薬師無双〜ドーピングで異世界を楽しむ〜

蜂須賀 大河

死闘

 上空では異質な魔力を纏った、ドラゴンがこちらを睨んでいた。
 俺は茫然と立ち尽くしていたが、すぐさま頭を切り替え、そいつを鑑定してみた。


 名前:黒龍
 Lv:89
 HP:4560
 MP:3700


 物攻:650
 物防:520
 魔攻:540
 魔防:520
 敏捷:460


 <スキル>
 威圧 咆哮 飛行 無詠唱 気配感知7 魔力感知7 魔力操作7 ブレス8 龍爪術8 


 <パッシブ>
 身体強化(大)
 状態異常無効




 <魔法>
 闇魔法6
 豪風魔法6


 <加護>
 邪神の加護




「ははっ……マジかよ……」


 はっきり言って、こいつはヤバい。
 まずステータスがどれも異常に高すぎる。
 ギルドマスターで元Sランクのウォーレンさんですら強いと思ったが、そのウォーレンさんより遥かに強い。


 でも今の俺のステータスはどうなんだろう?
 雑魚とは言えあんだけ魔物を倒したんだし、結構レベルも上がって、いい勝負が出来るんじゃないだろうか?
 ひとまず確認してみるか。




 名前:アラン  性別:男 15歳
 職業:神ノ御使Lv3 ※二職の上級職が統合されました
 HP:1030/1030
 MP:1530/6225


 物攻:588
 物防:543
 魔攻:537
 魔防:559
 敏捷:565(+5)


 <固有スキル>
 薬学創造魔法 神眼 new


 <スキル>
 薬学知識〔極〕 調合8 薬品合成 魔力操作10 無詠唱 狙撃4 結界5 格闘術7→8 体術8 同時詠唱 聖法気 new 魔力感知4 new 気配察知3 new 大剣術3 new 神圧 new


 <パッシブ>
 武の極み new
 魔の極み new
 薬品威力増加(小)→(大)
 器用増加(中)→(大)


 <魔法>
 火魔法5→炎魔法5 
 水魔法3 
 土魔法4 
 豪風魔法5→6
 光魔法5→神聖魔法10




 ………。
 色々突っ込みたいが、今は取り敢えず考えるのは辞めておこう。
 ひとまずあの黒龍と大差ないステータスになっていた事だけは確かだな。




「これなら、いけるか……ひとまず、新スキルの確認よりあの黒龍を早く倒さないとな」


 上空にいる黒龍は相変わらずこちらを睨んでいるが、突如口を大きく開け、口に物凄い魔力が溜まっていくのが分かる。
 そしてそれを俺に対して放つ。


「なっ!」


 いきなりの黒龍のブレスに少し反応が遅れるが、すぐさま、回避する為に上空へと飛び立つ。


 ドゴォオオオオオオオオオン‼︎


 森が揺れる程の爆音を発し、その着弾地点を見ると辺り一面が更地になり、周りの木々達は爆風により吹き飛んでいた。


「──のやろ!」


 豪風魔法で竜巻を三つ発動させ、黒龍を囲む様に発動する。
 その竜巻は、黒龍へと向かいやがて一つに合わさる。
 すると巨大な竜巻となり、黒龍を切り刻んでいく。


 更に追い討ちを掛けるように俺は、MPを込めれる分だけ込めた炎魔法で巨大な火の玉を発動し、それを竜巻に向け放つ。
 すると火の玉は竜巻と合わさり、そこには真っ赤に燃え盛る竜巻で黒龍を焼き尽くし、切り刻んでいた。
 咄嗟に思いついた事だが、上手くいったようだ。


 黒龍の甲高い断末魔が森中に響いており、案外効いているみたいだ。
 だが、少し経つと巨大に燃え盛る竜巻は黒龍によって、掻き消されてしまった。


「あれでもダメか。まぁ想定内だけどな」


 黒龍は翼がボロボロに焼き刻まれており、当分空を飛ぶ事は出来ないだろう。
 空をゆっくりとしか飛べない俺が、ドラゴンと空中戦なんて無謀でしかないだろう。
 でもこれで、なんとか地上戦へと引きずり込めた。


 そして俺は大剣を構え、地上へ落ちた黒龍の元へと一気に駆け出す。
 ステータスが倍以上に上がっているせいか、一瞬で黒龍の元へと詰めより、そのまま顔に目掛けて大剣を振り斬る。


 斬った瞬間、ガキンっと大剣は折れるが、そんな事は気にせずそのまま折れた大剣を黒龍の眼に突き刺した。


「ギュルォオオオオオオオオオオオオ」


 眼に突き刺さった瞬間大きな咆哮と共に、怒りのまま腕を振り落としてくる。
 とても巨体とは思えない程のスピードで切り裂いてくるが、俺は紙一重で全てを躱しきる。


 一旦距離を取ると、黒龍の周りには黒い球体が無数に浮かび上がりこちら目掛けて飛んで来る。


 黒い球体はそれ程速くはなく、それを全て避けようとした時、突然黒い球体の速度が爆発的に速くなる。


「がはっ!?」


 急に速度を増した球体を避けきる事が出来ずに、直撃してしまい、そのまま後方へと吹き飛んでしまう。


(くそっ、油断した。恐らく闇魔法で作り出した球体を豪風魔法で風を操り一気に加速したんだと思うけど……)


 よろよろと立ち上がり、口から吐き出した血を拭う。


「武器も壊れたし、MPも残り1000程度か。どうすれば……」


 ん?
 そういえば、何故か光魔法が神聖魔法に変わっていたよな?
 相手は闇属性だろうし、ここで一気に残りMPを使い切ってみるか……
 一か八かの勝負だけどな。


 あの巨大な黒龍を一撃で倒す程の威力がある魔法だ。
 生半可な事では倒す事は出来ない。
 黒龍の鱗は硬く、斬る事は出来なかった。
 それならどうする?
 いくら黒龍とはいえ、頭や心臓さえ破壊すれば、倒す事は出来るであろう。
 よし、イメージは出来る。


 出し惜しむ事はせず、残りのMPを出来る限り込め、そして俺は一つの魔法を想像した。


「──貫け。滅光槍神ブリューナク


 俺の右手には眩い光を放つ一本の槍が現れ、それを黒龍の頭部目掛け投擲する。


 目にも止まらぬ速さとはこの事なんだろう。
 腕を振り切り、投擲した時には既に黒龍の頭部を貫いていた。
 すると黒龍の眼からは光は消え、そのまま糸が切れたかのように倒れ、絶命していた。




「……やっと、終わっ……た」




 長い戦闘が終わり安堵するが、MPを使い切ってしまった事により俺はそのまま意識を失ったのであった。 
 

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