幼馴染みの2人は魔王と勇者〜2人に挟まれて寝た俺は2人の守護者となる〜

海月結城

聖女と聖弓士のスキル

 エルフの森での出来事は僕たちの胸に強く刻まれた。
 『ヘルヘイム』は精霊の性質上、消えることで死んでしまう。だから、埋葬などは出来ない。

 その出来事から、二日経過した。
 その間、リルーゼさんはエルフの偉い人たちと話をして、森の移住を計画していた。

「ここも大好きな故郷だが四分の三も燃やされしまっては流石に住むことが出来ない」

 とのことだった。
 それと同時に一つ、お願いをされた。

「そこでだが、君たちにお願いがある。我らエルフは美男美女が多い。その為、人族の一部の悪い奴らから狙われることがある。大移動をしている最中に罠でも張られていたら、我らエルフだとしても捕まってしまうかもしれない。そこでだ、我らの次の住処まで護衛をお願いしたい。君たちが、理由を持って旅をしていることも重々承知している。その分、報酬は弾ませてもらう。どうか、お願いしたい」

 リルーゼさんの依頼に僕たちは二つ返事で了承した。

「出発は明後日を予定している。それまでは、ゆっくりできる場所は無いけど、ゆっくりしていってくれ」

 リルーゼさんと別れて、僕とカリーナ、ノルメはこの戦いで習得したスキルや、持っていたスキルの話し合いに時間を当てることにした。

「それじゃあ、先ずはノルメからお願い」
「分かりました。私が使っていた聖女のスキルは《七つの光》と言われるもので、赤、橙、黄、緑、青、藍、紫の七種類で、効果もその光によって違います。赤色が『身体強化』、橙色が『魔力強化』、黄色が『物理強化』、緑色が『回復』、青色が『魔力低下』、藍色が『物理低下』、紫色が『身体能力低下』です。これから、主に使うスキルはこれですね。他にも、昔に使った『簡易冷却クーリング』だったり、まだ使ったこと無いですが、『簡易保温ホット』も存在します。寒い地域に行ったら使いますね」
「なるほど、それは強いね」
「うんうん! さっすがノルメ! 私の大親友!」
「凄いわね、ノルメちゃん」
「「「ん? え?」」」

 ノルメのことをちゃん付けで呼ぶ人なんて今まで居ない。その声は今までも何度か聞いたことのある声だった。

「な、なんで、居るんですか?! レイさん!」
「ふふ、あなたたちの楽しそうな雰囲気が伝わって来たから、来ちゃった♪」
「え、でも、レイさんって、エルフの森に残るんですよね?」
「あれ、リゼから聞いてないの? 私、あなた達の旅に付いていくわよ」

 レイさんの発言に僕たち三人は驚かされた。
 てっきり、リルーゼさんをこれからも守らないといけないから、残るものかと思った。
 それに、僕たちの旅の目的は魔王の討伐ではない。今は居ないが、そこら辺にいるし。

「で、でも、僕たちの旅の目的は……」
「知ってるわよ。魔王と勇者の遺跡を探しているんでしょう。最初に言ったじゃない。見てたって」

 確かに、記憶を遡ると、ヌルさん案内する前にそんなことを言っていたような……。

「だから、旅の目的は理解しているつもりよ。それに、あなた達を見ていると、お姉ちゃんとして守りたくなっちゃうのよね~」

 レイさんも引く気は無さそうだし、僕たちも引かせる気は無いので、レイさんが旅の同行者に加わった。

「それじゃ、次は私のスキルを説明するわね。先ずは『追尾ホーミング』。弓で狙った対象をどこを向いていたとしても撃ち抜くことが出来るわ。次は、『拡散ショットガン』。撃った矢が最大四つまで増えるわ。最大って言ったのは、これは自分の意志で数を変更できるわ。次が、『ウォールハック』。壁越しだったり、木々が生い茂っている場所で、見えない敵を視認することが出来るようになるわ。最後が『刹那の一撃』。溜は少し長いけど、撃ち抜いた敵を必ず殺すことが出来るわ。ただ、溜めている間はその場から動けないのが、弱点ね」

 うーん、何と言うか……

「チートだな」
「ちーと? お兄ちゃん、それは何ですか?」
「あ、ううん、何でもないよ」

 少し危なかったが、こういった地球の言葉はあまり口に出さないほうが良いだろう。誰が聞いているか分からないし。

「話を続けるわね。今行ったスキルは重ね合わせが可能なの。『刹那の一撃』を撃つときに、『追尾』を付けたら必ず当たるわ。ただ、『拡散』は普通よりも強い矢が飛んでいくだけね。それでも、一般兵の頭は吹っ飛ぶけど……」

 あまり、想像したくない例えを出してくる。
 やめて欲しい。

「にしても、聖女も聖弓士も強いスキル持ってるね」
「そう、だね。普通じゃ手に入らないスキルだからね」
「それじゃ、次は私の番だね」

 続いて、勇者のスキルの番だ。

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