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碧の輝きは彼女のために

牛乳紅茶

エピローグ


「では、わたくしはお屋敷に帰り、旦那様にお伝えしてまいります」

リヴィラの身代わりをする必要がなくなったフィリアはしっかりと旅支度を整えた姿で手入れの行き届いた鹿毛馬にまたがるとそう言った。

「ありがとう。気をつけて」
「本当に供をつけなくてもいいのか?」
「はい。わたくしがいない間、お嬢様のことよろしくお願いいたします」

眩い金の髪を煌めかせてフィリアは大きく頷くと、馬を走らせた。
あっという間に遠く小さくなっていくフィリアを見送った後、セイクはちらりと傍らに立つリヴィラに視線を落とした。
前髪で目元を隠していると、こういうときは特に便利だ。
盗み見ても相手に気取られることがない。
そう、そのはずだった。

「セイク様」
「なんだ?」
「その髪、切りませんか? どこを見ているかって意外とわかるものなんですよ」
「…………」

さらりとそう言ったリヴィラの言葉に、セイクは気まずそうに視線を彷徨わせた。

「それに……」

ふいにセイクの視界が明るくなる。
リヴィラが手を伸ばして前髪をかきわけたというのはすぐにわかった。

「とってもキレイな碧の瞳なんですもの。みんなに見てもらわなければもったいないです。――ああ、でも、素敵な寝顔を見られるのは私の特権だけにしておきたいわ。セイク様の素顔を知ったら、きっと他のご令嬢たちが群がってくるでしょうし……」

小鳥のさえずりのような笑い声を立てたリヴィラの手を取り、セイクはその口元に小さな笑みを浮かべた。
まったくこの婚約者には敵わない。
つないだ手はそのままに、セイクはリヴィラの顔を覗き込むように身をかがめた。

「そのことはお前が知っていてくれさえすれば充分だ」

囁くようにそう告げると、リヴィラは薔薇よりも真っ赤に頬を染めて、ふいと顔を背けた。
その様子を見て、今度はセイクが喉の奥から笑い声こぼすのだった。





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