悪役令嬢を目指します! 番外編集

木崎優

問題児集団 小話・会話文

「どういう集まりだよこれ」
「話し合って上手いことできないかなーって集まりだよ」
「意味わかんねぇ」
「あ、あの、僕は、その……クラリス様とのことを、その、聞いてもらっていて」
「俺は部屋を貸しているだけだ」
「……あのさ、お前、ちょっと来い」
「え? なんで?」
「いいから」


「俺は王をどうするか話すから来いって呼ばれたはずなんだけど?」
「うん、そうだよ? 皆で話し合った方がいい案が出るでしょ」
「他の奴に国の内情を話すわけねぇだろ。馬鹿かお前は」
「えー……でも、サミュエル君は教会に詳しいから色々教えてくれると思うよ。それに人目につかない場所ってここぐらいしかないから……アーロン先生のことは気にしないで大丈夫。他言するような人じゃないから」
「そもそも人じゃ……ああくそ、めんどくせぇ」
「自棄になったら駄目だよ。大丈夫、なんとかなるから」
「なんともなんねぇよ」
「そんなのわからないでしょ。大丈夫大丈夫! 私に任せて!」
「あ、おい、勝手に――」




「ふむ、ローデンヴァルト王をどうするか、という話か。洗脳でもするか?」
「隠す気ねぇのかお前は!」
「で、でも、あの、洗脳してるってばれたら……その後が面倒になると思うので、だから、ええと……死んでもらう方がいいのでは」
「教会の奴が言っていい台詞じゃねぇ」
「もう少し穏便なのがいいなぁ。ディートリヒ君はどうしたい?」
「なんで普通に話が進んでるんだよ」






「第三回、ローデンヴァルト王をいい感じに退位させる方法を話し合おうの会を開催します」
「……なんかもう、好きにしたらいいんじゃねぇの」
「それ相応に相応しい相手を即位させるのが一番適切だろうな。話の通じない者が即位し、王弟として続けることになってはたまらんだろう」
「お前は部屋を貸してるだけじゃないのかよ」
「ディートリヒ様に、協力的な方とかは……いませんか?」
「……いないわけじゃ、ないが……第一王子を退けてまでってのは難しいぞ」
「じゃあ第一王子もどうするか話し合うべきだね」
「やはり洗脳するのが手っ取り早いのではないか。王子であることをやめたいだけならば、現王の言葉一つで足りるだろう。退位まで狙おうとするから面倒なことになる」
「じゃあ聞くが、お前はこの学園から出てローデンヴァルトに来る気はあるのかよ」
「ないな」
「なら余計なこと言うな。黙ってろ」
「ふむ。俺はお前に何かした覚えはないのだがな。敵意を向けられる筋合いなどない。ああ、もしや森での一件が関係しているのか? しかしな、お前を氷の上に転がしたのは俺ではない。操ろうとはしたがその程度のこと、実際実行には移せていないのだから気にするほどのことではないだろう」
「気にするに決まってるだろ。……それにあいつと同類だってだけで嫌う理由にはなる」
「とんだ八つ当たりだな。その程度のことで嫌うのであれば、お前を嵌めた王と同じ人間だからという理由で全人類にも敵意を向けるべきだろう。それをしないということは、俺を嫌う理由になどならないということだ」
「アーロン先生、ディートリヒ君をいじめたら駄目だよ」
「いじめられてねぇよ。勝手なこと言うな」




「第五回、サミュエル君とクラリス様の仲をよくしようの回を開催します」
「これに俺が呼ばれる意味がわかんねぇ」
「助け合うことは大切だよ」
「あ、あの、クラリス様は……最近は、よく話してくれるようになって、睨みつけてくれることも増えて、だから、えと、順調なのでディートリヒ様の回にしても」
「どこに順調な要素があるんだ、それ」
「わー、ずいぶんと進歩したね!」
「相談する相手間違えてるだろ。……ああくそ、俺が女を落とす方法を教えてやるから、こいつらの言うことに耳を貸すな」
「え、で、でも……その、レティシア様も落とせないような人の助言は、ええと、あまり役に立たないかなって」
「なんも教えてやらねぇ」

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