幼馴染みの2人は魔王と勇者〜2人に挟まれて寝た俺は2人の守護者となる〜

海月結城

領主様との謁見

 翌日、僕たちは場所を移した新しいエルフの森に向かった。
 その前に、僕たちは《シーシップ》の領主様から屋敷に招待を受けていた。
 断ると不敬罪になるので、仕方なく領主様の待つ屋敷に向かった。

「よく来てくれた!! 待っていたぞ!!」

 僕たちと言っても、ノルメ、カリーナ、レイさんは今回の戦いには参戦していなので、付いてきていない。呼ばれたのは、エクレンとツバキの二人だった。だけど、その二人にリーダーである僕も付いてきて欲しいと懇願されたのだ。
 最初は断ろうとしたが、エクレンの必死なお願いと、ツバキのウルウルさせた瞳にやられてしまった。

 僕たちが領主様の待つ部屋に入ると、領主様は椅子の前に立ち手を大きく広げながら僕たちを待っていた。
 《シーシップ》の領主様は24歳という若さでこの街の領主を務めていた。
 だから、こういうノリが軽いのだ。

「いやー、君たち、私よりも若いのに凄いね!! 私なんて、戦闘はからっきしなんだよ。護身術ぐらいしか戦えないよ。はっはっはっ! そうそう、それで、君たちに何か、報酬を与えようと思うんだけど、何か欲しいものある?」

 ここに来る前に、僕たちを案内してくれた騎士団の人に、報酬を考えていてと言われたのだが、二人に欲が無いのか、今に至るまでずっと考えていた。
 二人は迷った挙句僕の方を見てきた。二人の目から「お願い! 代わりに何か言って!」と語りかけて来たけど、僕は首を横に小さく振った。

 この戦いに参戦していたない僕は、報酬を受け取る権利は無いので、二人に任せる。
 そして、二人が出した答えは、何もいらない。だった。

「な、何要らない、だと……? 本当に、何もいらないのか? 今なら、私が与えられる最高の地位と権力、財産を貰えるんだぞ? それも要らないのか?」

 狼狽えながら聞く領主様に二人は力ずよく返事をした。

「そ、そうか、では、君たちには私と領民全員からの感謝を送らせ貰う。水龍を倒していただき本当に感謝する。ありがとう」

 そして、領主様への謁見は終わった。
 外に出ると、屋敷の入り口を護っている騎士と仲良さそうに話している3人がいた。

「おーい、みんなー! お待たせ」
「あ、エクレン、ツバキちゃん、フォレス! お帰り!」
「騎士さん、また会いましょうね」
「「は、はい!!」」

 3人と騎士たちが一体何を喋ったら、あんなに騎士たちの顔がデレデレになるのか・・・

「ねぇ、ノルメ」
「なに? お兄ちゃん」
「騎士たちと何話してたの?」
「え、世間話です」

 そう言って、ノルメはふふっと笑った。

 そして、僕たちはエルフの森に向かった。
 エルフの森から馬車で半日。夜になるころにエルフの森に到着した。

「皆様、お待ちしておりました」
「おぉ! 久しぶりだね、ヌル!」

 エルフの森の結界前には、旧エルフの森でもお世話になったヌルがいつも通り現れた。

「ごめんね、こんな夜遅くに」
「いえ、問題ないです。それが、私の仕事ですから。さ、中に入りましょう」


 ヌルさんの案内の元エルフの森の中に入った。
 初めて会うエクレンとツバキはその道中で自己紹介を終えていた。
 移動して1年ほど経つエルフの森は、まだまだ発展途上だった。旧エルフの森が木を削った中に家などを作っていたが、今回のエルフの森にはそこまで大きな木が存在していなので、また別の家を建設していた。
 というか、普通の街と同じような街に変わっていた。

「今回は、前みたいな家の建て方じゃないんですね」
「あー、そうですね。会議で意見出し合ったんですがみんな嫌がったんですよ。移動しずらい、家に帰るまで階段やら登るの面倒くさいと意見が出て、人族の街の作り方を真似しました」

 そう言って、ヌルさんは笑った。

「長への謁見も今すぐ出来ますが、いかがいたしますか?」
「長には悪いですが、今日は夜遅いし、みんな疲れているので明日にします」
「分かりました。長にもそのように伝えておきますね」

 そのまま、僕たちはヌルさんの案内の元エルフの宿屋に到着した。

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