薬師無双〜ドーピングで異世界を楽しむ〜
帰郷
(結局、一睡も出来なかった……)
日は昇り初め、森の中には鳥の鳴き声が囀る。
俺の胸の中には、まだ彼女は抱き付いており、俺はそのまま動く事が出来ずにいた。
「んっ……ここは……」
彼女は、目を覚ます。
そして周りを見渡し、俺の顔を見上げた。
「おはよう。良く眠れたみたいだね」
俺が声を掛けると、彼女は自分が抱きついている事にやっと気が付いた。
そして、ハッと目を見開き、彼女は勢い良く俺から離れていった。
「………っ! ごめんなさいっ! 私いつの間にか、寝てしまってて……」
「いや、大丈夫だよ。とりあえず、お腹も空いただろう? 朝食にしようか」
俺は、異空間倉庫からティルム村で購入した食事を取り出した。
彼女もやはり異空間倉庫から食事を取り出した時驚いてはいたが、何も言わずただ座っていた。
そして、手軽に食べれるサンドウィッチを取り出し、コップにはコンソメスープを注ぐ。
それを彼女に手渡して、俺達は朝食を食べる事にした。
「………おいしい」
モグモグと小動物を思わせるかのように食べながら、彼女はそう呟いた。
「だろう? 俺も、初めてこの料理を作った人の食事を食べた時は、泣きながら食べてたからなっ」
ハハッと俺は笑い、少しでも彼女の不安や悲しみを取り除こうと、精一杯明るく振る舞い、俺達は朝食を食べ終えた。
「あの………ありがとう……」
「お礼はもう充分聴いたよ。それよりも、これから向かいたい場所があるんだ。でも場所が分からないから、教えてくれないかな?」
「……うん」
それから、彼女に案内してもらい、一時間程掛け俺達は目的地へと辿り着いた。
──そこは、彼女が盗賊に襲われた場所でもあり、父親の遺体がある場所である。
目的地へと着いた俺は、周囲を確認していると、街道沿い近くの森の中に、リアラの父親は盗賊共に無造作に捨てられていた。
「………ぅぅ……おとうさん……」
そんな姿を見た彼女は、やはり倒れた父の遺体を見つめ、ただ泣いていた。
そんな彼女を、俺はただ見つめる事しかできなかった。
──それから十分程が経ち、彼女も既に泣き止んでいたので、俺は声を掛ける。
「リアラさん。そろそろ、お父さんを埋葬しようか」
「…………はい」
そして、俺は彼女の父親を抱きかかえる。
異空間倉庫の中に入れ運ぶ事もできるが、俺は彼女を守り死んでいったこの男性を、どうしても人の手で運び埋葬したかったのだ。
「どこに埋葬しようか?」
「……母の……母が眠る場所まで…」
彼女は弱々しくそう答えた。
「なら、そこまで案内頼むよ」
☆
それから三時間程掛け彼女の母が眠る、丘へと辿り着いた。
丘の上には、様々な花が咲き誇っており、まるで今にも妖精が現れるかのようにも思えた。
そして、咲き誇る花々の中心に、彼女の母の墓石が建てられており、俺はその墓石の隣を道具などはないので、素手で穴を掘っていく。
(さすがに、素手で穴掘るのはキツいし、時間掛かるな……)
そう思いながらも、俺はひたすら掘り続けていた。
すると、父の遺体の側にいた彼女は、こちらへとやってき、一緒に穴を掘り始めた。
「大丈夫?」
「もう大丈夫……それに私のお父さんだから、本当は私がやらなくちゃいけないのに……こんな事までしてもらって、本当にありがとう……」
そして俺達は、そのまま穴を掘り続けた。
掘り始めてから四十分。
やっと、遺体を埋める程の充分なスペースを掘り、俺と彼女で父親の男性を埋めていく。
砂を掛け、掘った穴を平地にしていく。
そして花を摘み、束ねる。
束ねた花を、父の眠る場所へと添え、彼女は手を合わせ目を瞑る。
「お父さん……本当に……ありがとう……」
彼女は涙を流しながらも、別れの言葉を父へと告げた。
☆
「アランさん、本当にありがとう」
彼女に改めて礼を言われる。
彼女の目には、出会った当初よりも輝きが増したかのようにも見える。
「うん。もう、大丈夫そうだね」
これで彼女が立ち直るのは時間の問題だし、もう大丈夫だろう。
「それじゃあ、そろそろ家まで送るから。また案内頼むよ」
「はい……」
あれ、なんか悲しそうだけど……
やっぱり、まだ辛いのかな。
☆
それから、日も暮れた頃には彼女の住むアズール村へと着いた。
アズール村へと着くと、村長がリアラさんの元へと駆け付けて来た。
村長が話すには、リアラさん達が未だ帰って来なったので、ギルドに捜索依頼を出そうとしていたとこ、丁度そこに俺達が村へと帰って来たらしい。
そこで、リアラさんは村長や村人達に説明をした。
父は盗賊に殺され、私は捕まっていた。
そこで俺に助けられ、父を埋葬し、村へと帰って来たと。
それを聞いた村長や住民達は、彼女の父親の死を嘆き、中には泣いている住民達もいる。
そして彼女には、村人のおばちゃん達に抱きつかれながら、『生きてて、本当に良かった』とおばちゃん達は号泣していた。
俺はその姿を見て、リアラさん達は本当にこの村の住民達に愛されてるんだなっとつくづく思った。
──そして現在、俺は異世界初の風呂に入っている。
しかも、温泉だ。
あれから、村長や住民達と解散した俺とリアラさんは、身体も汚れていたので、アズール村に湧く温泉で汚れを落とす事に。
勿論、男女別だよ?
少しは、混浴かと期待したけどね……。
「ふうぅ…………最高に気持ちいい……」
やっぱり温泉はいいな。
当分この村に滞在するのもいいかもな。
そんな事を考えながらも、逆上せそうなので、温泉から上がる事にした。
すると、外には既に温泉から上がっていた、リアラさんが立っていた。
「あ……あの……ちゃんとお礼をしたいから……その……今日は私の家に……泊まってって……言いたくて……その……」
恥ずかしいのか、湯上がりのせいなのか分からないが、リアラさんの顔は薄紅色に染まっており、汚れも落ちた彼女はかなり艶っぽかった。
そしてなによりも、超可愛い……
俺は『礼を受け取るのが礼儀』だと思っているので、そんな彼女の好意を、俺は素直に受け取る事にした。
☆
リアラさんの家に着いた俺は、彼女が作った食事を食べていた。
「美味いっ!  リアラさんって、かなり料理上手いんだね」
ティルム村のおっちゃん程ではなかったけど、それでもリアラさんの料理のレベルはかなり高いと思う。
「──リアラ」
「ん?」
「リアラって、呼び捨てがいいです」
「ああ、なるほど。それじゃリアラ、俺の事はアランって呼んでくれ! それと、敬語もなしね」
そう言うとリアラは、笑いながら『うんっ』と力強く返事をした。
笑ったリアラは、つい撫でてあげたくなる程、可愛いかった。
──食事も終え、今日も疲れたので寝ることにした。
彼女の父の部屋で泊まる事になった俺は、久々に薬学創造魔法で魔力の木の実(M)を創る事に。
ティルムを出てから色々あったので、まぁ仕方ないんだけどね。
そして盗賊を倒した俺は、レベルも上がっていた。
なんとっ! この度俺は、薬師が【調薬師】へとなっており、中級職へとランクが上がっていたのだ。
下級職が30になると中級職にランクが上がるみたいだ。
そして、それに伴い大幅にステータスも増えていた。
結界、格闘術、体術はそれぞれ1レベル上昇しており、MPも600を超えていた。
俺は魔力の木の実(M)を六個創造し、食べる。
するとMPは48も増えていた。
薬学創造の力を改めてチートだなと認識した俺は、今日も疲れたので、回復魔法を使い切り意識を失ったのであった。
日は昇り初め、森の中には鳥の鳴き声が囀る。
俺の胸の中には、まだ彼女は抱き付いており、俺はそのまま動く事が出来ずにいた。
「んっ……ここは……」
彼女は、目を覚ます。
そして周りを見渡し、俺の顔を見上げた。
「おはよう。良く眠れたみたいだね」
俺が声を掛けると、彼女は自分が抱きついている事にやっと気が付いた。
そして、ハッと目を見開き、彼女は勢い良く俺から離れていった。
「………っ! ごめんなさいっ! 私いつの間にか、寝てしまってて……」
「いや、大丈夫だよ。とりあえず、お腹も空いただろう? 朝食にしようか」
俺は、異空間倉庫からティルム村で購入した食事を取り出した。
彼女もやはり異空間倉庫から食事を取り出した時驚いてはいたが、何も言わずただ座っていた。
そして、手軽に食べれるサンドウィッチを取り出し、コップにはコンソメスープを注ぐ。
それを彼女に手渡して、俺達は朝食を食べる事にした。
「………おいしい」
モグモグと小動物を思わせるかのように食べながら、彼女はそう呟いた。
「だろう? 俺も、初めてこの料理を作った人の食事を食べた時は、泣きながら食べてたからなっ」
ハハッと俺は笑い、少しでも彼女の不安や悲しみを取り除こうと、精一杯明るく振る舞い、俺達は朝食を食べ終えた。
「あの………ありがとう……」
「お礼はもう充分聴いたよ。それよりも、これから向かいたい場所があるんだ。でも場所が分からないから、教えてくれないかな?」
「……うん」
それから、彼女に案内してもらい、一時間程掛け俺達は目的地へと辿り着いた。
──そこは、彼女が盗賊に襲われた場所でもあり、父親の遺体がある場所である。
目的地へと着いた俺は、周囲を確認していると、街道沿い近くの森の中に、リアラの父親は盗賊共に無造作に捨てられていた。
「………ぅぅ……おとうさん……」
そんな姿を見た彼女は、やはり倒れた父の遺体を見つめ、ただ泣いていた。
そんな彼女を、俺はただ見つめる事しかできなかった。
──それから十分程が経ち、彼女も既に泣き止んでいたので、俺は声を掛ける。
「リアラさん。そろそろ、お父さんを埋葬しようか」
「…………はい」
そして、俺は彼女の父親を抱きかかえる。
異空間倉庫の中に入れ運ぶ事もできるが、俺は彼女を守り死んでいったこの男性を、どうしても人の手で運び埋葬したかったのだ。
「どこに埋葬しようか?」
「……母の……母が眠る場所まで…」
彼女は弱々しくそう答えた。
「なら、そこまで案内頼むよ」
☆
それから三時間程掛け彼女の母が眠る、丘へと辿り着いた。
丘の上には、様々な花が咲き誇っており、まるで今にも妖精が現れるかのようにも思えた。
そして、咲き誇る花々の中心に、彼女の母の墓石が建てられており、俺はその墓石の隣を道具などはないので、素手で穴を掘っていく。
(さすがに、素手で穴掘るのはキツいし、時間掛かるな……)
そう思いながらも、俺はひたすら掘り続けていた。
すると、父の遺体の側にいた彼女は、こちらへとやってき、一緒に穴を掘り始めた。
「大丈夫?」
「もう大丈夫……それに私のお父さんだから、本当は私がやらなくちゃいけないのに……こんな事までしてもらって、本当にありがとう……」
そして俺達は、そのまま穴を掘り続けた。
掘り始めてから四十分。
やっと、遺体を埋める程の充分なスペースを掘り、俺と彼女で父親の男性を埋めていく。
砂を掛け、掘った穴を平地にしていく。
そして花を摘み、束ねる。
束ねた花を、父の眠る場所へと添え、彼女は手を合わせ目を瞑る。
「お父さん……本当に……ありがとう……」
彼女は涙を流しながらも、別れの言葉を父へと告げた。
☆
「アランさん、本当にありがとう」
彼女に改めて礼を言われる。
彼女の目には、出会った当初よりも輝きが増したかのようにも見える。
「うん。もう、大丈夫そうだね」
これで彼女が立ち直るのは時間の問題だし、もう大丈夫だろう。
「それじゃあ、そろそろ家まで送るから。また案内頼むよ」
「はい……」
あれ、なんか悲しそうだけど……
やっぱり、まだ辛いのかな。
☆
それから、日も暮れた頃には彼女の住むアズール村へと着いた。
アズール村へと着くと、村長がリアラさんの元へと駆け付けて来た。
村長が話すには、リアラさん達が未だ帰って来なったので、ギルドに捜索依頼を出そうとしていたとこ、丁度そこに俺達が村へと帰って来たらしい。
そこで、リアラさんは村長や村人達に説明をした。
父は盗賊に殺され、私は捕まっていた。
そこで俺に助けられ、父を埋葬し、村へと帰って来たと。
それを聞いた村長や住民達は、彼女の父親の死を嘆き、中には泣いている住民達もいる。
そして彼女には、村人のおばちゃん達に抱きつかれながら、『生きてて、本当に良かった』とおばちゃん達は号泣していた。
俺はその姿を見て、リアラさん達は本当にこの村の住民達に愛されてるんだなっとつくづく思った。
──そして現在、俺は異世界初の風呂に入っている。
しかも、温泉だ。
あれから、村長や住民達と解散した俺とリアラさんは、身体も汚れていたので、アズール村に湧く温泉で汚れを落とす事に。
勿論、男女別だよ?
少しは、混浴かと期待したけどね……。
「ふうぅ…………最高に気持ちいい……」
やっぱり温泉はいいな。
当分この村に滞在するのもいいかもな。
そんな事を考えながらも、逆上せそうなので、温泉から上がる事にした。
すると、外には既に温泉から上がっていた、リアラさんが立っていた。
「あ……あの……ちゃんとお礼をしたいから……その……今日は私の家に……泊まってって……言いたくて……その……」
恥ずかしいのか、湯上がりのせいなのか分からないが、リアラさんの顔は薄紅色に染まっており、汚れも落ちた彼女はかなり艶っぽかった。
そしてなによりも、超可愛い……
俺は『礼を受け取るのが礼儀』だと思っているので、そんな彼女の好意を、俺は素直に受け取る事にした。
☆
リアラさんの家に着いた俺は、彼女が作った食事を食べていた。
「美味いっ!  リアラさんって、かなり料理上手いんだね」
ティルム村のおっちゃん程ではなかったけど、それでもリアラさんの料理のレベルはかなり高いと思う。
「──リアラ」
「ん?」
「リアラって、呼び捨てがいいです」
「ああ、なるほど。それじゃリアラ、俺の事はアランって呼んでくれ! それと、敬語もなしね」
そう言うとリアラは、笑いながら『うんっ』と力強く返事をした。
笑ったリアラは、つい撫でてあげたくなる程、可愛いかった。
──食事も終え、今日も疲れたので寝ることにした。
彼女の父の部屋で泊まる事になった俺は、久々に薬学創造魔法で魔力の木の実(M)を創る事に。
ティルムを出てから色々あったので、まぁ仕方ないんだけどね。
そして盗賊を倒した俺は、レベルも上がっていた。
なんとっ! この度俺は、薬師が【調薬師】へとなっており、中級職へとランクが上がっていたのだ。
下級職が30になると中級職にランクが上がるみたいだ。
そして、それに伴い大幅にステータスも増えていた。
結界、格闘術、体術はそれぞれ1レベル上昇しており、MPも600を超えていた。
俺は魔力の木の実(M)を六個創造し、食べる。
するとMPは48も増えていた。
薬学創造の力を改めてチートだなと認識した俺は、今日も疲れたので、回復魔法を使い切り意識を失ったのであった。
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