異世界転生した悪役魔女のリセットライフ

如月ゆかり

第十部 私の願い



ーあなた、何者?ー




メルリちゃんにそう尋ねられたけど、本当の事を言えるわけもなく...。


メルリちゃんに悪いと思いながらも私は口を噤んだ。




「何も言えないんだ。」




ごめんなさい。




「まぁ、別に良いけど」




メルリちゃんに心の中で謝っていると返ってきたのは意外な言葉だった。




「私、あなたの事興味ないし」


「...でもまぁ、約束は守ってあげる」




っ!?


すっかり忘れてた。私達戦っていたんだ。


メルリちゃんは約束を守るって言ってるけど、それって...




「私の勝ちって事?」


「...あなたから言われるとムカつくけど認めてあげる。どんな形でさえ、勝ったのは事実だしね。」




だったら、もう一度言おう。




「メルリちゃん、私とお友達になってください!」




私はメルリちゃんに片手を差し出した。




「...また言うんだ...うん、いいよ。よろしく。」


「後ひとつ、お願いがあるんだけど。」


「まだ、あるの?」




そ、そんなに睨まないでよ。友達になれただけでも贅沢なのにそれ以上何かを求めるのはおかしいってのはわかるけど。




「メルって、呼んでいい?」


「...勝手にしたら」




絶対呆れてるよ。私だって、しょうもないお願い事だと思うもん。だけど、呼ぶの夢だったんだよ?私がゲームしてた時にこっそり呼んでいたあだ名が“メル”だったの。まさか、本人に直接言えるとは思ってなかったけど。




「ありがとう、メル!」




うわぁ、凄く良い響き!


調子に乗って今度は、メルにミッシェル呼びをさせようとすると流石にー調子に乗りすぎーと言ってほうきで叩かれてしまった。


だけどその後、頬を染めて小さく名前を呼んでくれたからキュンとしちゃった。


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「うまく行った?」 




教室に戻るとルイズが耳打ちをしてきた。


それに私はピースで答えた。




「そう、なら良かった」




ルイズはホッとしてるみたい。


優しいなぁ...意外と友達想いだよねルイズって。




「あっ、いたいた!」




ルイズと話してると、ベルがこちらに少し慌てた様子で掛けてきた。




「ミッシェル、さっき女の人達がミッシェルの事を探してたよ」


「女の人?」




誰の事を言ってるんだろう。なんか、嫌な予感がする...。




「不穏な空気を漂わせていたから気を付けた方がいいかも」




心配してくれてるんだ。


だったら、安心させてあげないと。




「大丈夫だよ、ベル!もしかしたらちょっとした用事かもしれないでしょ?私、その人達を探してみるね!」


「あっ、ミッシェル!!」




私の問題は自分で解決しなきゃ!


誰も傷付けさせないんだから。


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「ねぇ、あなたミッシェルの友達なんだよね」


「...まぁ、一応。」


「だったら、お願い。ミッシェルを守って。ミッシェルを魔の手から...。」


「.....言われなくてもそのつもりだよ。」


「ミッシェルは何がなんでも守るよ。彼女を失いたくはないからね。」


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私を探してるって事は私を恨んでる誰かって事よね。


私、ミッシェルに転生してからバッドエンドにならないように色々と努力しながら生きてきたから人の嫌がる様な事してないよ。


いや、ちょっと待てよ?


ひとつ、心あたりがあるような。




「ミッシェル・エドワーズだな」


「え、誰!?」




いつの間にやってきたのか、フードを深く被った女の人に背後から腕を縛られてしまって身動きがとれなくなってしまった。




「怪我したくなかったら、大人しくしていろ。」




女の人は、何か呪文のようなものを唱え始めた。


すると急に瞼が重くなって、意識が朦朧としてしまう。




私はそこで意識を途絶えてしまった。

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