幼馴染みの2人は魔王と勇者〜2人に挟まれて寝た俺は2人の守護者となる〜
ノルメの修行開始
修行に出たノルメは、途中でカリーナと別れて一人で《ボルケイノ》の遺跡に向かった。
久しぶりのボルケイノに、ノルメは少し体が震えていた。
出発前はあんなに楽しみだったのに、少し前まで奴隷として暮らしていた街に戻るのは、昔のことを思い出してしまう。
理不尽に殴られ、理不尽にご飯を抜かれ、理不尽に罵声を浴びせられる。
その記憶は消す事は出来ない。フォレスたちに会った後でも、悪夢としてその時のことを夢に見ることがある。
「気持ちを切り替えないと」
だけど、昔のことを思い出して身を震わせるよりも、更に恐ろしいことが神の所為で起きようとしている。
そのことを考えると、身が引き締まる。
そして、遺跡に着くと以前来た時と変わらない姿でノルメのことを迎え入れてくれた。
遺跡に入ったノルメは、何個もある道から、昔自分が入った道を思い出してその道に入って行った。
少し歩くと、見覚えのある場所に着いた。
「たのもー!!!」
ノルメはその場にそぐわない言葉を大きな声で放った。
「・・・たの……」
「道場破りならお断りよ」
「うわぁ! び、びっくりした……」
「何よ、こっちのほうがびっくりしたわよ。まぁ良いわ、中に入って、そこで話を聞くわよ」
アイリスに付いてきて、以前にも座った椅子に腰を下ろした。
アイリスに飲み物を用意してもらって、ノルメは口を開いた。
「私は強くなりたいです。仲間がどんなに傷を受けても回復させられる力、仲間がどんなに敵に攻撃を与えられなくても、私の力で道を切り開いてあげたいんです。その為のきっかけを、作りたいんです」
アイリスはノルメの必死のスピーチに肘をついて話を聞いていた。
その姿に、ノルメはほんの少し怒った。
「話、聞いてますか?」
「聞いてるよ。でもさ、それって、聖女じゃなくても出来るよね? 勇者は持続回復を持ってるし、道を切り開くのは聖魔士と聖弓士が居たら聖女は必要ないよ。なのに、それをしたいの?」
「そ、それは……」
そんな事、ノルメが一番知っている。
その時、ノルメの感情のダムが決壊した。
「そんなこと、私が一番知ってるよ! どんな戦いでも私は戦いが終わった後の回復だけ、最近になってやっとデバフとバフが出来るようになったけど、私の力が弱いから敵はそんなもの、あってもないようなものだし、カリーナたちにバフしても、デバフした敵にすぐやられる、お兄ちゃんにはよくやったって褒めてもらえるけど、いつも惨めになる! お兄ちゃんは本心で言っているから、質が悪い! もう、私にあそこに居場所なんてないんだ……」
そう言って、ノルメは泣き崩れてしまった。
アイリスはノルメの背中を摩った。
少しして、ノルメは泣き止んだ。
「大丈夫? 落ち着いた?」
「……は、はい」
アイリスはノルメの手を握って立ち上がらせた。
「ノルメ、一つ言っておくよ。居場所が無いなんて思っているのはノルメだけだよ。さっき、質が悪いとか言っていたけど、二度とそんなことを言わないで、貴女のことを大切に思っているお兄ちゃんが可哀想だよ。それに、そんな風に思うの辛いでしょ?」
「……はい」
「まぁ、今のノルメにはまだ難しいと思うけど、貴女を強くして、みんなが私が居ないと駄目ってノルメに思わせるぐらい強くしてあげる」
「はい!! お願いします!!!」
そして、ノルメの修行が始まった。
久しぶりのボルケイノに、ノルメは少し体が震えていた。
出発前はあんなに楽しみだったのに、少し前まで奴隷として暮らしていた街に戻るのは、昔のことを思い出してしまう。
理不尽に殴られ、理不尽にご飯を抜かれ、理不尽に罵声を浴びせられる。
その記憶は消す事は出来ない。フォレスたちに会った後でも、悪夢としてその時のことを夢に見ることがある。
「気持ちを切り替えないと」
だけど、昔のことを思い出して身を震わせるよりも、更に恐ろしいことが神の所為で起きようとしている。
そのことを考えると、身が引き締まる。
そして、遺跡に着くと以前来た時と変わらない姿でノルメのことを迎え入れてくれた。
遺跡に入ったノルメは、何個もある道から、昔自分が入った道を思い出してその道に入って行った。
少し歩くと、見覚えのある場所に着いた。
「たのもー!!!」
ノルメはその場にそぐわない言葉を大きな声で放った。
「・・・たの……」
「道場破りならお断りよ」
「うわぁ! び、びっくりした……」
「何よ、こっちのほうがびっくりしたわよ。まぁ良いわ、中に入って、そこで話を聞くわよ」
アイリスに付いてきて、以前にも座った椅子に腰を下ろした。
アイリスに飲み物を用意してもらって、ノルメは口を開いた。
「私は強くなりたいです。仲間がどんなに傷を受けても回復させられる力、仲間がどんなに敵に攻撃を与えられなくても、私の力で道を切り開いてあげたいんです。その為のきっかけを、作りたいんです」
アイリスはノルメの必死のスピーチに肘をついて話を聞いていた。
その姿に、ノルメはほんの少し怒った。
「話、聞いてますか?」
「聞いてるよ。でもさ、それって、聖女じゃなくても出来るよね? 勇者は持続回復を持ってるし、道を切り開くのは聖魔士と聖弓士が居たら聖女は必要ないよ。なのに、それをしたいの?」
「そ、それは……」
そんな事、ノルメが一番知っている。
その時、ノルメの感情のダムが決壊した。
「そんなこと、私が一番知ってるよ! どんな戦いでも私は戦いが終わった後の回復だけ、最近になってやっとデバフとバフが出来るようになったけど、私の力が弱いから敵はそんなもの、あってもないようなものだし、カリーナたちにバフしても、デバフした敵にすぐやられる、お兄ちゃんにはよくやったって褒めてもらえるけど、いつも惨めになる! お兄ちゃんは本心で言っているから、質が悪い! もう、私にあそこに居場所なんてないんだ……」
そう言って、ノルメは泣き崩れてしまった。
アイリスはノルメの背中を摩った。
少しして、ノルメは泣き止んだ。
「大丈夫? 落ち着いた?」
「……は、はい」
アイリスはノルメの手を握って立ち上がらせた。
「ノルメ、一つ言っておくよ。居場所が無いなんて思っているのはノルメだけだよ。さっき、質が悪いとか言っていたけど、二度とそんなことを言わないで、貴女のことを大切に思っているお兄ちゃんが可哀想だよ。それに、そんな風に思うの辛いでしょ?」
「……はい」
「まぁ、今のノルメにはまだ難しいと思うけど、貴女を強くして、みんなが私が居ないと駄目ってノルメに思わせるぐらい強くしてあげる」
「はい!! お願いします!!!」
そして、ノルメの修行が始まった。
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