幼馴染みの2人は魔王と勇者〜2人に挟まれて寝た俺は2人の守護者となる〜
院長とのお別れ
エクレンとの食事を終えた僕たちは宿屋に戻った。
宿屋に戻ると女将さんから、客人が来ていると言われた。
ーー僕たちに来る客人とは一体?
そんなことを考えながらドアを開けて中に入った。
「よ、久しぶりだな」
そこにいたのは僕たちの育ての親、院長だった。
「え、院長いるの!?!?」
カリーナが僕の後ろか背伸びしながら部屋の中を覗こうとするが僕とリュクスの背中に阻まれて院長を見ることは叶っていない。
その可哀想な姿に僕は少し胸が温かくなった。
カリーナの腰を掴んで持ち上げた。少し驚いたカリーナだったが、院長の姿を見ると嬉しそうに手を振って足をばたつかせ、その足でリュクスの後頭部を蹴っていた。
「カリーナ、その足はわざとか?」
「え? 足? さぁ、どうだろうね」
その会話をしながらも、カリーナはリュクスの後頭部を蹴り続けた。
うん、まぁ、僕がカリーナのことを地面に降ろしたら解決なんだけど、降ろそうとするとリュクスの後頭部を蹴っていた足が僕の顔面を蹴ってくる。その所為でカリーナを地面に降ろすことが出来ないでいた。
今すぐにでも喧嘩が始まりそうな時、院長が本を持って僕の名前を呼んだ。
「フォレス、お前に良いものがあるぞ」
「良いもの?」
なんだろうと、目を凝らして本の表紙をと見上げると、メッチァルさんが屋敷の外には持っていけないと言っていたあの本だった。
それを見た瞬間、カリーナをほっぽり投げてその本を手に取った。
「え、な、なんで院長がこの本持ってるの!?!?」
院長は要らない世話だったかもなと言っていたが、そんなことは無い。
実際、僕がメッチァルさんにお願いしたところで院長がやってのけたようには行かないことは知っている。
「院長!!! 本当にありがとう!!!」
僕が感極まって院長に抱き着いた。
院長は嬉恥ずかしい顔で僕の頭に手を乗せてくれた。
唯一甘えられる相手からのそれに、僕は笑顔が痛いほどに嬉しくなった。
流石に後ろからの視線に恥ずかしくなり院長から離れた。
「それじゃ、俺はここら辺で孤児院に帰ろうかな」
その言葉に、喧嘩していたリュクスとカリーナも動きを止めて院長を見た。
「院長帰っちゃうの!?!?」
「一応、閉じてはいるが孤児院もそろそろ再開しないといけないんだよ」
僕たちは院長が好きだ。出来ることなら院長も一緒に旅をしたい。けど、院長にも院長のやらないといけないことがある。
僕たちが落ち込んでいるとノルメが一つの提案を出した。
「あのー、お別れって訳でもないと思いますけど、お別れ会ってやらないんですか?」
その提案に僕たちはノルメを褒め称えた。
「ナイス!! 聖女!!! 初めて聖女としての仕事をしたな!!」
「流石、私の大親友!! その考えよく出て来たね!!!」
「ありがとう、ノルメ。早速準備をしようか」
孤児院に帰ってくればいつでも会えると院長は言っていたがそういう事ではないのだ。
「ノルメ。悪いんだけど院長と外に出ててくれないかな?」
「良いですよ。それじゃ、院長行きましょう」
院長とノルメが外に出た後、僕たちは話し合いを始めた。
「リュクス、カリーナ、院長の好きな食べ物って知ってる?」
「「・・・知らない」」
「だよね」
長いこと院長と一緒にいるが、院長の好きな食べ物を僕たちはまだ知らない。
「孤児院で院長の側に一番長くいたのはフォレスだよな」
その通り。だって、この二人いつも喧嘩していて側にいないからな。
昔の二人を思い返していた時、院長と料理をしている時のことを思い出した。
あれは、二人の五歳の誕生日を祝った日。
リュクスとカリーナが遊びに行き、僕と院長で料理を作っていた時だ。
「院長の好きな食べ物って何のな?」
「俺の好きな食べ物か、特にこれと言ってないな」
「えぇ、本当に何もないの!?」
院長は料理作っていた手を止めて考え出した。
少ししてから、院長は口を開いた。
「へー、院長そんなこと言ってたんだ」
「そうそう、院長を喜ばせるためにも二人とも頑張るよ」
「うん!」
宿屋の女将さんに事情を話してキッチンの一部を借りた。
三人で手際よく料理を作っていく。
料理を作り出してから一時間が経過した。
「こりゃあ、驚いた」
僕たちが料理する姿を見ていたこの宿屋の料理人が驚いていた。
「その若さで、無駄が無い。店を出したらパフォーマンスとして取り入れても良いと思うぞ」
出来上がった料理を部屋に持って行き、部屋の飾りつけを行った。
飾りつけが終わったと同時に院長とノルメが戻ってきた。
「お、美味そうだな」
「そうだよ。院長の好きな、僕たちの手料理だよ」
「・・・フォレス、お前覚えてたのか?」
「当たり前だよ!! さ、温かいうちに食べよう」
そして始まった院長の送別会。
今まで話してこなかったことを話したりして、日が昇る寸前まで話し込んでしまった。
後ろでは、カリーナとノルメが横になってぐっすりと寝ている。
「フォレス、リュクス、ありがとうな。俺は、お前たちの父親としてうまくやれてたか? 俺には分からないが、俺にとってカリーナも入れて三人、最愛の息子、娘だ! 辛いことがあったらいつでも孤児院に帰ってきていいんだからな」
院長の頬には一筋の涙が流れていた。
それから、数時間後。院長は歩いて孤児院に戻って行った。
去り際、院長は言っていた・・・
「この世界は、異界の者が奪った世界。俺はこの世界を救えなかった。お前たちなら出来ると信じている」
と。
宿屋に戻ると女将さんから、客人が来ていると言われた。
ーー僕たちに来る客人とは一体?
そんなことを考えながらドアを開けて中に入った。
「よ、久しぶりだな」
そこにいたのは僕たちの育ての親、院長だった。
「え、院長いるの!?!?」
カリーナが僕の後ろか背伸びしながら部屋の中を覗こうとするが僕とリュクスの背中に阻まれて院長を見ることは叶っていない。
その可哀想な姿に僕は少し胸が温かくなった。
カリーナの腰を掴んで持ち上げた。少し驚いたカリーナだったが、院長の姿を見ると嬉しそうに手を振って足をばたつかせ、その足でリュクスの後頭部を蹴っていた。
「カリーナ、その足はわざとか?」
「え? 足? さぁ、どうだろうね」
その会話をしながらも、カリーナはリュクスの後頭部を蹴り続けた。
うん、まぁ、僕がカリーナのことを地面に降ろしたら解決なんだけど、降ろそうとするとリュクスの後頭部を蹴っていた足が僕の顔面を蹴ってくる。その所為でカリーナを地面に降ろすことが出来ないでいた。
今すぐにでも喧嘩が始まりそうな時、院長が本を持って僕の名前を呼んだ。
「フォレス、お前に良いものがあるぞ」
「良いもの?」
なんだろうと、目を凝らして本の表紙をと見上げると、メッチァルさんが屋敷の外には持っていけないと言っていたあの本だった。
それを見た瞬間、カリーナをほっぽり投げてその本を手に取った。
「え、な、なんで院長がこの本持ってるの!?!?」
院長は要らない世話だったかもなと言っていたが、そんなことは無い。
実際、僕がメッチァルさんにお願いしたところで院長がやってのけたようには行かないことは知っている。
「院長!!! 本当にありがとう!!!」
僕が感極まって院長に抱き着いた。
院長は嬉恥ずかしい顔で僕の頭に手を乗せてくれた。
唯一甘えられる相手からのそれに、僕は笑顔が痛いほどに嬉しくなった。
流石に後ろからの視線に恥ずかしくなり院長から離れた。
「それじゃ、俺はここら辺で孤児院に帰ろうかな」
その言葉に、喧嘩していたリュクスとカリーナも動きを止めて院長を見た。
「院長帰っちゃうの!?!?」
「一応、閉じてはいるが孤児院もそろそろ再開しないといけないんだよ」
僕たちは院長が好きだ。出来ることなら院長も一緒に旅をしたい。けど、院長にも院長のやらないといけないことがある。
僕たちが落ち込んでいるとノルメが一つの提案を出した。
「あのー、お別れって訳でもないと思いますけど、お別れ会ってやらないんですか?」
その提案に僕たちはノルメを褒め称えた。
「ナイス!! 聖女!!! 初めて聖女としての仕事をしたな!!」
「流石、私の大親友!! その考えよく出て来たね!!!」
「ありがとう、ノルメ。早速準備をしようか」
孤児院に帰ってくればいつでも会えると院長は言っていたがそういう事ではないのだ。
「ノルメ。悪いんだけど院長と外に出ててくれないかな?」
「良いですよ。それじゃ、院長行きましょう」
院長とノルメが外に出た後、僕たちは話し合いを始めた。
「リュクス、カリーナ、院長の好きな食べ物って知ってる?」
「「・・・知らない」」
「だよね」
長いこと院長と一緒にいるが、院長の好きな食べ物を僕たちはまだ知らない。
「孤児院で院長の側に一番長くいたのはフォレスだよな」
その通り。だって、この二人いつも喧嘩していて側にいないからな。
昔の二人を思い返していた時、院長と料理をしている時のことを思い出した。
あれは、二人の五歳の誕生日を祝った日。
リュクスとカリーナが遊びに行き、僕と院長で料理を作っていた時だ。
「院長の好きな食べ物って何のな?」
「俺の好きな食べ物か、特にこれと言ってないな」
「えぇ、本当に何もないの!?」
院長は料理作っていた手を止めて考え出した。
少ししてから、院長は口を開いた。
「へー、院長そんなこと言ってたんだ」
「そうそう、院長を喜ばせるためにも二人とも頑張るよ」
「うん!」
宿屋の女将さんに事情を話してキッチンの一部を借りた。
三人で手際よく料理を作っていく。
料理を作り出してから一時間が経過した。
「こりゃあ、驚いた」
僕たちが料理する姿を見ていたこの宿屋の料理人が驚いていた。
「その若さで、無駄が無い。店を出したらパフォーマンスとして取り入れても良いと思うぞ」
出来上がった料理を部屋に持って行き、部屋の飾りつけを行った。
飾りつけが終わったと同時に院長とノルメが戻ってきた。
「お、美味そうだな」
「そうだよ。院長の好きな、僕たちの手料理だよ」
「・・・フォレス、お前覚えてたのか?」
「当たり前だよ!! さ、温かいうちに食べよう」
そして始まった院長の送別会。
今まで話してこなかったことを話したりして、日が昇る寸前まで話し込んでしまった。
後ろでは、カリーナとノルメが横になってぐっすりと寝ている。
「フォレス、リュクス、ありがとうな。俺は、お前たちの父親としてうまくやれてたか? 俺には分からないが、俺にとってカリーナも入れて三人、最愛の息子、娘だ! 辛いことがあったらいつでも孤児院に帰ってきていいんだからな」
院長の頬には一筋の涙が流れていた。
それから、数時間後。院長は歩いて孤児院に戻って行った。
去り際、院長は言っていた・・・
「この世界は、異界の者が奪った世界。俺はこの世界を救えなかった。お前たちなら出来ると信じている」
と。
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