イレギュラー・レゾナンス 〜原初の世界を再び救う為の共振〜
第38話 洗濯機
「それで、なんで待ってたんですか?」
「えっと、話す前にマギアス君とカイル君を連れてきてくれるかな? 2人にも関係のある話だから」
「分かりました」
そう言って俺1人で2人を呼びに行く。
レイとセレス、シェル先輩に喧嘩吹っ掛けてたりしないかな? 不安だ。
でも、マギアスとカイルも関係あるってことは、多分学園対抗戦が関わってるんだろうけど。
そんなことを考えていると、教室に到着した。
「もしもーし。マギアスとカイルー……」
「あ、シンお前どこ行ってたんだよ!」
「シン君もっとシャムル先輩について!」
「シン君……!」
「シン……!」
「シン……!」
……このうるさい奴らを忘れてた。
俺に集《たか》っているこの人混みの中を無理やり掻き分けてマギアスのところへ向かう。
俺を目的に集《たか》ってるからどれだけ掻き分けても終わりがない……。
集《たか》ってないのは目的のマギアスとカイルだけって……。
俺は何とかマギアスのところへ辿り着く。
「マギアス……生徒会室……来い……カイル……も……」
「うん、分かったよ。理解したから、早くそこを抜け出したら?」
「そう……させてもらうよ……」
あ、そうだ。この際丁度良い機会だから試してみるか。
自由自在のスキルを獲得してから、まだ1度も操魔法《そうまほう》を使っていない。……やるか。
俺はみんなを宙に浮かし、そのまま洗濯機のように回す。
「ほげぇぇぇ!!」
「おわぁぁ!!!」
「ぐへぇぇぇ!!」
「ごぼぼぼぼぼぼ」
「あぱばぱばー!」
「うぅれぇぇ!!」
「おぼがぼばー!」
クレア、女子がぐへぇなんて言うな。カーラも巻き舌なるな。
カーラって前も巻き舌になってたよな?
……って、あぱばぱばー? ライム、よくそんな言いにくいこと言えるな……って、あれ? 誰か溺れてない?
あ、ミラか。……ちょっと面白いな。もう少し続けてみよう。
ほら、溺れていたミラが息をしにくそうにしていて、次第に肌色を白くさせていってるよ。
……ん? あれ? これやばくない?
まずいと思い、みんなを浮かせるのをやめてミラを自分の近くに寝かせ、様子を探る。
「……マギアス。これ、生きてると思う?」
「思わない」
即答かよ……。
「シン、俺も一緒に詰所行ってあげるから」
異世界来て捕まるとかやだわ! 助けて!
「……ごふっ!」
あ、息を吹き返した。良かった。
「シン……お前……いくらなんでもこれはひどいだろ……」
「あ、ごめん。なんか試してみたら面白くてやってみちゃった」
みんな今ので酔ったのか、フラフラになっている。
「つい……」
「ねぇシン、今の内に行った方がいいんじゃない?」
「あ、そうだね」
「カイル、今から生徒会室行くよ」
「え、なんで?」
「俺も分かんないけど、シェル先輩が連れて来いって」
「シェル先輩って?」
「あぁ、シャムル先輩のことだよ。シェル先輩ってのはあだ名みたいな感じ」
「なるほどね」
―――――――――
そんなこんなの1騒ぎもあったが、それのおかげでマギアスとカイルの2人を安全に連れてくることが出来た。
他のSクラス生は置いておくとして。
にしても、あそこまで操魔法を使えるとは。本当にすごいな、自由自在。
前まではコップを動かす程度しか出来なかったのに。
「先輩、2人とも連れてきましたー」
「お、ありがとねー」
「それで、どういう要件なんですか?」
「うん、このメンツが集まってるってことでみんな予想してると思うんだけど、学園対抗戦関連のことでね」
やっぱりそれ関係か。
「みんな、アルスべリア島のことは知ってるよね?」
「はい」
マギアスが礼儀正しく答える。
「そこでの特訓についてなんだけど、なんと! 島で自由に遊んでもいいという許可が下りました!」
自分で拍手をして盛り上げながら言う先輩。
「ホントですか!?」
「本当に!?」
「おぉ」
マギアスよ。お前1人だけ反応薄いなオイ。
かく言う俺とレイはそれの凄さというものがいまいちよく分からないので反応はない。
「あれ、思ったより反応が薄いね?」
「それの凄さがいまいち分からないですから」
「あ、そっか。まだこの世界の情報には疎いか」
「そっかって……なんでですか?」
不思議そうにするカイル。
あ、やべ。
「……どうする?」
俺はこっそりとセレスに助けを求める。
「……どうしましょ」
あ、セレスでも無理だったら俺じゃ無理だ。
「シェル、シン君達のそのことは秘密だし」
「え? ……あ」
どうやらここでおっちょこちょいが発動してしまったみたいだ。
「えっと、どういうこと?」
カイルが説明してほしそうに言う。
「セレス、どうしたらいいと思う?」
ほぼセレス任せである。だめだな、俺。
「これ隠しても逆にみんなに広まるだけじゃないですか?」
あぁ、『ねぇ、シン達がこんな会話してたんだけどどういうことだろ?』みたいに広まっていくのが目に浮かぶよ。
「じゃあやっぱり、言った方がいいかな?」
「私はそう思いますかね」
「先輩、俺から話しますから」
「ごめんね……」
こりゃ結構落ち込んでるな。あとで慰めておこう。
「えっと、結論から言うと俺とレイは転移者なんだ」
「……?」
「結論から言うと俺とレイは転移者なんだ」
「……?」
「結論から言うと俺とレイは転移者なんだ」
「いや、それは分かったから」
「そう? まぁそういうこと」
これまで秘密にしてきたのが何だったのかという程あっさり終わったな。
「まぁ、それだったらシン達の強さにも説明が着くよね」
マギアスは簡単に納得してくれたな。
なんとなく勘付いてたのかな?
「いや……なんでそんな簡単に納得できるの?」
「俺は薄々だけどもしかしたらそうじゃないかなって思ってたから」
やっぱりそうみたいだ。
「……ここで追及しても浮くだけだから納得しとくよ」
「なんかごめんね、ありがと。ちなみにこのことは国王から秘密にって言われてるからみんなには言わないようにね」
「国王に……分かったよ」
「そうだったの?」
と、突然発言するシェル先輩。
「え、もしかして知らなかった?」
「……」
こりゃ知らなかったな。
「もしかして他の人に言ったりしました?」
「そ、それはシン君達が秘密にしてるのは分かったから言ってないよ!」
……それならいっか。
「それなら問題ありませんよ。これからはもっと気を付けて下さいね?」
「はい……」
―――――――――
それから時間が経ち、アルスべリア島に向かう船の上。結局マギアスもカイルもおーけーで全員揃っている。
船はアストリア家のものを使わせてもらっている。大きめな船で居心地が良い。
「うぅぅ……」
セレスが酔っている。
「セレス、大丈夫?」
「うい……」
強がってはいと言おうとしたんだろう。でもどっからどう見ても大丈夫じゃない。
「先輩、ちょっとセレス寝かしてきます」
酔っているセレスをお姫様抱っこしながらシェル先輩に話しかける。
「うえ?」
セレスがいきなり珍妙な声を上げる。いきなりこんなことしたから驚いたんだろう。
「大丈夫、すぐやめるから」
「うん、よろしくね」
「あ、私も行くよ」
「大丈夫、俺1人でできるよ」
俺ってそんな頼りないか? ショックだ。
「……」
レイが不満そうな顔をしている。
どうしたんだろうと思いながらも早く寝かしてあげなきゃと思い、ベッドのある部屋に向かう。
「ありがとうございます……」
セレスを寝かしつけるとお礼を言われた。セレス抱き心地良かったから少し名残惜しいな。
「うん。それより、体調は大丈夫? 顔も赤いし、もしかして熱とかない?」
「大丈夫ですよ。ちょっと酔っただけですから……」
「ほんと?」
「はい」
……やっぱり顔赤いよな?
セレスの強がりの可能性が高いと思い、自分の額をセレスの額にくっつける。
「ひゃっ」
「急にこんなことしてごめんね。でもやっぱり顔が赤いと思ったから」
「はい……」
「やっぱりちょっと熱くない?」
額を離しながら言う。
「って、さっきよりも赤くなってない?」
「そ、そんなことないですよ!」
「そう?」
「はい」
なぜこんなに断言される?
「少し寝てればすぐもとに戻りますから」
「そう? じゃあ一応俺はここにいるね」
「あ、ありがとうございます……」
「「……」」
暫し沈黙の時間が続き、それを破ったのはセレスだった。
「あの……」
「どうしたの?」
「手、握ってくれませんか?」
……ただ一言。可愛い。
「あ、うん」
そうだよな。体調悪い時ってなんか不安になるよな。誰かが手を握ってくれるだけですごく安心出来る。
そこまで頭が気が利かなかった……。くそ、次からは気を付けなきゃ。
「えっと、話す前にマギアス君とカイル君を連れてきてくれるかな? 2人にも関係のある話だから」
「分かりました」
そう言って俺1人で2人を呼びに行く。
レイとセレス、シェル先輩に喧嘩吹っ掛けてたりしないかな? 不安だ。
でも、マギアスとカイルも関係あるってことは、多分学園対抗戦が関わってるんだろうけど。
そんなことを考えていると、教室に到着した。
「もしもーし。マギアスとカイルー……」
「あ、シンお前どこ行ってたんだよ!」
「シン君もっとシャムル先輩について!」
「シン君……!」
「シン……!」
「シン……!」
……このうるさい奴らを忘れてた。
俺に集《たか》っているこの人混みの中を無理やり掻き分けてマギアスのところへ向かう。
俺を目的に集《たか》ってるからどれだけ掻き分けても終わりがない……。
集《たか》ってないのは目的のマギアスとカイルだけって……。
俺は何とかマギアスのところへ辿り着く。
「マギアス……生徒会室……来い……カイル……も……」
「うん、分かったよ。理解したから、早くそこを抜け出したら?」
「そう……させてもらうよ……」
あ、そうだ。この際丁度良い機会だから試してみるか。
自由自在のスキルを獲得してから、まだ1度も操魔法《そうまほう》を使っていない。……やるか。
俺はみんなを宙に浮かし、そのまま洗濯機のように回す。
「ほげぇぇぇ!!」
「おわぁぁ!!!」
「ぐへぇぇぇ!!」
「ごぼぼぼぼぼぼ」
「あぱばぱばー!」
「うぅれぇぇ!!」
「おぼがぼばー!」
クレア、女子がぐへぇなんて言うな。カーラも巻き舌なるな。
カーラって前も巻き舌になってたよな?
……って、あぱばぱばー? ライム、よくそんな言いにくいこと言えるな……って、あれ? 誰か溺れてない?
あ、ミラか。……ちょっと面白いな。もう少し続けてみよう。
ほら、溺れていたミラが息をしにくそうにしていて、次第に肌色を白くさせていってるよ。
……ん? あれ? これやばくない?
まずいと思い、みんなを浮かせるのをやめてミラを自分の近くに寝かせ、様子を探る。
「……マギアス。これ、生きてると思う?」
「思わない」
即答かよ……。
「シン、俺も一緒に詰所行ってあげるから」
異世界来て捕まるとかやだわ! 助けて!
「……ごふっ!」
あ、息を吹き返した。良かった。
「シン……お前……いくらなんでもこれはひどいだろ……」
「あ、ごめん。なんか試してみたら面白くてやってみちゃった」
みんな今ので酔ったのか、フラフラになっている。
「つい……」
「ねぇシン、今の内に行った方がいいんじゃない?」
「あ、そうだね」
「カイル、今から生徒会室行くよ」
「え、なんで?」
「俺も分かんないけど、シェル先輩が連れて来いって」
「シェル先輩って?」
「あぁ、シャムル先輩のことだよ。シェル先輩ってのはあだ名みたいな感じ」
「なるほどね」
―――――――――
そんなこんなの1騒ぎもあったが、それのおかげでマギアスとカイルの2人を安全に連れてくることが出来た。
他のSクラス生は置いておくとして。
にしても、あそこまで操魔法を使えるとは。本当にすごいな、自由自在。
前まではコップを動かす程度しか出来なかったのに。
「先輩、2人とも連れてきましたー」
「お、ありがとねー」
「それで、どういう要件なんですか?」
「うん、このメンツが集まってるってことでみんな予想してると思うんだけど、学園対抗戦関連のことでね」
やっぱりそれ関係か。
「みんな、アルスべリア島のことは知ってるよね?」
「はい」
マギアスが礼儀正しく答える。
「そこでの特訓についてなんだけど、なんと! 島で自由に遊んでもいいという許可が下りました!」
自分で拍手をして盛り上げながら言う先輩。
「ホントですか!?」
「本当に!?」
「おぉ」
マギアスよ。お前1人だけ反応薄いなオイ。
かく言う俺とレイはそれの凄さというものがいまいちよく分からないので反応はない。
「あれ、思ったより反応が薄いね?」
「それの凄さがいまいち分からないですから」
「あ、そっか。まだこの世界の情報には疎いか」
「そっかって……なんでですか?」
不思議そうにするカイル。
あ、やべ。
「……どうする?」
俺はこっそりとセレスに助けを求める。
「……どうしましょ」
あ、セレスでも無理だったら俺じゃ無理だ。
「シェル、シン君達のそのことは秘密だし」
「え? ……あ」
どうやらここでおっちょこちょいが発動してしまったみたいだ。
「えっと、どういうこと?」
カイルが説明してほしそうに言う。
「セレス、どうしたらいいと思う?」
ほぼセレス任せである。だめだな、俺。
「これ隠しても逆にみんなに広まるだけじゃないですか?」
あぁ、『ねぇ、シン達がこんな会話してたんだけどどういうことだろ?』みたいに広まっていくのが目に浮かぶよ。
「じゃあやっぱり、言った方がいいかな?」
「私はそう思いますかね」
「先輩、俺から話しますから」
「ごめんね……」
こりゃ結構落ち込んでるな。あとで慰めておこう。
「えっと、結論から言うと俺とレイは転移者なんだ」
「……?」
「結論から言うと俺とレイは転移者なんだ」
「……?」
「結論から言うと俺とレイは転移者なんだ」
「いや、それは分かったから」
「そう? まぁそういうこと」
これまで秘密にしてきたのが何だったのかという程あっさり終わったな。
「まぁ、それだったらシン達の強さにも説明が着くよね」
マギアスは簡単に納得してくれたな。
なんとなく勘付いてたのかな?
「いや……なんでそんな簡単に納得できるの?」
「俺は薄々だけどもしかしたらそうじゃないかなって思ってたから」
やっぱりそうみたいだ。
「……ここで追及しても浮くだけだから納得しとくよ」
「なんかごめんね、ありがと。ちなみにこのことは国王から秘密にって言われてるからみんなには言わないようにね」
「国王に……分かったよ」
「そうだったの?」
と、突然発言するシェル先輩。
「え、もしかして知らなかった?」
「……」
こりゃ知らなかったな。
「もしかして他の人に言ったりしました?」
「そ、それはシン君達が秘密にしてるのは分かったから言ってないよ!」
……それならいっか。
「それなら問題ありませんよ。これからはもっと気を付けて下さいね?」
「はい……」
―――――――――
それから時間が経ち、アルスべリア島に向かう船の上。結局マギアスもカイルもおーけーで全員揃っている。
船はアストリア家のものを使わせてもらっている。大きめな船で居心地が良い。
「うぅぅ……」
セレスが酔っている。
「セレス、大丈夫?」
「うい……」
強がってはいと言おうとしたんだろう。でもどっからどう見ても大丈夫じゃない。
「先輩、ちょっとセレス寝かしてきます」
酔っているセレスをお姫様抱っこしながらシェル先輩に話しかける。
「うえ?」
セレスがいきなり珍妙な声を上げる。いきなりこんなことしたから驚いたんだろう。
「大丈夫、すぐやめるから」
「うん、よろしくね」
「あ、私も行くよ」
「大丈夫、俺1人でできるよ」
俺ってそんな頼りないか? ショックだ。
「……」
レイが不満そうな顔をしている。
どうしたんだろうと思いながらも早く寝かしてあげなきゃと思い、ベッドのある部屋に向かう。
「ありがとうございます……」
セレスを寝かしつけるとお礼を言われた。セレス抱き心地良かったから少し名残惜しいな。
「うん。それより、体調は大丈夫? 顔も赤いし、もしかして熱とかない?」
「大丈夫ですよ。ちょっと酔っただけですから……」
「ほんと?」
「はい」
……やっぱり顔赤いよな?
セレスの強がりの可能性が高いと思い、自分の額をセレスの額にくっつける。
「ひゃっ」
「急にこんなことしてごめんね。でもやっぱり顔が赤いと思ったから」
「はい……」
「やっぱりちょっと熱くない?」
額を離しながら言う。
「って、さっきよりも赤くなってない?」
「そ、そんなことないですよ!」
「そう?」
「はい」
なぜこんなに断言される?
「少し寝てればすぐもとに戻りますから」
「そう? じゃあ一応俺はここにいるね」
「あ、ありがとうございます……」
「「……」」
暫し沈黙の時間が続き、それを破ったのはセレスだった。
「あの……」
「どうしたの?」
「手、握ってくれませんか?」
……ただ一言。可愛い。
「あ、うん」
そうだよな。体調悪い時ってなんか不安になるよな。誰かが手を握ってくれるだけですごく安心出来る。
そこまで頭が気が利かなかった……。くそ、次からは気を付けなきゃ。
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