村人に転生したら、モンスターと会話できるようになってた。村人ライフしながらモンスター図鑑をつくろう!目指せモンスターキング!!

ピエロとサーカス

6話 進化



 そこにはアカトウモロコシとヤママメとメトメが大量に成長を終えていた。
 まるまると実った作物を見て、


 僕は唖然と口を開いており、
 ザバンドは鎖鎌で雑草を刈る気満々でやってきていたのに、
 テナンドはとりあえずじゅるりと涎を垂れ流し、
 カナードネはあら大変とばかりに調理の準備に入り。


「ど、どいうことなのだ?」
「俺はたくさん食えればいいのだ」
「収穫~収穫~そして私は料理するの」


「み、みんな落ち着け」


「タダヒロこそ落ち着いてよ、僕だって雑草を刈れなくて残念な気持ちでいっぱいなんだ」


「そこはたくさんの作物がとれて喜べ」


「は、そうだったね」


 どうやらスライムの元が効きすぎてしまったようだ。
 スライムの元おそるべし、
 そしてゴブリンのごみたちの肥料もおそるべし。


 ゴブリンのゴミとスライムが消化することにより生じるスライムの元の肥料としての効果はバケモンクラスだということが判明した。


 この札幌ドームクラスの畑で、
 この三種類の食材がゴブリンたちだけでは食べることができない。


「ま、さかな」


 脳裏によぎったのは、あの村人たち、
 確か飢えで苦しみ、
 ヤバースィン王国からの度重なる税金。


「なぁ、みんな聞いてくれ、僕はこの作物を人間の村に運ぶことをゴブリンキングに申し立てることにする。そのためには君たちの協力が必要だ」


「任せるのだよ、僕はタダヒロの友達だから」
「うん、俺はタダヒロについていくぞ、たくさんのおいしいものを見つけてきても怒られないのだ」


「私はザバンドがいればいいよ」


「よし」


―――ゴブリンキングの家にて―――


「お主がもってきたアカトウモロコシとヤママメとメトメと呼ばれるミックスジュースはとてもうまいのう、ジュースとはてっきり果物から作るものだと思っていた。これはうまい」
「はいレシピを考案したのは僕ですが、作ったのはカナードネちゃんです」


「うむ、我はとてもうれしいぞ」


「ゴブリンキング様、1つお願いがあります」
「なんじゃ」


「ジムラ村との交易の道をつくるのはいかがかと」


「ほう、あまり人間とはかかわりたくない、お主とは言葉が通じるからであってだな」
「僕が通訳になります」


「通訳とはどういうものだ?」


「言葉と言葉をつなげる仕事でございます」


「なるほど、それでこちらの利益はなんだ?」


「ジムラ村のゴミです」


「お主、我をなめているのか」


「違います。ジムラ村にはおそらく沢山の食べ物のカスが今後も出てくるでしょう、そのカスはスライムたちが食べて肥料にします。その肥料で持ってゴブリンたちは畑を覚醒させるのです。それに人間とは便利なもので、このようなミックスジュースをそれぞれの村に広めることができ、収益はゴブリンたちにも入ってきます。それもたくさんの食物やたくさんの衣類やたくさんお武器などです。見たところこの村はゴブリン同士の交易くらいでしょう?」


「そうじゃが」


「それ以上のものを求めることができるのです。交易とはその種族が出せる最良のものを交換しあって、お互いの収益につながるということです」


「ほう」


「どうかゴブリンキング様の許可をいただきたく」
「許可しよう」


 ゴブリンキングは頭の王冠をこつこつといじりながら。


「我はゴブリンたちが女性を犯して子供を増やしているという誤報によりすごい心を痛めていた。われたちはゴブリンの雌にしか興味がない。そのような蛮行をするのはやはり人間だというのに、奴ら山賊どもだ」


「その山賊は近くにいるのですか?」


「ああおるぞあの山に沢山いる。たまに村に降りては、ゴブリンのふりをして人間を誘拐している。おそらく奴隷にしているのであろう」


「そうですか」


 僕の心の中でその山賊というキーワードもなんとかしないといけいないと、
 心のどこかで思うようになっていった。




「ではゴブリンキング様、僕はジムラ村に向かうための準備をいたします。できれば荷車などを用意していただければ」


「それならラバをつかえ、ジムラ村はよく知っている。あそこのやつらは嫌いではない、ときたまいいものをくれるしな、そうだな、10個のラバの馬車で作物をはこんでやれ」


「助かります。のちほど戻ってきますので」


「もうよい、おぬしはゴブリンにとって有益な存在であることが証明された。自由に出入りせよ、護衛にその3人のゴブリンを使え」


「ありがたき」


 するとさきほどまで黙っていた3人のゴブリンたちが立ち上がる。


「キング様、僕はタダヒロの従者になりとうございます」
「ほう、ザバンドよおぬしをそこまで心酔させるか」


「御意です」
「よかろう」


「俺もです」


「私もです」


「よいよい、テナンドにカナードネよそしてザバンドよおぬしたちはタダヒロの従者となり、命がけでタダヒロを守って見せよ」


「「「御意に」」」


 僕は突然に始まったこの儀式みたいな光景を見ながら。
 少しだけ苦笑をもらしつつも、
 僕たちは移動を始めた。


 作物の収穫はやはりザバンドがうまかった。


 ザバンドはスキル農作業があるので、
 体が覚えていたのだろう。


 馬車に積み込む力仕事にはテナンドという大食感が適用され、
 その荷入れの時は僕は暇なので、カナードネちゃんにいろいろと料理の方法などを教えていた。


 天気は快晴、
 沢山の鳥たちが空を飛翔している。
 しばらくとはいえ2,3日だとは思うけど、スライムたちを閉じ込めて、
 飢えて死なせるようにはしたくないので、


 一度解放してある。
 スライムたちは雑草のうまみを覚えたので、
 必至で雑草を食っている。


 次なる畑地点まで雑草を食ってくれるだろう。
 少しの期待をこめて、
 スライムたちを放牧させている。


 色々な準備が整い、
 20頭のラバが引いているのは10個の荷馬車であり、


 2頭で1馬車であり、
 荷馬車にはたくさんの作物が乗せられている。


 これがジムラ村への希望の明日となる。



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