イレギュラー・レゾナンス 〜原初の世界を再び救う為の共振〜

新海 律希

第15話 みんなにとっては天国。俺にとっては地獄

 それから俺たちはセレスについて行きパラシェル公園に来た。

 ……すごい。
 ここだけ全く空気が違う。

 ここを表すとしたら、俺は幻想的という言葉以外分からないだろう。

「すごい……」
 隣にいるレイも俺と同じように唖然としながらそう呟いた。

「そうでしょう? 何せここは英雄であり、この国を作ったと言われているマゴスが自ら作ったと言われる場所なんです」

 ……マゴス?
 あぁ、そういえばなんかロリにそんな説明されたな。
 今はもういないけどマゴスっていう英雄がいるって。

 そう思った時突然、頭に衝撃が響いた。
「痛っ!」

 そのせいで少しよろめいてしまった。

「大丈夫ですか!?」
 セレスが心配してくれる。

「うん、大丈夫。少し頭痛がしただけだから」
「ほんとに大丈夫?」
 レイまでも心配している。

 あ、この前倒れちゃったからその時のがまだ抜けてないのかな。

 いつもなら小馬鹿にしながら少し心配する程度だし。

「うん、ほんとにもう何ともないし大丈夫」
「ならいいけど……」
「それはよかったです」

「あのさ、シン。1つ言っていいかな?」
「ん? 何?」

「こんな幻想的な所に私服で腰に刀備えてるのはなんか場違い感あるよね」
「それ少し気にしてたんだから言わないでくれよ……」

「ごめん、なんか場違い感あるからどうしても気になって」
 せめて戦闘服に刀だったらまだ大丈夫だったかもしれないな。流石に戦闘服とかで出掛けるのはしないけど。

「でも装備してるのは仕方ないだろ?」
「まぁそうだけど」

 一応俺たちは第3王女様と一緒にいる。
 なら護衛をしなきゃいけなくなるのは当然の事だ。
 だから俺もレイも共振武器を身に付けている。

 レイは双銃だからあまり目立たないが、俺は刀だからけっこう目立つんだよな……。

 余談だが、ソルセルリー学園だけに限らず、全ての学校の生徒は学校生活の中で自分の武器を常備してるんだとか。

 別に学校で禁止はされていないみたいだ。
 むしろ何かあった時に困るから逆に装備してろとなっているそう。

 流石に共振武器を持っている生徒はあまりいないみたいだが。

 でも何人かすごい才能の持ち主がいるそうで、ソルセルリー学園には4人共振武器を扱える生徒がいるそう。

 ちょっと戦ってみたいよな。

「とりあえず、あちらに私の1番好きな場所があるので、そこに行ってみませんか?」

「いいよ」
 セレスの1番好きな場所か……。
 どんな所だろ。

「えっと、かなり自信があるので目隠ししててもらってもいいですか?」
 そう言いながらアイマスクをどこからか取り出した。

 え、なんで持ってるの?

「今どこから出したの?」
「空間魔法を使っただけですよ?」
 空間魔法!
 なんかすごそう。

「あ、もちろん空間移動や空間創造となどは出来ませんけどね? でも、空間魔法を使った異空間収納は結構使える人は多いんですよ?
 多分シンさんたちもやればすぐに出来るようになると思います」
 まじか。
 時間ある時プロットに教えてもらお。

「じゃあこれを付けてください」
「うん」
 俺たちはセレスからもらったアイマスクを付ける。

 ……?
 何も見えない。
 いや、アイマスク付けてるから見えないのは当たり前なんだけど、それにしては少しも光が見えなさすぎないか?

「……なぁセレス」
「はい?」
「もしかしてこのアイマスクって魔道具だったりする?」
「あ、よく分かりましたね。それは人の視界を完全に閉じてリラックス効果もある、休む時などによく使われるものです」
「へぇー」

「込める魔力量によっては人の五感を遮断することも出来ますよ?」
 物騒だな! おい!

「はい、ちょうど着きました!」

 俺たちはアイマスクを取り、その景色を目の当たりにする。
 次に俺たちがなった状態は、沈黙だった。

 そこは、青く燃えるように見える花が辺り一面に咲き誇っている。
 花だが、何かオーラみたいな、威厳があるようにすら感じられる程だ。

「……ここは、青く燃えるような花、青焔花の楽園です。」
 青焔花……。

「この世界で青焔花が咲いているのは、ここだけなんです」
「ほんとにすごい……」
「でしょう? ここに来ると、なんでも嫌なことが忘れられるんです」

 俺たちはそのまま、30分間見入ってしまっていた。

 ―――――――――

「……さぁ、もうそろそろ行きましょう? ずっとここにいるわけにはいかないですし」
「あ、うん。そうだね」
 確かに、流石に居すぎたな。

「えっと、この後は昼食取るんだっけ?」
「はい」

 そうして俺たちは昼食を取りにその場を立ち去った。

 あの景色を忘れることは一生ないだろうな……。

 近くにファミレスっぽいのがあったのでそこで昼食を取ることにした。

 俺はステーキ、レイとセレスはパスタを食べた。

 女子としてお肉はやっぱり抵抗があるのだろうか。

「それじゃあ、サンクテュパークに行きましょうか」
 笑顔で言うセレス。

「シン、楽しみだね?」
 こちらもまた笑顔で言うレイ。

 だがこいつの笑みはセレスと違って純粋な笑みじゃない。

 邪悪な笑みだ。

「……」

 正直、俺は絶叫系のものは無理、怖い。
 ジェットコースターなんて乗ったのは初めて乗った時と、レイに無理やり乗らされた2回のみ。
 無論2回とも放心状態になった。

 あぁ……嫌な思い出が蘇ってくる……。

 こいつ、それを分かっててこんなこと言ってきてやがるんだ。

 ……絶対何かしてくるな。

 厳しい戦いになりそうだ。

 ―――――――――
 そして結果は……。

 俺は3回ほど絶叫系のものに乗らされた。
 力ずくで。

 精神ズタズタだよ……。耐えてるから泣いてはないがものすごく怖かった……自分で操作するなら大丈夫なんだけどな……。

 抵抗するとレイがわざと目立ってめちゃくちゃ恥ずかしい思いをする羽目になるから……すごい恥ずかった……。

 小さい子に『あのお兄ちゃんあれも乗れないんだー!』
 や、日本で言うジェーケーみたいなやつに『見てあれ、めっちゃダサい』とクスクス笑われながら言われたりと……それはもう、地獄だった。

 傍から見ると面白いだけだが体験してみるとえぐいほど精神やられる……。

 俺にとってはどっちを選んでも待ってるのは地獄だし。

「早く魔法院ってとこに行こ……」
 やつれた俺は早くここから立ち去りたくてそう言う。

「あの……大丈夫ですか?」
 ……セレスいい子。

「うん、まぁ大丈夫……」
「じゃあもう魔法院行こっか」
「そうして……」

「セレス、また案内してくれる?」
「はい、勿論です」

 サンクテュパークを出るまで、終始レイは笑っていた。

 二度とこんなとこ来るか……。

 このやろー。

 ―――――――――

 魔法院に着く頃には、俺も回復していた。

「へぇ、ここが魔法院」

 その見た目はなんかもう、大学だ。

「とりあえず中に入りましょ?」
「うん」

「3名様ですね?」
「はい」

 なんか受付みたいな所で署名をした。
 なんかトラブルとか過去にあったみたいだからそれを避けるためなんだとか。

 よく分かんなかったけど。

「では、ガイドをお付けしますか? それとも、自由に?」
「自由で」
「かしこまりました。では魔法院にいる間は、このバッジをお付けください」

 丸いバッジをもらい、胸辺りに付ける。

「では、お楽しみ下さい」

「セレス。質問2ついい?」
「何ですか?」
「まず1つ、このバッジ何?」
「それは私も分かりません。以前お聞きしたことがあるのですが、それは私にも機密だとか」
 へぇ、第3王女にも明かさない?

「んじゃあ2つ目。魔法院って、魔法研究とかするとこじゃないの? なんかこれじゃ遊園地みたいだけど」
 遊園地……。

 でも『お楽しみ下さい』ってほんとにそれっぽいよな。

「もちろん魔法研究もしていますよ。それが主目的ですから。
 ただ、その判明したこと、それを応用して何が出来るかなど、一般公開して、全体の魔法技術を高めていく、関心を持たせる、などの目的があるんです。と、私は父に聞きました。」

 あぁ、理解。
 だからって全部無料はすごいよな。

「そゆことね、ありがと」
「いえいえ。あ、まず初めにあれやってみましょ?」

 そう言って指差した所には、浮遊体験と書かれていた。

 おぉ、空飛べるってこと?
 でもなんかこの世界の人普通に空飛びそうだけど。

「この世界に浮遊魔法使える人ってどれくらいなの?」
「この世界全体で、3人もいないと思いますよ」
 まじか!

「魔法は原理を理解していないと使えませんから。簡単なものは分かっていなくても出来ますが、浮遊魔法ともなると理解しなければ使えません。軍でも使えるのは四天王のメイタール様のみです」

 まじか。
 浮遊魔法は使ってみたいよなー。
 重力をなくして風を使って飛ぶのは出来ないのかな? 時間ある時にやってみよー。

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