異世界転生した悪役魔女のリセットライフ
第二章 ベルの家
「ミッシェルって、どこに住んでいるの?」
「どこって...」
...どこだろ?ミッシェルの家に行った事ないしなぁ。でも、分からないって言えるわけないよ。
絶対に怪しまれる。
―あっ、そうだ―
私はピンときて、上手くいくか分からない作戦を実行してみる事にした。
「実は、私...」
「家出してきたの!」
ミッシェルは家で孤独だったみたいだし、帰らなくても探すことはないはずだから、バレる事はないよね...?
「だからこれから、少しの間住まわせてくれるとこを探してるんだぁ~...」
わざと“住まわせて”のとこを強調してちらっとベルに視線を送った。そんな事をしたってこの鈍感ガールに伝わる保証はないんだけど。
―お願い、ベルのとこに住まわせて。そして恋愛イベントを観察させて?―
私の思い伝われ!
「だったら、私のとこに来る?」
「マジ?!」
「え、?」
「.....う、ううん!でも、ご迷惑じゃない?」
いっけない...もう少しで素が出るとこだったよ。だけど、私の思いが伝わったのかは別としてベルがそんな事を言ってくれるだなんて。
私の考えてるストーリーが再現されつつあるわ!
「私のお父さんとお母さんならきっと大丈夫。ミッシェル可愛いから絶対歓迎してくれるよ」
確かベルの親って、お父さんの方がどこでも居そうな感じで、お母さんの方がちょっと厳しめな感じだったよね。
お父さんはともかく、お母さんが歓迎してくれるとは思わないんだけどな。
『なに?この小娘...。家は生活がままならないのよ。貴女一人家に置くだけでどんだけGがかかると思ってんの?そんなに置いてほしいなら外で何か仕事してきなさいよ!』
絶対、言われそう...。でも、他に行くとこなんてないし...。
でも、お母さんの言う通りだよね。ベルの家は、ほぼギリギリの生活を続けてんだからそんな中に私が来たらちゃんと生活が出来るのかも怪しいし。
私、図々しかったよね。
私が申し訳なさでいっぱいの中でも、ベルはどんどん話を進めていく。
「ちょっと川を渡らなきゃならないんだけど、ミッシェルはそのホウキに乗ってきたんでしょ?」
ベルの視線は私の横に置いてあるホウキの方へ。
反対に私は、ベルの姿を見てもう少しで声をあげそうになってしまう。
気にしてなかったけど、ベルは川の中に入ったのか、あっちこっち汚れていた。ハッキリ言ってずっとは見てられない。そんな中私は、全くと言って良いほど汚れてなかった。
このホウキに乗ってここまで来たのね。まぁ、当たり前よね。魔女なんだから。
ホウキで空を飛ぶって気持ちいいのかな?ずっとゲームしてて気になってたのよね。今、このホウキは私のなんだから乗っても誰にも怒られないわよね。
―よし、乗ってみよう―
ホウキにゆっくりと乗ってみたら、そのホウキは宙に浮きだした。
―すごい、浮いてる!―
嬉しさのあまり声をあげようとした矢先、ホウキがいきなり逆さになって私を振り落とした。
「えぇ?!な、なんで?」
―私が本当のご主人様じゃないから?―
横に居るベルも口をポカンと開けていた。
すごい恥ずかしいじゃん。自分の持ち物を使いこなせないなんて...。
だけどいきなり横から笑い声が聞こえてきた。
―ベル?...もしかしてあまりにも私の無様な姿を見て笑ってる?―
「ミッシェルって、ホウキ操るの苦手なんだね。もしかして、魔法も使えない感じ?」
いや、違うの!私、ここに来たばかりだから魔法とか慣れなくて...本当のミッシェルならもっとちゃんと使えるよ?...なんて言えないよねー。
「いいじゃん、それ。」
「ベル?」
「私もさ、魔法使えないんだよね。それを周りの連中はバカにするけどさ、私はそれを自分の個性だと思ってるんだよね。だから、全然おかしくなんてないよ」
格好いいって思った。周りからどう思われようとも自分を曲げないベルが。登場男子達が全員、ベルを好きになるのが分かる。
ベルは良くも悪くも自分に正直なんだ。
私も、ベルみたいになりたいなぁ...。
「じゃあさ、一緒に川を渡ってく?」
「え、」
私はつい、二人で川を渡るとこを想像してしまった。
現実世界でそんな事をしたら、
『女の子がはしたない』って、言われるんだろうなぁー...。
だったら、折角異世界に来たんだもん。たまには泥まみれになるのも悪くないかもしれない。
私はこちらに手を差し出しているベルの手をとった。
「ミッシェル、大丈夫だった?」
「うん、なんとか」
二人で泥まみれになりながらも、なんとか町に辿り着いた事に安心して胸を撫で下ろした。
「ほら、見えてきた。あそこが私の家だよ」
....知ってる。
他の登場人物に比べたら普通の家だけど、でもその普通が心地よくて私は好き。
「お父さーん、お母さーんいるー?」
「ベル、帰ってきた途端大声出さないの」
「どうしたんだ、ベル」
「あ、あの、お邪魔します」
礼儀として帽子をとって挨拶したらなぜかベルのお父さんもお母さんも時が止まったように動かなくなった。
やっぱり、いきなり魔女の女の子が現れたら吃驚するよね。
それでもベルのお母さんと目があったから微笑んでみた。そしたらいきなり口元を押さえて、
「かっ、かわい~!」
「へっ?あ、あの?」
「どど、どうしたのベル!こんな可愛い子どこで拾ってきたの?!天使、天使が舞い降りてきたのね!」
え、ベルのお母さんってこんなだっけ。
ううん、絶対違う。私が知るお母さんはもっときつめな物言いをして、こんな意味不明な言葉を発する人じゃなかった。
じゃあ、この人はベルのお母さんじゃないの?
いや、どう見てもお母さんだよね。
じゃあ、性格が変わっちゃったって事?
なんで?
「この子さ、家出してきたんだって。少しの間ここに居させちゃダメかな?」
「え、それは...」
それを聞いた途端、急に口ごもって二人は顔を見合わせた。
ここまではだいたい予想通りだ。きっと、やんわりと断る方法を考えてるんだろうな。
向こうから言われるとなんだかショックだし自分から切り出した方が良いのかも。
「あの、やっぱり私...」
「勿論、大歓迎よ!少しじゃなくずっと居ても良いのよ?」
「あはは...それは流石に無理でしょ」
「え、私を置いてくれるんですか?」
「えぇ!...貴方も良いわよね?」
「あぁ、勿論さ。もう一人娘が出来たみたいで嬉しいよ。これは、我が家に来た記念に」
そう言ってベルのお父さんは薔薇を一本私にくれた。
なんか、お父さんもキャラが違うような。もっと真面目じゃなかったっけ?間違っても何処ぞのプレイボーイみたいな性格じゃなかったよね?
二人してなんで性格が全然違うの?!
「ねっ?二人なら歓迎してくれるって言ったでしょ?だから、安心して此処に居てくれて良いんだからね!」
...ベル、ありがとう。だけどね?
「もう、お父さんったらすぐ薔薇なんて渡すんだから!」
「ハハッ、可愛い女の子を見たらつい、な?」
全くと言って良いほど安心出来ない!!
********************************************
その後私とベルは、泥だらけの姿を指摘されてお風呂へ強制連行された。
「ごめんね、家のお風呂狭くて」
「大丈夫、落ち着くし」
「へぇ、ミッシェルって案外庶民っぽいんだ」
まぁ、実際庶民だし。
「じゃあ、私先に部屋に行ってるからごゆっくり」
ほんと、ベルは優しいな...。それにしても、ベルのお父さんもお母さんもどうしちゃったんだろうな。あんな性格じゃなかったのに...。
それがもし、私のせいだったら...。
普通ならベルとミッシェルはそこまで関わりがなかったはずなのに。初めて出会うのがベルが学校に通いだして暫く経った後。それが今日出会ってしまい家にまで泊めさせてもらって...それに本当のミッシェルはあんな純粋に笑わないんだった。
あ~!思い返せば色々とやらかしてんじゃない!
ごめん、ベル...。
もしこの先、ベルと運命の相手が永遠に結ばれなかったその時は私が責任とるから。
それを決意し、私はお風呂を後にした。
「どこって...」
...どこだろ?ミッシェルの家に行った事ないしなぁ。でも、分からないって言えるわけないよ。
絶対に怪しまれる。
―あっ、そうだ―
私はピンときて、上手くいくか分からない作戦を実行してみる事にした。
「実は、私...」
「家出してきたの!」
ミッシェルは家で孤独だったみたいだし、帰らなくても探すことはないはずだから、バレる事はないよね...?
「だからこれから、少しの間住まわせてくれるとこを探してるんだぁ~...」
わざと“住まわせて”のとこを強調してちらっとベルに視線を送った。そんな事をしたってこの鈍感ガールに伝わる保証はないんだけど。
―お願い、ベルのとこに住まわせて。そして恋愛イベントを観察させて?―
私の思い伝われ!
「だったら、私のとこに来る?」
「マジ?!」
「え、?」
「.....う、ううん!でも、ご迷惑じゃない?」
いっけない...もう少しで素が出るとこだったよ。だけど、私の思いが伝わったのかは別としてベルがそんな事を言ってくれるだなんて。
私の考えてるストーリーが再現されつつあるわ!
「私のお父さんとお母さんならきっと大丈夫。ミッシェル可愛いから絶対歓迎してくれるよ」
確かベルの親って、お父さんの方がどこでも居そうな感じで、お母さんの方がちょっと厳しめな感じだったよね。
お父さんはともかく、お母さんが歓迎してくれるとは思わないんだけどな。
『なに?この小娘...。家は生活がままならないのよ。貴女一人家に置くだけでどんだけGがかかると思ってんの?そんなに置いてほしいなら外で何か仕事してきなさいよ!』
絶対、言われそう...。でも、他に行くとこなんてないし...。
でも、お母さんの言う通りだよね。ベルの家は、ほぼギリギリの生活を続けてんだからそんな中に私が来たらちゃんと生活が出来るのかも怪しいし。
私、図々しかったよね。
私が申し訳なさでいっぱいの中でも、ベルはどんどん話を進めていく。
「ちょっと川を渡らなきゃならないんだけど、ミッシェルはそのホウキに乗ってきたんでしょ?」
ベルの視線は私の横に置いてあるホウキの方へ。
反対に私は、ベルの姿を見てもう少しで声をあげそうになってしまう。
気にしてなかったけど、ベルは川の中に入ったのか、あっちこっち汚れていた。ハッキリ言ってずっとは見てられない。そんな中私は、全くと言って良いほど汚れてなかった。
このホウキに乗ってここまで来たのね。まぁ、当たり前よね。魔女なんだから。
ホウキで空を飛ぶって気持ちいいのかな?ずっとゲームしてて気になってたのよね。今、このホウキは私のなんだから乗っても誰にも怒られないわよね。
―よし、乗ってみよう―
ホウキにゆっくりと乗ってみたら、そのホウキは宙に浮きだした。
―すごい、浮いてる!―
嬉しさのあまり声をあげようとした矢先、ホウキがいきなり逆さになって私を振り落とした。
「えぇ?!な、なんで?」
―私が本当のご主人様じゃないから?―
横に居るベルも口をポカンと開けていた。
すごい恥ずかしいじゃん。自分の持ち物を使いこなせないなんて...。
だけどいきなり横から笑い声が聞こえてきた。
―ベル?...もしかしてあまりにも私の無様な姿を見て笑ってる?―
「ミッシェルって、ホウキ操るの苦手なんだね。もしかして、魔法も使えない感じ?」
いや、違うの!私、ここに来たばかりだから魔法とか慣れなくて...本当のミッシェルならもっとちゃんと使えるよ?...なんて言えないよねー。
「いいじゃん、それ。」
「ベル?」
「私もさ、魔法使えないんだよね。それを周りの連中はバカにするけどさ、私はそれを自分の個性だと思ってるんだよね。だから、全然おかしくなんてないよ」
格好いいって思った。周りからどう思われようとも自分を曲げないベルが。登場男子達が全員、ベルを好きになるのが分かる。
ベルは良くも悪くも自分に正直なんだ。
私も、ベルみたいになりたいなぁ...。
「じゃあさ、一緒に川を渡ってく?」
「え、」
私はつい、二人で川を渡るとこを想像してしまった。
現実世界でそんな事をしたら、
『女の子がはしたない』って、言われるんだろうなぁー...。
だったら、折角異世界に来たんだもん。たまには泥まみれになるのも悪くないかもしれない。
私はこちらに手を差し出しているベルの手をとった。
「ミッシェル、大丈夫だった?」
「うん、なんとか」
二人で泥まみれになりながらも、なんとか町に辿り着いた事に安心して胸を撫で下ろした。
「ほら、見えてきた。あそこが私の家だよ」
....知ってる。
他の登場人物に比べたら普通の家だけど、でもその普通が心地よくて私は好き。
「お父さーん、お母さーんいるー?」
「ベル、帰ってきた途端大声出さないの」
「どうしたんだ、ベル」
「あ、あの、お邪魔します」
礼儀として帽子をとって挨拶したらなぜかベルのお父さんもお母さんも時が止まったように動かなくなった。
やっぱり、いきなり魔女の女の子が現れたら吃驚するよね。
それでもベルのお母さんと目があったから微笑んでみた。そしたらいきなり口元を押さえて、
「かっ、かわい~!」
「へっ?あ、あの?」
「どど、どうしたのベル!こんな可愛い子どこで拾ってきたの?!天使、天使が舞い降りてきたのね!」
え、ベルのお母さんってこんなだっけ。
ううん、絶対違う。私が知るお母さんはもっときつめな物言いをして、こんな意味不明な言葉を発する人じゃなかった。
じゃあ、この人はベルのお母さんじゃないの?
いや、どう見てもお母さんだよね。
じゃあ、性格が変わっちゃったって事?
なんで?
「この子さ、家出してきたんだって。少しの間ここに居させちゃダメかな?」
「え、それは...」
それを聞いた途端、急に口ごもって二人は顔を見合わせた。
ここまではだいたい予想通りだ。きっと、やんわりと断る方法を考えてるんだろうな。
向こうから言われるとなんだかショックだし自分から切り出した方が良いのかも。
「あの、やっぱり私...」
「勿論、大歓迎よ!少しじゃなくずっと居ても良いのよ?」
「あはは...それは流石に無理でしょ」
「え、私を置いてくれるんですか?」
「えぇ!...貴方も良いわよね?」
「あぁ、勿論さ。もう一人娘が出来たみたいで嬉しいよ。これは、我が家に来た記念に」
そう言ってベルのお父さんは薔薇を一本私にくれた。
なんか、お父さんもキャラが違うような。もっと真面目じゃなかったっけ?間違っても何処ぞのプレイボーイみたいな性格じゃなかったよね?
二人してなんで性格が全然違うの?!
「ねっ?二人なら歓迎してくれるって言ったでしょ?だから、安心して此処に居てくれて良いんだからね!」
...ベル、ありがとう。だけどね?
「もう、お父さんったらすぐ薔薇なんて渡すんだから!」
「ハハッ、可愛い女の子を見たらつい、な?」
全くと言って良いほど安心出来ない!!
********************************************
その後私とベルは、泥だらけの姿を指摘されてお風呂へ強制連行された。
「ごめんね、家のお風呂狭くて」
「大丈夫、落ち着くし」
「へぇ、ミッシェルって案外庶民っぽいんだ」
まぁ、実際庶民だし。
「じゃあ、私先に部屋に行ってるからごゆっくり」
ほんと、ベルは優しいな...。それにしても、ベルのお父さんもお母さんもどうしちゃったんだろうな。あんな性格じゃなかったのに...。
それがもし、私のせいだったら...。
普通ならベルとミッシェルはそこまで関わりがなかったはずなのに。初めて出会うのがベルが学校に通いだして暫く経った後。それが今日出会ってしまい家にまで泊めさせてもらって...それに本当のミッシェルはあんな純粋に笑わないんだった。
あ~!思い返せば色々とやらかしてんじゃない!
ごめん、ベル...。
もしこの先、ベルと運命の相手が永遠に結ばれなかったその時は私が責任とるから。
それを決意し、私はお風呂を後にした。
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