異世界転生した悪役魔女のリセットライフ

如月ゆかり

第十一部 守りたいもの



「──さん。」




誰かが呼んでる気がするのに瞼が重くて開けられない。


身体も重い。




「───さん、ミッシェルさん!!」




だれ、私を呼んでるのは...。




「よかった、目が覚めたんですね」


「レイラ?」




なんでレイラがここに居るの?




「ミッシェルさんも変な女の人達に連れ去られたんですよね。」




変な?


あぁ、そうか。私眠らされていたんだ。


じゃあここは何処?どこかの地下室かな。




「ここはきっと、体育倉庫の地下でしょうね。」




体育倉庫に地下なんてあったんだ。


てかなんでレイラはこの場所の事を知ってるんだろう。




「レイラ、ここに来た事あるの?」


「えぇ、ちょっと学校を見て周ってた時に」




っ、まただ。レイラの笑顔に違和感を感じる。


...気のせいだよね。




「お目覚めの様ね。」




コツッコツッと足音をたてて高いヒールを履いたおしゃれに着飾ってる女の人が私達の前に現れた。




「私達に何か用!?」


「威勢が良いわね。流石はエヴァン会長に楯突いただけのことはあるわ」




あの光景を見ていた?




成る程ね...。どこかで見たことがあると思ったら会長の後ろに仕えていた取り巻きの一人じゃない。だとしたら会長に物言いをした私が許せなかったのね。


だったら、狙いは私のはず。なんで、レイラまで巻き込むの?




「あなた達の狙いは私だよね。なんでレイラまでこんな目に合わせるの?」




そう言ったら取り巻きの人は目を丸くしていた。


そして次の瞬間には小馬鹿にしたようにクスクスと扇子で口許を隠しながら笑っていた。




「あら、狙いを分かってるのね。格下の魔女にしてはやるじゃない?」


「確かに私は、あなたさえ黙らせればそれで良かったのだけど...あなた、自分よりも周りが傷付く方が嫌でしょ?」




嫌な汗が出てくる。


今日会ったばかりの人に見透かされるのははっきり言って気分が悪い。


だけど.....当たってる。


それを分かった上でレイラを捕まえたの?だとしたら...




「茨よ、あの女を貫きなさい。」


「っ、!」


「レイラ!!」




私が守らないと!誰も傷付くことがないように!




「あっ、うっ...」




レイラは怪我してない?私は、守れたかな?ちらっとレイラの方を見ると目に大粒の涙を溜めたレイラが私の方に手を伸ばしていた。




「ミッシェルさん、血が!」




お願い、泣かないで。


じゃないと、私が悪いみたいじゃん。




「やっぱりね。あなたは誰彼構わず助けようとする。それはその内、自分を滅ぼすだけなのにね。」




私は痛みに耐えながらもこちらを見下ろしてくる女を睨み付けた。だけど女は微動だにしない。


血が全然止まんないしこのままだと死んじゃうかもしれないな。 


でも、死ぬわけにはいかないんだ。


だって私は、ミッシェルの人生をやり直さないといけないから。


ベルに、ルイズに、メルにもう一度会いたいから。




「あなた達が私を気に入らないなら私を潰せば良い。だけど、私の大切な人達を傷付けるなら私だって容赦しない...。」


「な、生意気な!」


「そこで何をしている。」




ある人の声が地下室に響いた。


その声を聞いた途端、私を平手打ちしようとしていた女の手が止まった。




「え、エヴァン会長...」


「体育倉庫の扉が開いてるから何事かと思えば。」




会長と目が合うがなぜかそれが居たたまれなく感じ、私は会長から目を反らした。




「そちらのお嬢さんを怪我させたのは君か?」


「え、あっ、いや...」


「何も言わないのは肯定と見なしていいんだな?」


「ひっ!!」


「この学園で問題を起こす者をここに居らすわけにはいかない。直ちにこの学園から去れ」


「で、ですが!」


「...俺に逆らうのか?」


「い、いえ...失礼します!」




なんでエヴァン会長が助けてくれたのかは分かんないけどお陰様で助かったのは事実だ。


会長にお礼を言わなきゃいけないのに安心して眠気が来ちゃった。


ここで寝るのははしたないのは分かってるんだけど...。






一回来た眠気には勝てるわけがなく、私はそのまま瞼を下ろして眠ってしまった。

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