カオルの邂逅旅記
青の時代の記憶
カオルはしばらくした静かに目を開けた。
 「……。」
またしても眠ってしまっていたようだった。
 カオルはしばらくボーッとしていた。どうやら一番最初に乗っていた快速電車にもどったようだった。座席が一番最初の進行方向と同じ方向になっている。
 「……。」
 カオルは周囲をよく観察していると、なにか違和感を感じた。
「……あれ……?」
 よく観察をしていると最初に乗っていた電車とは車内の内装が若干違っていることに気付いた。
 ということは、また、眠っている間に違う電車に乗っていたということになるのだろうか。
 自分の右前に座っている男の子を見かけた。
 やれやれ……、と思いつつ見ていたが、急にはっとした。その瞬間まるで、カオルの脳内に激しい電気信号が流れたかのようだった。
 髪は長く、肩まであり、ひとつくくりに結んでいる。上にはなにも着ず、白い薄手で長袖のブラウスを着ているだけだ。
 中学生時代のカオルが座っていた。
カオルは心の中で小さく呻き声をあげた。
「うおぉ……。」
 なんてことだろう。またしても過去のカオル自身が今この電車に乗っている……。
 大人版のカオルは興味津々で過去の自分を、見つめていた。
 ということは、この電車はカオルの記憶をおっているということなのか……。
カオルの中で疑問が確信に変わった。同時に
 カオルは驚き戸惑いながらも、心の底でどこかわくわくしている自分もいた。
 先程の記憶を見たときから、カオルのこの今の現状に対しての考えが変わっていた。今ジタバタしても仕方がない……。
 臨時の休暇ができたと思って、今の状況を楽しむのが一番いいような気がする。
 カオルは、昔の自分をとてつもない親近感をもって見つめていた。そりゃ自分自身だから、親近感しかわかない。
 「あー……。あの制服の着方……。なつかしいなぁ……。」
カオルは思わず小さな声で呟いてた。
 中学生の頃のカオルは、今カオルが座っている位置からは横顔しか見えない。肌は今よりもやはり、透き通るように白くて、髪は完璧な黒い色をしていた。
 髪の毛を伸ばしていた頃の時代だ。
うぁー……。大人になったカオルが改めて今見ると、中学生の中では随分変わった格好をしているなと我ながら思った。
 中学生で当時のカオルと同じような格好をしている奴はいなかったと思う。
 今でこそかなり校則などがゆるくなっていて、昔よりも随分と自由な服装が許されてはいるものの、まだ当時の頃だと、カオルのこの一風変わったスタイルは、クラスで過ごすには随分と覚悟を決めないとできなかっただろうに……、と思った。
 「よくいじめられなかったよな、本当。」
  中学生の頃のカオルは、熱心に本を読んでいる。タイトルが英文で書かれており、茶色い背広の本だ。それをしばらく黙って読んでいた。それから、おもむろに窓の外の景色を見つめた。
 大人のカオル自身も外の景色を見つめてみた。カオルは都内の私立の中学校に通っていて、電車通学をしており、毎日電車の中で見つめていた懐かしい景色が流れていた。
 時間帯は昼ぐらいだろうか……。空は白く曇っているから、若干車内は暗く感じた。
 中学生のカオルはしばらく外の景色を眺めていた後、ふと前方の方向を見た。するとなにかに気づいて驚いた表情をした。そして、明らかになにかに緊張したかのような、固い表情になっていた。
 カオルは不思議に思って、その表情の先を見つめてみた。
 同じ制服を来た同年代ぐらいの中学生の生徒が左側の窓を向いて座っている。顔は誰ここからみてもわからなかったので、静かに中学生のカオルの後ろの席に移動した。
 「あっ……」
 カオルは思わず小さな声をあげた。
 ここからでも顔の表情は向こうを向いており、誰なのかはっきりとはわからなかったが、この景色をみた瞬間誰なのかはっきりと分かった。
 茶色い短い短髪の髪型に、肌もパンがこんがり焼けたような小麦肌色をしていた。ブラウスの上にカオルとは違って、薄橙のセーターを羽織っている。
 土橋くん……?
 カオルは中学生の自分を振り替えって見てみると、いかにも複雑そうな表情をしている……。
 間違いない、土橋くんだ……。
 カオルは急に10年以上も前の昔の記憶が鮮明に頭の中に上がってきた。
 もうすっかり忘れていた……。
 いや、本当は覚えていて必死に自分の頭の中に上らないようにしていただけなのかもしれない……。
 教室、クラスのメンバー、同じような制服を着ている生徒たち……。カオルは思わず空色の両目を閉じた。 
 
      
 「……。」
またしても眠ってしまっていたようだった。
 カオルはしばらくボーッとしていた。どうやら一番最初に乗っていた快速電車にもどったようだった。座席が一番最初の進行方向と同じ方向になっている。
 「……。」
 カオルは周囲をよく観察していると、なにか違和感を感じた。
「……あれ……?」
 よく観察をしていると最初に乗っていた電車とは車内の内装が若干違っていることに気付いた。
 ということは、また、眠っている間に違う電車に乗っていたということになるのだろうか。
 自分の右前に座っている男の子を見かけた。
 やれやれ……、と思いつつ見ていたが、急にはっとした。その瞬間まるで、カオルの脳内に激しい電気信号が流れたかのようだった。
 髪は長く、肩まであり、ひとつくくりに結んでいる。上にはなにも着ず、白い薄手で長袖のブラウスを着ているだけだ。
 中学生時代のカオルが座っていた。
カオルは心の中で小さく呻き声をあげた。
「うおぉ……。」
 なんてことだろう。またしても過去のカオル自身が今この電車に乗っている……。
 大人版のカオルは興味津々で過去の自分を、見つめていた。
 ということは、この電車はカオルの記憶をおっているということなのか……。
カオルの中で疑問が確信に変わった。同時に
 カオルは驚き戸惑いながらも、心の底でどこかわくわくしている自分もいた。
 先程の記憶を見たときから、カオルのこの今の現状に対しての考えが変わっていた。今ジタバタしても仕方がない……。
 臨時の休暇ができたと思って、今の状況を楽しむのが一番いいような気がする。
 カオルは、昔の自分をとてつもない親近感をもって見つめていた。そりゃ自分自身だから、親近感しかわかない。
 「あー……。あの制服の着方……。なつかしいなぁ……。」
カオルは思わず小さな声で呟いてた。
 中学生の頃のカオルは、今カオルが座っている位置からは横顔しか見えない。肌は今よりもやはり、透き通るように白くて、髪は完璧な黒い色をしていた。
 髪の毛を伸ばしていた頃の時代だ。
うぁー……。大人になったカオルが改めて今見ると、中学生の中では随分変わった格好をしているなと我ながら思った。
 中学生で当時のカオルと同じような格好をしている奴はいなかったと思う。
 今でこそかなり校則などがゆるくなっていて、昔よりも随分と自由な服装が許されてはいるものの、まだ当時の頃だと、カオルのこの一風変わったスタイルは、クラスで過ごすには随分と覚悟を決めないとできなかっただろうに……、と思った。
 「よくいじめられなかったよな、本当。」
  中学生の頃のカオルは、熱心に本を読んでいる。タイトルが英文で書かれており、茶色い背広の本だ。それをしばらく黙って読んでいた。それから、おもむろに窓の外の景色を見つめた。
 大人のカオル自身も外の景色を見つめてみた。カオルは都内の私立の中学校に通っていて、電車通学をしており、毎日電車の中で見つめていた懐かしい景色が流れていた。
 時間帯は昼ぐらいだろうか……。空は白く曇っているから、若干車内は暗く感じた。
 中学生のカオルはしばらく外の景色を眺めていた後、ふと前方の方向を見た。するとなにかに気づいて驚いた表情をした。そして、明らかになにかに緊張したかのような、固い表情になっていた。
 カオルは不思議に思って、その表情の先を見つめてみた。
 同じ制服を来た同年代ぐらいの中学生の生徒が左側の窓を向いて座っている。顔は誰ここからみてもわからなかったので、静かに中学生のカオルの後ろの席に移動した。
 「あっ……」
 カオルは思わず小さな声をあげた。
 ここからでも顔の表情は向こうを向いており、誰なのかはっきりとはわからなかったが、この景色をみた瞬間誰なのかはっきりと分かった。
 茶色い短い短髪の髪型に、肌もパンがこんがり焼けたような小麦肌色をしていた。ブラウスの上にカオルとは違って、薄橙のセーターを羽織っている。
 土橋くん……?
 カオルは中学生の自分を振り替えって見てみると、いかにも複雑そうな表情をしている……。
 間違いない、土橋くんだ……。
 カオルは急に10年以上も前の昔の記憶が鮮明に頭の中に上がってきた。
 もうすっかり忘れていた……。
 いや、本当は覚えていて必死に自分の頭の中に上らないようにしていただけなのかもしれない……。
 教室、クラスのメンバー、同じような制服を着ている生徒たち……。カオルは思わず空色の両目を閉じた。 
 
      
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