幼馴染みの2人は魔王と勇者〜2人に挟まれて寝た俺は2人の守護者となる〜
エルフの森の案内
一瞬で現れたエルフは首を垂れた状態で話を続けた。
「皆様のお姿はこちらから見ておりました。魔王をこの森に入れるかどうかは全員で話し合いを終え、森の中に入れても問題ないと判断いたしました。皆様をエルフは歓迎いたします。私はヌルと申します」
ヌルさんは立ち上がり、小さく呪文を唱えて結界に穴を開けた。
結界に開けた穴は僕たちが全員入ると閉じた。
「それでは、皆様。私に付いてきてください。森の長に会っていただきます」
森の長。一体どんな人なんだろうか? 怖い人じゃ無ければ良いんだけど……。
そんな不安を胸に森の中を進んでいくと、エルフたちの居住区に到達した。
「ここが、私たちの居住区になります。後ほどこの森の地図を渡しますが、皆様もここで寝泊まりしていただきますので、場所は覚えておいてください」
エルフたちは半径十メートルはある木に穴を掘り、その中で暮らしている。木と木の移動はつり橋が掛けられていて、その橋を渡っている。
その橋は高さによって進む木が変わるので気を付けないと木と木の移動で迷子になってしまうかもしれない。
居住区の景色に見惚れて進む足が遅くなったが一旦、僕たちが泊る予定の宿に行くことになった。
「ここが、皆様がお泊りになる部屋です」
聞いたところによると、この森に宿屋なんて存在しない。人族や他種族など、どうやってもこの森には入ってこないし、客人なんて百年に一人も来ない。そんな存在のために宿屋なんて作る意味もない。
「荷物は、無いようなのでこのまま出発します」
場所は覚えたので長が待つ木まで案内してもらった。
その間にも、エルフたちの交換所などがあり、長との挨拶が終わったら寄ってみたい。
「長い間歩かせてしまった申し訳ありません。もう少し頑張ってください。ここが森の長が待っている木になります。ここから更に階段で上まで歩いて頂きます」
その木は今まで見てきた木とは全くの別物だった。
木の太さも一.五倍、高さも一.三倍ほどの大きさなのだ。そして、長が待っている階までの階段が木の周りを待っているので相当数の階段を登らなければいけない。
それから、十分後。ようやく長の待つ階まで登ってきた。
「も、もう……むり……」
「はぁ、はぁ、魔王の俺がここまで疲れる? どんだけ、この階段きついんだよ」
僕たちの階段を登り終えた現状を見たヌルさんは綺麗な九十度に体を曲げて頭を下げた。
「あ、申し訳ありませんでした!!!」
僕たちは何のことだろうかと首を傾げたが、ヌルさんはそのまま続けた。
「この階段は特殊な結界を周りに張っていまして、その結界の効果が『生物がこの階段を登り終えると膝に手を付いて疲れる』という効果なんです。常時付けているんですが、客人が来た時だけこの結界を消すんです……」
先ほども宿屋が無いという理由を聞いた時にも言っていたが、このエルフの森は客人など来ない。
結局のところ何が言いたいかというと、ヌルさん忘れていたんだ。この結界を消すのを……。
「誰にだって、そんな失敗はありますよ。だから、頭を上げてください」
「いいえ、そんな事出来ません! 百年に一度の客人に物凄く失礼なことをしてしまいました」
カリーナは腰に手を当ててヌルさんに言い放った。
「良いから、顔を上げなさい!!!」
「ゆ、勇者様……」
「フォレスが頭を上げなさいと、許しているんだから、貴方はそのまま受け入れればいいのよ!! 今、この場で一番偉いのは長ではなくフォレスよ!!」
ヌルさんは驚いた表情で僕のことを見てきた。
カリーナはどう? 良いこと言ったでしょとでも言いたげな表情で僕のことを見てくる。
二人に視線に僕は苦笑いを浮かべるしか出来なかった。
少し休憩してからエルフの森の長との挨拶が始まった。
エルフの森から少し離れた丘の上。そこには角の生えた大きな魔族と大事なところ以外はさらけ出した服で立っている魔族の女が立っていた。
「魔王様。あそこがエルフの森です」
「そうか。して、中に入る準備は整っているのか?」
「もちろんです」
その女が後ろを向いて手を招くように動かすと、人一人が入れるぐらいの大きさの折を持ってこさせた。
「お願い、止めて、森には手を出さないで」
その折の中にはエルフの女性が捕まっていた。
「良いから、あんたはあの森の結界を消しなさい」
「……いや、絶対に結界は解かない!!!」
「そうか、それじゃ、お前の大事な恋人はどうなっても良いと?」
魔族の男がそう言うと、エルフの女性は目を見開いた。
捕まったのは自分だけだと思っていた。自分が何をやられても結界を解かなければ大事なみんなを護れると、そう思っていた。
でも、大事なみんなの中でも絶対に亡くしたくない存在を人質に取られてしまった。
「な……!? わ、私に恋人なんていないわ」
「そうか、連れてこい」
それから少しして、もう一つの折が女性の入っている折の隣の落とされた。
その折の中は非常に残酷なものだった。
顔面は殴られ蹴られボロボロになり、幾つもの歯が折られていた。腕はあり得ない方向に何回も折れ曲がっている。手は爪を剥がされぐちゃぐちゃにされている。足も同じような光景だ。それでも肺は潰されずにいるらしい。小さく呼吸音がする。
その光景を見たエルフの女性は口元を両手で押さえて目を見開いた。
「……な、なんてこと……」
「お前と同じで口を開かず、俺たちへの助力も拒否した結果だよ」
魔族の女が男の体に触れた。
喉を潰されているので、声が出せずボロボロの体を動かして痛みを逃がそうとするが、その所為で更に痛みが増す。
「お前が俺たちに助力するならこいつの体は完璧に直してやる。だが、断ったらわかるよな?」
エルフは薬屋として働いている者もいるが少数派だ。一つの国に一人いるかいないかだ。そんなエルフを新たに探すより、捕まえたエルフたちを死なないように痛み付けて服従させた方が良い。
エルフの女性は自分も彼と同じ目に合うことを恐れた。そして、自分が助力したら彼を助けてくれると言った。
「わ、分かったは貴方たちに従うわ」
その言葉に魔族の男と女は笑みを浮かべた。
「魔王を殺すための前哨戦の始まりだ!!!!」
「皆様のお姿はこちらから見ておりました。魔王をこの森に入れるかどうかは全員で話し合いを終え、森の中に入れても問題ないと判断いたしました。皆様をエルフは歓迎いたします。私はヌルと申します」
ヌルさんは立ち上がり、小さく呪文を唱えて結界に穴を開けた。
結界に開けた穴は僕たちが全員入ると閉じた。
「それでは、皆様。私に付いてきてください。森の長に会っていただきます」
森の長。一体どんな人なんだろうか? 怖い人じゃ無ければ良いんだけど……。
そんな不安を胸に森の中を進んでいくと、エルフたちの居住区に到達した。
「ここが、私たちの居住区になります。後ほどこの森の地図を渡しますが、皆様もここで寝泊まりしていただきますので、場所は覚えておいてください」
エルフたちは半径十メートルはある木に穴を掘り、その中で暮らしている。木と木の移動はつり橋が掛けられていて、その橋を渡っている。
その橋は高さによって進む木が変わるので気を付けないと木と木の移動で迷子になってしまうかもしれない。
居住区の景色に見惚れて進む足が遅くなったが一旦、僕たちが泊る予定の宿に行くことになった。
「ここが、皆様がお泊りになる部屋です」
聞いたところによると、この森に宿屋なんて存在しない。人族や他種族など、どうやってもこの森には入ってこないし、客人なんて百年に一人も来ない。そんな存在のために宿屋なんて作る意味もない。
「荷物は、無いようなのでこのまま出発します」
場所は覚えたので長が待つ木まで案内してもらった。
その間にも、エルフたちの交換所などがあり、長との挨拶が終わったら寄ってみたい。
「長い間歩かせてしまった申し訳ありません。もう少し頑張ってください。ここが森の長が待っている木になります。ここから更に階段で上まで歩いて頂きます」
その木は今まで見てきた木とは全くの別物だった。
木の太さも一.五倍、高さも一.三倍ほどの大きさなのだ。そして、長が待っている階までの階段が木の周りを待っているので相当数の階段を登らなければいけない。
それから、十分後。ようやく長の待つ階まで登ってきた。
「も、もう……むり……」
「はぁ、はぁ、魔王の俺がここまで疲れる? どんだけ、この階段きついんだよ」
僕たちの階段を登り終えた現状を見たヌルさんは綺麗な九十度に体を曲げて頭を下げた。
「あ、申し訳ありませんでした!!!」
僕たちは何のことだろうかと首を傾げたが、ヌルさんはそのまま続けた。
「この階段は特殊な結界を周りに張っていまして、その結界の効果が『生物がこの階段を登り終えると膝に手を付いて疲れる』という効果なんです。常時付けているんですが、客人が来た時だけこの結界を消すんです……」
先ほども宿屋が無いという理由を聞いた時にも言っていたが、このエルフの森は客人など来ない。
結局のところ何が言いたいかというと、ヌルさん忘れていたんだ。この結界を消すのを……。
「誰にだって、そんな失敗はありますよ。だから、頭を上げてください」
「いいえ、そんな事出来ません! 百年に一度の客人に物凄く失礼なことをしてしまいました」
カリーナは腰に手を当ててヌルさんに言い放った。
「良いから、顔を上げなさい!!!」
「ゆ、勇者様……」
「フォレスが頭を上げなさいと、許しているんだから、貴方はそのまま受け入れればいいのよ!! 今、この場で一番偉いのは長ではなくフォレスよ!!」
ヌルさんは驚いた表情で僕のことを見てきた。
カリーナはどう? 良いこと言ったでしょとでも言いたげな表情で僕のことを見てくる。
二人に視線に僕は苦笑いを浮かべるしか出来なかった。
少し休憩してからエルフの森の長との挨拶が始まった。
エルフの森から少し離れた丘の上。そこには角の生えた大きな魔族と大事なところ以外はさらけ出した服で立っている魔族の女が立っていた。
「魔王様。あそこがエルフの森です」
「そうか。して、中に入る準備は整っているのか?」
「もちろんです」
その女が後ろを向いて手を招くように動かすと、人一人が入れるぐらいの大きさの折を持ってこさせた。
「お願い、止めて、森には手を出さないで」
その折の中にはエルフの女性が捕まっていた。
「良いから、あんたはあの森の結界を消しなさい」
「……いや、絶対に結界は解かない!!!」
「そうか、それじゃ、お前の大事な恋人はどうなっても良いと?」
魔族の男がそう言うと、エルフの女性は目を見開いた。
捕まったのは自分だけだと思っていた。自分が何をやられても結界を解かなければ大事なみんなを護れると、そう思っていた。
でも、大事なみんなの中でも絶対に亡くしたくない存在を人質に取られてしまった。
「な……!? わ、私に恋人なんていないわ」
「そうか、連れてこい」
それから少しして、もう一つの折が女性の入っている折の隣の落とされた。
その折の中は非常に残酷なものだった。
顔面は殴られ蹴られボロボロになり、幾つもの歯が折られていた。腕はあり得ない方向に何回も折れ曲がっている。手は爪を剥がされぐちゃぐちゃにされている。足も同じような光景だ。それでも肺は潰されずにいるらしい。小さく呼吸音がする。
その光景を見たエルフの女性は口元を両手で押さえて目を見開いた。
「……な、なんてこと……」
「お前と同じで口を開かず、俺たちへの助力も拒否した結果だよ」
魔族の女が男の体に触れた。
喉を潰されているので、声が出せずボロボロの体を動かして痛みを逃がそうとするが、その所為で更に痛みが増す。
「お前が俺たちに助力するならこいつの体は完璧に直してやる。だが、断ったらわかるよな?」
エルフは薬屋として働いている者もいるが少数派だ。一つの国に一人いるかいないかだ。そんなエルフを新たに探すより、捕まえたエルフたちを死なないように痛み付けて服従させた方が良い。
エルフの女性は自分も彼と同じ目に合うことを恐れた。そして、自分が助力したら彼を助けてくれると言った。
「わ、分かったは貴方たちに従うわ」
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