句たらたらだが、外見には一切出さずに足を動かし続ける。
俺は目だけを横に動かし、その存在を今一度認知してから、それを放っておく。
……いつまで着いてくんだろ?
歩いて塔の麓に着き、近付くとその高さが一段と実感出来る、高くそびえるそれの天辺を見ようと、上を見上げる。
「でかいなぁ……あ、扉あった」
首が痛くなったので視線を元に戻すと、偶然にも、塔内部へと繋がる扉らしきものを見つけた。
「っしょっと……お、ビンゴ!」
錆びて動かしにくくなった重い扉を開けると、そこには外壁に沿って螺旋状に上へと続く階段があった。
つか、あんまり会わないな。代表者に。
まぁこんな広い街舞台にしたら、そりゃそうなるけどさ。
兎にも角にも、上へ上がる……のをやめ、足を止めた。
気が変わったんだ。
これ以上付きまとわれるのももうお断りだ。
そして、ずっと着いて来ていたそいつを呼び出す。
「……そろそろ出て来い。何かしてくるまで手出す気はなかったけど、やっぱこの場で終わらす」
振り返り、そいつの居場所へ向けて少しばかり威圧を飛ばす。
「おやおや、気付かれていましたか。流石は『王家の新精』……でしたっけ? 物騒なお言葉をお使いになる」
「『王家の新精』……ね。ふふっ、あながち間違いじゃないところがまた笑えるよな」
意外にも自分に合っている称号で、思わず笑みが零れ出てしまう。
「あの、お一人で話さないでもらえます?」
「あぁ、ごめんごめん。忘れてたよ」
さっき呟いてしまった言葉が聞こえていなかったことに安堵し、本気でそいつのことを忘れかけていたことを本心で謝った。
「……まぁいいです。改めまして、私はカラム=ソクマ。そうは思っていませんが、一部の方からは『帝王の右腕』などと呼ばれています。『帝王の黒幕』なんかが望ましかったんですがね」
「わーいたいやつだ」
帝王の黒幕とか。
「……中二病の方ですか?」
「……!! うるさいですねッ! とにかく私とここで戦《や》るんでしょう!? 早く始めましょう!」
「え、なんで?」
意味が理解できないその言葉に、俺は首を傾げる。
「なんでって……あなたが戦《や》ると言ったんでしょう!?」
「え? 言ってないけど」
あれ、俺そんなこと言ったっけ?
「言ったでしょうッ! ここで終わらすと!!」
まるで俺がおかしいと、感情をぶつけるように言い放つ……えーっと……カ、カラン?
「いや、あれはただ付きまとわないでって、交渉するつもりだっただけなんだけど……。あと、君の名前なんだっけ?」
「いや、あの雰囲気は完全に戦う流れだったでしょう!! っていうか失礼ですねあなたッ! カラムですよ、カ、ラ、ム!
あぁ、カラムね。覚えたよ、うん。
「そんな流れだったかな?」
「何かしてくるまで手出す気はなかったけど、なんて言ったら、もうその流れでしょ!!」
「あーそうだね。てか君声デカいね。普段からそれだと近所迷惑になるよ? あと喉痛んじゃうよ?」
大丈夫かな?
「誰のせいでこんなことしてると思ってるんですかッッ!!!」
「えっと……?」
「あなたのせいですよ! ア! ナ! タ!」
「あ、俺? ならそんな声出さなくていいよ? 耳悪くないし、いざとなったら身体強化で聴力強化するから」
「そういうことじゃないですよッッ!!!」
「あ、そうなの?」
「そうで……ごほっ! ごほっ!」
「大丈夫? のど飴あるから舐めな」
異空間収納から、偶然あったのど飴を投げ渡す。
「あ、ありがとうがざいま……って! 違いますよ!」
さっきのまぁまぁ豪快な声とは違い、掠れた声で叫ぶ……あーっと、なんだっけ? カ、カロンだっけ?
「ねぇ、そんなことより君の名前なんだっけ?」
「ほんと失礼ですねアナタッ!! カラムですよ! なんで忘れるんですか!」
「いや、なんか覚えにくくてさ」
「どこがですか! あなたの名前より短いでしょう!?」
「あー……そうだっけ? てか早く決めてよ。このままどっか行くんなら何もしないけど、襲ってくるなら容赦しないよ?」
「……こんなに舐められて黙って引くわけがないでしょう?」
「「…………」」
戦うと選択をした……カ……えーっとぉ、まぁいいや。
こいつが戦慄したように、黙ってこちらを見つめる。
「あの、大丈夫? その声。さっきあげたのど飴舐めた方がいいじゃない?」
俺は戦闘が始まる緊張で沈黙したのではなく、声が掠れているから喉の心配で黙ってしまったのだ。
「大丈夫ですよありがとうございます!!!」
もうやけくそで何でもいいといった様子のカ……? が、半分皮肉だろうがお礼を言ってきた。
こいつ中二病でもいい子だ。
お礼を言うなんて偉い!
……よし、競技に集中しよ。
「ま、やるってことでいいからやろうよ」
「ホンット、あなた勝手ですね! ……分かりましたよ。やりましょう」
……出来るだけ、早く終わらせよう。
シン達の為に、良い順位を獲得する為にも。
「——悪いけど、即刻終わらせてもらうな」
「おや、随分と舐められていますね。これでもメンバーの一人。ただでは終われません」
「……ラァッ!!」
「……ハァッ!!」
―――――――――
「ちょっとぉ……マギアス君他の学園のこと喋ってて全然動かないじゃぁん……」
不満そうに、映されている映像に見入っている先輩。
「まぁまぁ、マギアスなりに何か考えがあるんじゃないですかね?」
不満を垂らしている先輩を宥めるように、自分の考えを聞かせる。
「うーむ……大丈夫かな?」
先輩のことを無視して映像に目を移すと、何やらマギアスが誰かと話している。
音は聞こえるんだけど、会話は聞こえないなぁ。
何話してるのか気になる。
「お、何してんだろ」
その子と別れたマギアスは、上に特大花火を放ち、上に行くのは無理だと判断したみたいで、小走りを始めた。
その後、幾数もの岩石がマギアスを襲ったり、雹だったりが襲っていた。
「うわ! えっぐいことする!」
流石に心配になったが、その心配を裏切るようにマギアスは防いでいた。
「あー心配無用ですかそうですか……」
で、迷子になって、塔に上ろうとして、やめたと思ったら代表者の誰かと言い合っている。
マギアスの方は言い合ってるつもりないみたいだけど。
そしてしばらく言い合っていると、突然剣を交え始めた。
その時間はある程度続いていたが、マギアスが共振武器の力を使い始めると、どんどん力の差は開いていき、ついにマギアスが相手に打ち勝った。
「……さっすがマギアス」
感心すると同時に妬ましくもなったりしたが、やはりチームメイトとして誇らしくもなった。
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