イレギュラー・レゾナンス 〜原初の世界を再び救う為の共振〜
第45話 ビーチバレー
急遽パーティを催した翌日の朝。
俺はすっと目を覚ます。
今日は珍しく、あまり眠気も感じずに起きることができた。
「……あれ、みんな、どこ?」
俺の視界には、昨日パーティの最中に寝落ちしてしまったので、リビングが映っている。
でも、昨日は俺だけじゃなく、全員寝落ちしていたはずなので、みんなもいるはずなのだが、見えるのは昨日のパーティの残骸だけだった。
「よいしょ……あれ、やっぱりいない」
俺が寝ぼけているのが原因だと思い、少し弛みを感じながらも身体を起こし、もう一度しっかりと見てみるが、やっぱりみんなの姿はない。
おかしいな。いつも俺はマギアスの次に起きるから、俺とマギアス以外は寝てる時間だと思うんだけどな……。
「ほら、まだ13時だからみんな寝てるはず……」
時計を見て、やっぱりみんな寝てる時間だよなと思案する。
……ん?
んん? んんん?
……えっとぉ。
13時だよな。
俺はある違和感に気付き、もう一度時計を見るが、やはり時間は13時。
「…………13時!!?」
普段よりもものすごく遅い時間に起きたことに驚く。
……なんでこんな時間に。
いつもちゃんと早い時間に起きれてるのに、なんで……あ。
ここで俺はいつもの自分の行動を振り返り、原因に気付く。
「——そうだ。いつも魔方陣使って影魔法で起きてるんだった」
そのお陰で最近早く起きてたから、自分は朝に弱いということを、すっかり忘れてしまっていた。
「まさか、純粋に邪魔されず寝たらこんな寝ちまうなんて……」
ただ純粋に、驚いた。
「てか、みんなどこ行ったの?」
とりあえず誰かを探すことにする。
―――――――――
この別荘の中全部探したけど、どの部屋にもいなかったな……。
じゃあ、この別荘の外にいるってことか?
俺は別荘を出て、まず砂浜に行くことにした。
すると案の定、みんなはそこにいた。
だけど、今日は何か違うようで、みんな共振武器を持っていない。
……何してんだろ? 遠目じゃよく見えない。
「何してんのー?」
少し離れたところで休んでいる様子のマギアスとカイルに聞いてみることにした。
「ん? あ、シン。起きたんだ」
「うん、大遅刻したけど。んで、何してんの?」
「あぁ、シャムル先輩がもう残り4日になったからここからは遊ぼうって提案したんだよ。もう十分基礎体力、持久力は付いただろうからって」
確かに、最初からは信じられないくらい付いたよ。あの鬼特訓のおかげで。
「それで何しようかってなった時に、レイがじゃあせっかくだからビーチバレーでもやろうって提案したんだよ」
あ、ビーチバレーやってたのか。
「なんか納得したような顔してるけど、やっぱシンもビーチバレーのこと知ってるの?」
カイルが唐突にそんなことを言ってきた。
「え? そりゃ知ってるでしょ」
当たり前だろう?
「やっぱシン達の世界の遊びだったのか」
「ど、どゆこと?」
俺達の世界の遊びだったのかと言われても、どういうことか分からない。
「シン、この世界はシン達の世界と比べて、遊びごとに関してはあまり発達してないんだよ」
マギアスが俺に分かるように説明してくれる。
……あ、そういうことか!
つまりマギアス達は最初ビーチバレーを知らなかった。そして俺は知っていた。だから驚いていたのか!
「あ、シン君起きたんだ」
いつの間にかビーチバレーを終えてこっちに来ていたシェル先輩、リア先輩、レイ、セレスに俺が起きたことに気付かれた。
いや、別に気付かれてまずいことなんてないけど。
「みんな、なんで俺のこと起こしてくれなかったの? おかげでこんな時間になっちゃったじゃん!」
これは俺が最初に思ったこと。ひどいだろ、俺だけ置いといてみんなは遊んでるなんて。
これで起こしたけど俺が起きなかったなんてオチだったら猛反省案件です。ハイ。
「いや、シン君があまりにも気持ちよさそうに寝てたから、そっとしておいてあげようってなって……ごめんね!」
俺が気持ちよさそうに寝ていたからそっとすることにした、と弁解して、その後やっぱりだめだったかな、と思わせてしまったのか、俺に謝ってきた。
ホッ。起こそうとしたけど俺が起きなかったなんてオチじゃなくて良かった。
「まぁいいや。俺も入れてよ、ビーチバレー」
俺も久しぶりにバレーやりたくなってきた。
前は普通のバレーを体育でやるくらいだったけど、成績は一二を争う程度には良かった。
俺の特に得意な種目の一つだ。そりゃ本気でバレーやってる人には負けるけどさ。
ビーチバレーは初めてだから、どうなるか分かんないけど、大丈夫だろ。
「じゃあチームはシンとマギアス君、私とセレスでどう?」
レイが俺とマギアスのチーム、そしてレイとセレスのチームでやろうと提案してきて、俺はそれを受け入れる。
——いいだろう、ボコボコにしてやる。
―――――――――
俺は水着に着替えて、もう一度砂浜に戻り、試合を始める。
「じゃあ、1セット、21点先取でいいね?」
「はい」
普通のバレーより少ないな。
「はーい」
まずはマギアスのサーブから始まる。
バンッッ!! という爽快な音とともに、ボールが相手コートに引き込まれていく。
だが、レイがうまくレシーブし、ふわっとしたボールをセレスに上げる。
「セレスお願い!」
「はい!」
ちっ! いきなりスパイクとか、こいつら意外と上手かった。
セレスは今日ビーチバレーを知ったはずだから、超初心者のはずだよね? 多才ですか。
レイが打ったその球は、ちょうどマギアスのいる場所に突っ込んでいく。
「あぁ! コントロールミスった!」
悔しそうにするレイ。
今度はこっちの番だ!
俺はマギアスが上げたボールの落下点に移動し、トスの準備をする。
……あれ、そういえばビーチバレーって、ツーアタックありだっけ? それとも反則だっけ?
…………あれー?
「シン!?」
そんなことを考えていると、すぐ近くにボールが来ていた。
「あぁ!」
苦し紛れにトスを上げようとするが、始めをミスってしまったのでトスも精密とは程遠いものになってしまった。
「ぅーっらッ!」
俺のめちゃくちゃなトスをマギアスがむりやり相手コートに打ち込む。
「うわっ!」
無茶苦茶なトスを打った結果、無茶苦茶なスパイクとなり、レイとセレスは無茶苦茶に反応出来ず、無茶苦茶綺麗にボールは砂についた。
「あーもう! 今度は油断しない!」
「今度も決める!」
―――――――――
そんなこんなで楽しくやりながらバレーをやりまくっていたら、いつの間にかもう夕方になっていた。
「あー疲れた……」
風呂で砂を洗い流した後、ソファに倒れこみながら吐く。
でも、これじゃ特訓と変わらん……。
「明日は普通に、ゆるく、マイペースで遊びたい……」
「じゃ、明日は翡翠の海行こっか」
「あぁ……はい……って、翡翠の海って何です?」
軽いノリで了承してしまったが、今更『翡翠の海』というものを知らないことに気付く。
「うん、この島には三色の海があるって知ってるよね?」
「はい」
「それで、私達が今までいたのは群青の海。あれは観光用かな。遊びとかに適してる環境なのね」
へぇーそうだったんだ。全然知らんかった。
「それで翡翠の海はその効果で近くに行くと勝手にすっごい運動しちゃうの」
「へぇー……って、こんな疲れてるのにそんなのやだわ!」
鬼畜か!
つか何その変すぎる効果!
「あははは、うそうそ。そんなわけないから」
笑ったせいか、目に涙を浮かべながら、冗談だと言ってくる。
ど、どこが冗談? 翡翠の海について? それともそこに行くことが?
「翡翠の海は治癒が最もすごいんだよ。もはや効力がすごく高い温泉みたいな」
つまりは温泉と。
んで先輩が効果について嘘をついてたからあほすぎる効果を説明されたのか。
……それを信じた俺も俺だけど。
「それで透明の海なんだけど、なぜかあそこに行くと、あそこの記憶がなくなってるの」
……はい?
また先輩の嘘かな? ……いや、これは嘘じゃない。先輩のこの真剣な表情が、それを語っている。
「だから、透明の海のことは、多分、誰も知らない。そのことから付いた名称が……『虚無の海』」
「……!」
そう言い切った瞬間、この場の空気が凍り付いた。
——虚無の海。
群青の海、翡翠の海と来て、虚無の海か。なんとも不吉そうな名前だな。
俺はすっと目を覚ます。
今日は珍しく、あまり眠気も感じずに起きることができた。
「……あれ、みんな、どこ?」
俺の視界には、昨日パーティの最中に寝落ちしてしまったので、リビングが映っている。
でも、昨日は俺だけじゃなく、全員寝落ちしていたはずなので、みんなもいるはずなのだが、見えるのは昨日のパーティの残骸だけだった。
「よいしょ……あれ、やっぱりいない」
俺が寝ぼけているのが原因だと思い、少し弛みを感じながらも身体を起こし、もう一度しっかりと見てみるが、やっぱりみんなの姿はない。
おかしいな。いつも俺はマギアスの次に起きるから、俺とマギアス以外は寝てる時間だと思うんだけどな……。
「ほら、まだ13時だからみんな寝てるはず……」
時計を見て、やっぱりみんな寝てる時間だよなと思案する。
……ん?
んん? んんん?
……えっとぉ。
13時だよな。
俺はある違和感に気付き、もう一度時計を見るが、やはり時間は13時。
「…………13時!!?」
普段よりもものすごく遅い時間に起きたことに驚く。
……なんでこんな時間に。
いつもちゃんと早い時間に起きれてるのに、なんで……あ。
ここで俺はいつもの自分の行動を振り返り、原因に気付く。
「——そうだ。いつも魔方陣使って影魔法で起きてるんだった」
そのお陰で最近早く起きてたから、自分は朝に弱いということを、すっかり忘れてしまっていた。
「まさか、純粋に邪魔されず寝たらこんな寝ちまうなんて……」
ただ純粋に、驚いた。
「てか、みんなどこ行ったの?」
とりあえず誰かを探すことにする。
―――――――――
この別荘の中全部探したけど、どの部屋にもいなかったな……。
じゃあ、この別荘の外にいるってことか?
俺は別荘を出て、まず砂浜に行くことにした。
すると案の定、みんなはそこにいた。
だけど、今日は何か違うようで、みんな共振武器を持っていない。
……何してんだろ? 遠目じゃよく見えない。
「何してんのー?」
少し離れたところで休んでいる様子のマギアスとカイルに聞いてみることにした。
「ん? あ、シン。起きたんだ」
「うん、大遅刻したけど。んで、何してんの?」
「あぁ、シャムル先輩がもう残り4日になったからここからは遊ぼうって提案したんだよ。もう十分基礎体力、持久力は付いただろうからって」
確かに、最初からは信じられないくらい付いたよ。あの鬼特訓のおかげで。
「それで何しようかってなった時に、レイがじゃあせっかくだからビーチバレーでもやろうって提案したんだよ」
あ、ビーチバレーやってたのか。
「なんか納得したような顔してるけど、やっぱシンもビーチバレーのこと知ってるの?」
カイルが唐突にそんなことを言ってきた。
「え? そりゃ知ってるでしょ」
当たり前だろう?
「やっぱシン達の世界の遊びだったのか」
「ど、どゆこと?」
俺達の世界の遊びだったのかと言われても、どういうことか分からない。
「シン、この世界はシン達の世界と比べて、遊びごとに関してはあまり発達してないんだよ」
マギアスが俺に分かるように説明してくれる。
……あ、そういうことか!
つまりマギアス達は最初ビーチバレーを知らなかった。そして俺は知っていた。だから驚いていたのか!
「あ、シン君起きたんだ」
いつの間にかビーチバレーを終えてこっちに来ていたシェル先輩、リア先輩、レイ、セレスに俺が起きたことに気付かれた。
いや、別に気付かれてまずいことなんてないけど。
「みんな、なんで俺のこと起こしてくれなかったの? おかげでこんな時間になっちゃったじゃん!」
これは俺が最初に思ったこと。ひどいだろ、俺だけ置いといてみんなは遊んでるなんて。
これで起こしたけど俺が起きなかったなんてオチだったら猛反省案件です。ハイ。
「いや、シン君があまりにも気持ちよさそうに寝てたから、そっとしておいてあげようってなって……ごめんね!」
俺が気持ちよさそうに寝ていたからそっとすることにした、と弁解して、その後やっぱりだめだったかな、と思わせてしまったのか、俺に謝ってきた。
ホッ。起こそうとしたけど俺が起きなかったなんてオチじゃなくて良かった。
「まぁいいや。俺も入れてよ、ビーチバレー」
俺も久しぶりにバレーやりたくなってきた。
前は普通のバレーを体育でやるくらいだったけど、成績は一二を争う程度には良かった。
俺の特に得意な種目の一つだ。そりゃ本気でバレーやってる人には負けるけどさ。
ビーチバレーは初めてだから、どうなるか分かんないけど、大丈夫だろ。
「じゃあチームはシンとマギアス君、私とセレスでどう?」
レイが俺とマギアスのチーム、そしてレイとセレスのチームでやろうと提案してきて、俺はそれを受け入れる。
——いいだろう、ボコボコにしてやる。
―――――――――
俺は水着に着替えて、もう一度砂浜に戻り、試合を始める。
「じゃあ、1セット、21点先取でいいね?」
「はい」
普通のバレーより少ないな。
「はーい」
まずはマギアスのサーブから始まる。
バンッッ!! という爽快な音とともに、ボールが相手コートに引き込まれていく。
だが、レイがうまくレシーブし、ふわっとしたボールをセレスに上げる。
「セレスお願い!」
「はい!」
ちっ! いきなりスパイクとか、こいつら意外と上手かった。
セレスは今日ビーチバレーを知ったはずだから、超初心者のはずだよね? 多才ですか。
レイが打ったその球は、ちょうどマギアスのいる場所に突っ込んでいく。
「あぁ! コントロールミスった!」
悔しそうにするレイ。
今度はこっちの番だ!
俺はマギアスが上げたボールの落下点に移動し、トスの準備をする。
……あれ、そういえばビーチバレーって、ツーアタックありだっけ? それとも反則だっけ?
…………あれー?
「シン!?」
そんなことを考えていると、すぐ近くにボールが来ていた。
「あぁ!」
苦し紛れにトスを上げようとするが、始めをミスってしまったのでトスも精密とは程遠いものになってしまった。
「ぅーっらッ!」
俺のめちゃくちゃなトスをマギアスがむりやり相手コートに打ち込む。
「うわっ!」
無茶苦茶なトスを打った結果、無茶苦茶なスパイクとなり、レイとセレスは無茶苦茶に反応出来ず、無茶苦茶綺麗にボールは砂についた。
「あーもう! 今度は油断しない!」
「今度も決める!」
―――――――――
そんなこんなで楽しくやりながらバレーをやりまくっていたら、いつの間にかもう夕方になっていた。
「あー疲れた……」
風呂で砂を洗い流した後、ソファに倒れこみながら吐く。
でも、これじゃ特訓と変わらん……。
「明日は普通に、ゆるく、マイペースで遊びたい……」
「じゃ、明日は翡翠の海行こっか」
「あぁ……はい……って、翡翠の海って何です?」
軽いノリで了承してしまったが、今更『翡翠の海』というものを知らないことに気付く。
「うん、この島には三色の海があるって知ってるよね?」
「はい」
「それで、私達が今までいたのは群青の海。あれは観光用かな。遊びとかに適してる環境なのね」
へぇーそうだったんだ。全然知らんかった。
「それで翡翠の海はその効果で近くに行くと勝手にすっごい運動しちゃうの」
「へぇー……って、こんな疲れてるのにそんなのやだわ!」
鬼畜か!
つか何その変すぎる効果!
「あははは、うそうそ。そんなわけないから」
笑ったせいか、目に涙を浮かべながら、冗談だと言ってくる。
ど、どこが冗談? 翡翠の海について? それともそこに行くことが?
「翡翠の海は治癒が最もすごいんだよ。もはや効力がすごく高い温泉みたいな」
つまりは温泉と。
んで先輩が効果について嘘をついてたからあほすぎる効果を説明されたのか。
……それを信じた俺も俺だけど。
「それで透明の海なんだけど、なぜかあそこに行くと、あそこの記憶がなくなってるの」
……はい?
また先輩の嘘かな? ……いや、これは嘘じゃない。先輩のこの真剣な表情が、それを語っている。
「だから、透明の海のことは、多分、誰も知らない。そのことから付いた名称が……『虚無の海』」
「……!」
そう言い切った瞬間、この場の空気が凍り付いた。
——虚無の海。
群青の海、翡翠の海と来て、虚無の海か。なんとも不吉そうな名前だな。
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