薬師無双〜ドーピングで異世界を楽しむ〜

蜂須賀 大河

いざリグーレスへ。

 ギムレット国王との謁見や、ティアナ姫との一件を終えた俺達は、ニアの待つカフェへと来ていた。


「………ねぇ、アラン? 一体リアラどうしちゃったの……? 帰って来てからずっとこの調子だけど……」


「いや、俺もよく分からないんだけど……」


 カフェへと着いた俺とリアラはニアと合流し、少し遅めの昼食を食べる事にしたんだけど……


 リアラは現在、テーブル一杯に埋めつくされる量のケーキを注文し、黙々と食べていた。


「………あの、リアラ……? そんなに食べれ『食べてるんだから、話し掛けないで』は、はい……』


 リアラの俺を見る目に生気は篭っておらず、まるでゴミを見るかのような目でそう告げる。


「そ、そうだ! アラン、この昼食を食べた後、この国を出るんだよね! 次は何処に向かうのかな?」


 ニアは気を利かせようとしたのか、これからの予定を聞いてくる。


「そ、そういやニアには言ってなかったっけ。次は、装備を整える為にリグーレス国へ行こうと思ってるんだ」


 俺はこの世界に来てからというもの、最初に着ていた服装(真っ白なロングのカッターシャツに、黒のズボン)以外着た事はないのだ。


 それに全く同じカッターとズボンも5着は予備を貰っていたので、宿で汚れた服を洗ってもらい、予備の同じ服をローテーションして着ている。


 神様も言っていたが、この大陸には今の俺より強い人や魔物などもまだまだいるみたいだし、流石にそろそろ装備を整えておかないとな。


「リグーレスかあ! 僕も行った事ないから、凄く楽しみだよ!」


「報奨金で結構お金貰ったし、リグーレス着いたら、ニアも装備一式整えような」


「えっ!? いいの!?」


「当たり前だろ? 旅の仲間なんだし。それにニアにもしもの事があったら大変だしな」


 そう告げた俺はニコっとニアに微笑む。


「ふぇ……!? う、うん……ありがと………」


 そして頬を紅潮させたニアは感謝を告げた。










 ☆










 ──それからほどなくして、カフェを後にした俺達は、買い出しへとやって来ていた。


 以前の買い出しで必要な物は準備していたのだが、今回新たにニアが仲間に加わった事もあり、食材や生活用品やテント等を追加で購入する事にした。


「──よし。これで、準備は万端だな。でも、どうする? 色々あって出発が遅れてしまったけど、今日は宿で泊まって、明日出発し直そうか?」


「ん? 僕はどちらでも構わないけど……リアラはどう?」


「私は、このままリグーレスに向かっても構わないわよ」


「そっか。ならこのままリグーレスに向かって、日が落ち始めたら野営の準備でも始めようか」


 今日の方針が決まった俺達は、予定よりもかなり遅れはしたが、リグーレスへやっと出発する事にしたのだった。

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