悪役令嬢を目指します!
第三十五話 【二人とも冷静になったほうがいいじゃないかなぁ】
「――殿下は精神的被虐趣味の持ち主かもしれない」
騒がしい食堂の中、真剣な表情でそう語る彼を前にして私が思うことはただひとつ。
――どうしてこうなった。
昨日はよい悪役日和だったと清々しい気分で目覚めたのも束の間、ノックの音が聞こえてきた。こんな朝から遊びに来るような知り合いはいない。
ヒロインは早くても昼頃からで、大抵の場合王太子が寮にいるとき――夕方とかじゃないと来ない。そして友人であるクラリスやアドリーヌ、焼き菓子ちゃんも私の部屋に来たことはない。
クラリスとアドリーヌは知らないけど、焼き菓子ちゃんは図書室にこもっている宰相子息と一緒に過ごしているはずだ。
「セドリック? とかいうのが呼んでるらしいけど、どうする?」
応対したリューゲが寝室に顔を出したが、その顔には誰だっけと書いてある。何度もあっているのだから名前ぐらい覚えてほしい。確か、そう、騎士様だ。
昨日のことについて姑のごとく小言でも言いに来たのかもしれない。身支度を整えのながらどうするか悩み――嫌なことはさっさとすませることにした
どんな叱責だろうと聞き流してみせると意気意気込でいたのに、いざ騎士様を前にするとそんな考えはすぐに吹き飛んだ。
「人目のないところで話がしたい」
死出の門でも開いてしまったのだろうか。到底敵わない敵に挑むかのような決死の表情に、リューゲと一緒ならと思わず頷いてしまった。
騎士様に何があったのか好奇心に駆られながら、なんでボクがとかなんとか言っているリューゲを無理矢理連れ出した。リューゲの必要性については正直わからないけど、思わず言ってしまったのだからしかたない。私は有言実行の人間だ。
学園を出て街中を歩くこと十数分。辿りついたのは中々の賑わいをみせている飲食店だった。人目がないどころか人目しかない。
「どうしてこちらに?」
「待っている間に考えたのだが、従者付きとはいえ女性と人目のない場所で会うのは外聞が悪い。たとえ相手がお前だろうと、邪推する者がいるかもしれない」
騎士様がいつにも増して失礼だ。しかも人のいる場所ではいつだって敬語な騎士様が敬語じゃないあたり、相当慌てている。
「人は多いが、ここなら騒がしく、他の者の話にわざわざ耳をかたむけるような奴もいない……だからここを選んだ」
騎士様がこれほど動揺しているのは、王子様が城を抜け出したとき以来だ。あれと同じぐらいか、あるいはあれ以上に騎士様の心を揺さぶる何かがあったということだ。
料理を注文し、いまだ死にそうな顔をしている騎士様と向き合う。
「それで、なんのご用かしら」
それが何かは知らない、聞いたところでどうするつもりもない。
ただの興味で好奇心だ。だからこれといって身構えることもなく、軽い感じで聞いた。
そして返ってきたのは、予想もしていなかったものだった。
「せい……? ひぎゃ……?」
「ああ」
ああ、じゃない。もっとこう、詳しく――いや、詳しくは知りたくない。
もっとこう、冒険小説のような心躍る話を期待していたのに、どうして私は王子様の性癖を聞かされているんだ。
「えぇ、と……趣味嗜好というものは人それぞれではないかしら」
歴史の中には幼女を連れ歩いている幼女趣味な王様だっているらしい。リューゲから聞いた話なので詳しくは知らないけど。
それならまだ成人女性を相手にできるだけ、王子様の性癖はマシな部類だと思う。多分。
「……頭ではわかっている。だが、どうしても、どうしてそうなったのかを考えてしまうんだ」
私もどうしてそうなったと騎士様に言いたい。
そもそもこんな話をこんな場所でするべきじゃないし、私に聞かせるような話でもない。少し、いやだいぶ冷静になった方がいい。今の騎士様はおかしい。
「無下に扱われている間はあれほど幸せそうだったのに、望みが叶った途端消沈していた……。俺は、一体どうすればいいんだ……」
頭を抱えて苦悶の表情を浮かべているけど、頭を抱えたいのは私のほうだ。
こんな話を聞かされて、私にどうしろと言うんだ。私にできることは何もない。
「それで、私にどうしろとおっしゃるのかしら」
「……今までどおり冷たくしろ、とは言いたくないが……殿下のためにはそちらのほうが……いや、しかし、お前の態度に苛立っていたもいた……どうすれば殿下のためになるのか……」
それは間違いなく私にする話ではない。
やはり王子様は怒っている。わかってはいたけど、こうして第三者からはっきり言われると、なんとも言えない気もちになる。
わかってる。ちゃんと理解している。私は悪役で、王子様に性格の悪さで捨てられる――そういう役目だ。だから、王子様を怒らせるのは当然だし、怒ってくれないと困るのもまた事実。
だけど、なんというか――言葉にできない。
「結論のないまま私に声をかけたの?」
言葉にできないのなら、考えない。それが一番だ。考えても結論の出ないものは、考えるだけ無駄だ。
騎士様もひとりで葛藤している分には好きにすればいい。でも私を巻きこもうとしないでほしい。
そういうのは王子様が慕っているヒロインに――そこまで考えて、気づいた。
だから王子様はあれほど嬉しそうだったのか、と。
興味も感心もなさそうなヒロインを目の前にして王子様は嬉しそうに笑っていた。あれは、なるほどそういうことだったのか。
あそこまで気のない返事をされて、それでも嬉しそうだったのが少し不思議だったけどこれなら合点がいく。
王子様はヒロインに冷たくされるのが嬉しかったんだ。
「……殿下の沈んだ顔を見たくはない。それを払拭できるとしたらお前しかいない、と思ったんだが……しかし、殿下が何を望まれているのかが、俺にはわからないんだ。だから、どうにかして殿下を元気付けてくれないだろうか」
最後の最後で丸投げだ。無茶振りにもほどがある。
私に嗜虐趣味はないので、王子様の性癖に付き合うことはできない。
それに励ましたりする悪役なんて、悪役らしくない。
「――よい手を思いついたわ」
そう、私は悪役だ。悪役とは何か。
それは超えられる壁であり――嫌がることをする人物だ。
「そ、そうか? 本当に大丈夫か?」
「ええ、大丈夫よ。私ならできるわ」
王子様は虐げられるのがご趣味というのなら、それとは逆のことをすればいい。
それに加えてヒロインには冷たくあたれば、王子様にとっても傍目から見ても性格の悪い悪役の完成だ。
「……それなら任せるが、くれぐれもおかしなことはするなよ?」
今の騎士様ほどおかしくはならないと思う。
「あら、自分にできないからと私を頼ったくせに口出しするつもり?」
「それも、そうだな……」
姑のような騎士様を黙らせることもできるし、一石三鳥だ。
運ばれてきた食事を食べながら、これからの計画を練ろう。騎士様がちらちらと私を心配そうに見ているが、本当に何か言うつもりはないようだ。
食事をとる必要のないリューゲはお茶を飲みながら、大丈夫かこいつみたいに私たちを見ている。リューゲが思わず心配するのも無理はない。騎士様は色々な意味で大丈夫じゃない。
普段の騎士様なら、こんなわけのわからない話を私にしたり、私を頼ったりしない。それだけ滅入っているし、それだけ切羽詰まっているということだ。
騎士様が冷静になったときが怖いが、先に頼ってきたのはあちらだ。いくらでも逃げ道はある。
「朝から付き合わせてすまない」
食事を終え、食堂を出て、さあ帰ろうというところで騎士様が謝罪の言葉を口にした。
「ええ、本当に。朝から何事かと思いましたわ」
寝起き早々呼び出される身にもなって欲しい。
「どうにもいてもたってもいられなく―――あ、しまった。クリスとの鍛錬が……! すまないが、ここで失礼する。寮まで送り届けたいとは思うのだが、急いで帰らなくてはならなくなった……今日の礼はまた後日にでも」
最後にリューゲに私のことを頼み、騎士様は慌ただしく去っていった。いつもいつも来るのも突然なら帰るのも突然だ。あの人の一日のスケジュールはどうなっているのだろうか。休む暇すらないのかもしれない。
「じゃあ帰ろうか」
騎士様が完全に人混みに消え、私の護衛兼従者のリューゲが早く帰りたいと言い出した。早くとかは口に出していないけど、顔がそう言っている。
私は部屋にこもってばかりの人間だけど、別に外に出るのが嫌なわけではない。
王都だとなんやかんやでお兄様やリューゲ以外の護衛がつく。自由に動けないというのは、部屋にいるのと変わらない。学園に来てからは、うっかり出かけると王子様と遭遇して一緒に回ることになる。実際一度そうなったから、外に出ることが億劫になっていた。
だけど今日はその心配がない。王子様はヒロインと一緒にいるだろうし、小言の多い騎士様は帰った。ここにいるのは私とうるさくはないリューゲだけだ。
「せっかくだから色々見て回りましょう」
「ボクとしてはさっさと帰りたいんだけど」
「あら、あなたは私の従者なんだから一緒にいないと駄目よ」
さすがに護衛なしでうろついているところを誰かに目撃されたら、後で騎士様に叱られる。それは嫌だ。
「従者らしくしろなんて堅苦しいことは言わないから、リューゲも楽しめばいいじゃない。あなただって寮にこもってばかりではつまらないでしょう?」
「……しかたないな。いいよ、付き合ってあげるよ。だけど、今日だけだからね? 今度からは他の誰かを誘って、友達作りにでも励めばいいんじゃないかな」
「これ以上の対人関係はいらないわよ。険悪な人たちしか増えそうにないもの」
十人中四組が仲違いしている状況で、交友関係を広げたいとは思わない。
これ以上ややこしいことも、面倒なこともごめんだ。
騒がしい食堂の中、真剣な表情でそう語る彼を前にして私が思うことはただひとつ。
――どうしてこうなった。
昨日はよい悪役日和だったと清々しい気分で目覚めたのも束の間、ノックの音が聞こえてきた。こんな朝から遊びに来るような知り合いはいない。
ヒロインは早くても昼頃からで、大抵の場合王太子が寮にいるとき――夕方とかじゃないと来ない。そして友人であるクラリスやアドリーヌ、焼き菓子ちゃんも私の部屋に来たことはない。
クラリスとアドリーヌは知らないけど、焼き菓子ちゃんは図書室にこもっている宰相子息と一緒に過ごしているはずだ。
「セドリック? とかいうのが呼んでるらしいけど、どうする?」
応対したリューゲが寝室に顔を出したが、その顔には誰だっけと書いてある。何度もあっているのだから名前ぐらい覚えてほしい。確か、そう、騎士様だ。
昨日のことについて姑のごとく小言でも言いに来たのかもしれない。身支度を整えのながらどうするか悩み――嫌なことはさっさとすませることにした
どんな叱責だろうと聞き流してみせると意気意気込でいたのに、いざ騎士様を前にするとそんな考えはすぐに吹き飛んだ。
「人目のないところで話がしたい」
死出の門でも開いてしまったのだろうか。到底敵わない敵に挑むかのような決死の表情に、リューゲと一緒ならと思わず頷いてしまった。
騎士様に何があったのか好奇心に駆られながら、なんでボクがとかなんとか言っているリューゲを無理矢理連れ出した。リューゲの必要性については正直わからないけど、思わず言ってしまったのだからしかたない。私は有言実行の人間だ。
学園を出て街中を歩くこと十数分。辿りついたのは中々の賑わいをみせている飲食店だった。人目がないどころか人目しかない。
「どうしてこちらに?」
「待っている間に考えたのだが、従者付きとはいえ女性と人目のない場所で会うのは外聞が悪い。たとえ相手がお前だろうと、邪推する者がいるかもしれない」
騎士様がいつにも増して失礼だ。しかも人のいる場所ではいつだって敬語な騎士様が敬語じゃないあたり、相当慌てている。
「人は多いが、ここなら騒がしく、他の者の話にわざわざ耳をかたむけるような奴もいない……だからここを選んだ」
騎士様がこれほど動揺しているのは、王子様が城を抜け出したとき以来だ。あれと同じぐらいか、あるいはあれ以上に騎士様の心を揺さぶる何かがあったということだ。
料理を注文し、いまだ死にそうな顔をしている騎士様と向き合う。
「それで、なんのご用かしら」
それが何かは知らない、聞いたところでどうするつもりもない。
ただの興味で好奇心だ。だからこれといって身構えることもなく、軽い感じで聞いた。
そして返ってきたのは、予想もしていなかったものだった。
「せい……? ひぎゃ……?」
「ああ」
ああ、じゃない。もっとこう、詳しく――いや、詳しくは知りたくない。
もっとこう、冒険小説のような心躍る話を期待していたのに、どうして私は王子様の性癖を聞かされているんだ。
「えぇ、と……趣味嗜好というものは人それぞれではないかしら」
歴史の中には幼女を連れ歩いている幼女趣味な王様だっているらしい。リューゲから聞いた話なので詳しくは知らないけど。
それならまだ成人女性を相手にできるだけ、王子様の性癖はマシな部類だと思う。多分。
「……頭ではわかっている。だが、どうしても、どうしてそうなったのかを考えてしまうんだ」
私もどうしてそうなったと騎士様に言いたい。
そもそもこんな話をこんな場所でするべきじゃないし、私に聞かせるような話でもない。少し、いやだいぶ冷静になった方がいい。今の騎士様はおかしい。
「無下に扱われている間はあれほど幸せそうだったのに、望みが叶った途端消沈していた……。俺は、一体どうすればいいんだ……」
頭を抱えて苦悶の表情を浮かべているけど、頭を抱えたいのは私のほうだ。
こんな話を聞かされて、私にどうしろと言うんだ。私にできることは何もない。
「それで、私にどうしろとおっしゃるのかしら」
「……今までどおり冷たくしろ、とは言いたくないが……殿下のためにはそちらのほうが……いや、しかし、お前の態度に苛立っていたもいた……どうすれば殿下のためになるのか……」
それは間違いなく私にする話ではない。
やはり王子様は怒っている。わかってはいたけど、こうして第三者からはっきり言われると、なんとも言えない気もちになる。
わかってる。ちゃんと理解している。私は悪役で、王子様に性格の悪さで捨てられる――そういう役目だ。だから、王子様を怒らせるのは当然だし、怒ってくれないと困るのもまた事実。
だけど、なんというか――言葉にできない。
「結論のないまま私に声をかけたの?」
言葉にできないのなら、考えない。それが一番だ。考えても結論の出ないものは、考えるだけ無駄だ。
騎士様もひとりで葛藤している分には好きにすればいい。でも私を巻きこもうとしないでほしい。
そういうのは王子様が慕っているヒロインに――そこまで考えて、気づいた。
だから王子様はあれほど嬉しそうだったのか、と。
興味も感心もなさそうなヒロインを目の前にして王子様は嬉しそうに笑っていた。あれは、なるほどそういうことだったのか。
あそこまで気のない返事をされて、それでも嬉しそうだったのが少し不思議だったけどこれなら合点がいく。
王子様はヒロインに冷たくされるのが嬉しかったんだ。
「……殿下の沈んだ顔を見たくはない。それを払拭できるとしたらお前しかいない、と思ったんだが……しかし、殿下が何を望まれているのかが、俺にはわからないんだ。だから、どうにかして殿下を元気付けてくれないだろうか」
最後の最後で丸投げだ。無茶振りにもほどがある。
私に嗜虐趣味はないので、王子様の性癖に付き合うことはできない。
それに励ましたりする悪役なんて、悪役らしくない。
「――よい手を思いついたわ」
そう、私は悪役だ。悪役とは何か。
それは超えられる壁であり――嫌がることをする人物だ。
「そ、そうか? 本当に大丈夫か?」
「ええ、大丈夫よ。私ならできるわ」
王子様は虐げられるのがご趣味というのなら、それとは逆のことをすればいい。
それに加えてヒロインには冷たくあたれば、王子様にとっても傍目から見ても性格の悪い悪役の完成だ。
「……それなら任せるが、くれぐれもおかしなことはするなよ?」
今の騎士様ほどおかしくはならないと思う。
「あら、自分にできないからと私を頼ったくせに口出しするつもり?」
「それも、そうだな……」
姑のような騎士様を黙らせることもできるし、一石三鳥だ。
運ばれてきた食事を食べながら、これからの計画を練ろう。騎士様がちらちらと私を心配そうに見ているが、本当に何か言うつもりはないようだ。
食事をとる必要のないリューゲはお茶を飲みながら、大丈夫かこいつみたいに私たちを見ている。リューゲが思わず心配するのも無理はない。騎士様は色々な意味で大丈夫じゃない。
普段の騎士様なら、こんなわけのわからない話を私にしたり、私を頼ったりしない。それだけ滅入っているし、それだけ切羽詰まっているということだ。
騎士様が冷静になったときが怖いが、先に頼ってきたのはあちらだ。いくらでも逃げ道はある。
「朝から付き合わせてすまない」
食事を終え、食堂を出て、さあ帰ろうというところで騎士様が謝罪の言葉を口にした。
「ええ、本当に。朝から何事かと思いましたわ」
寝起き早々呼び出される身にもなって欲しい。
「どうにもいてもたってもいられなく―――あ、しまった。クリスとの鍛錬が……! すまないが、ここで失礼する。寮まで送り届けたいとは思うのだが、急いで帰らなくてはならなくなった……今日の礼はまた後日にでも」
最後にリューゲに私のことを頼み、騎士様は慌ただしく去っていった。いつもいつも来るのも突然なら帰るのも突然だ。あの人の一日のスケジュールはどうなっているのだろうか。休む暇すらないのかもしれない。
「じゃあ帰ろうか」
騎士様が完全に人混みに消え、私の護衛兼従者のリューゲが早く帰りたいと言い出した。早くとかは口に出していないけど、顔がそう言っている。
私は部屋にこもってばかりの人間だけど、別に外に出るのが嫌なわけではない。
王都だとなんやかんやでお兄様やリューゲ以外の護衛がつく。自由に動けないというのは、部屋にいるのと変わらない。学園に来てからは、うっかり出かけると王子様と遭遇して一緒に回ることになる。実際一度そうなったから、外に出ることが億劫になっていた。
だけど今日はその心配がない。王子様はヒロインと一緒にいるだろうし、小言の多い騎士様は帰った。ここにいるのは私とうるさくはないリューゲだけだ。
「せっかくだから色々見て回りましょう」
「ボクとしてはさっさと帰りたいんだけど」
「あら、あなたは私の従者なんだから一緒にいないと駄目よ」
さすがに護衛なしでうろついているところを誰かに目撃されたら、後で騎士様に叱られる。それは嫌だ。
「従者らしくしろなんて堅苦しいことは言わないから、リューゲも楽しめばいいじゃない。あなただって寮にこもってばかりではつまらないでしょう?」
「……しかたないな。いいよ、付き合ってあげるよ。だけど、今日だけだからね? 今度からは他の誰かを誘って、友達作りにでも励めばいいんじゃないかな」
「これ以上の対人関係はいらないわよ。険悪な人たちしか増えそうにないもの」
十人中四組が仲違いしている状況で、交友関係を広げたいとは思わない。
これ以上ややこしいことも、面倒なこともごめんだ。
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