幼馴染みの2人は魔王と勇者〜2人に挟まれて寝た俺は2人の守護者となる〜

海月結城

3人の無双〜リュクス&カリーナ〜

 そして、俺たちは30万の魔物の目の前に立っていた。
 それぞれが、およそ10万の魔物を倒す。それが、フォレスから俺たちに伝えられた命令だ。

「やるか。『纏闇てんあん』」

 纏闇は自分の持っている武器に魔王の闇の力を纏わせる事が出来る。触れたものを闇の中に消し去る事が出来る。魔力も何もかもすべて。

「これで、血肉が残る事もない。そこから素材を盗むことも出来ない」

 そこは魔王。こんな大量な魔物を倒し終えて、素材の価値が暴落する事を無意識の内に防いでいるのだ。
 リュクスはスッと息を吐いて、魔力を解放した。魔力の波動は魔物を襲い、冒険者を襲った。

「な、なんだ、この魔力は?!?!」
「お、重すぎる……」

 その時、30万もの魔物を逃さないように魔力の壁が現れた。

「これは……フォレスか。……敵わないな」

 これで、冒険者を襲っていた魔力はその壁に阻まれて外に出ることは無くなった。

 それを感じ取ったのかリュクスはさっき出そうとした魔力の倍の魔力を解放した。

 すると、リュクスを中心にブワッと風が舞い、リュクスの身体の周りを闇の黒い魔力が纏っている。
 狼のような魔物がリュクスに爪を立てて跳んできた。しかし、リュクスが纏っている魔力に触れ消え去った。それをみて、魔物達は俺こそがこいつを殺す!! と意気込んで飛んで来た。しかし、リュクスに触れる前に身体と武器に纏わせている闇の魔力で消え去って行く。

「お、でかいの出て来たな」

 雑魚を約2万の魔物を殺した。すると、奥の方から約5mはある巨体の魔物が姿を現した。
 それが見えた瞬間。リュクスの影からその魔物の右手が攻撃してきた。ギリギリ眼の端で捉える事が出来て避ける事が出来た。

「あっぶな。けど、俺の魔力で……ありゃ? 手が消えてない。耐性でも付いてるのか? それに、影を使う魔法か」

 リュクスは身体に纏っている闇の魔力を少し手に集めた。それをボールの様に投げる。魔物には当たらず上の方を通って行く。そして、四散し雨のように降り注いだ。
 それは、5メートルを超える魔物に降り注いだが、その魔物だけは消えずに生き残った。

「んー。ダメか。それじゃ、武器の『纏闇』は解いて問題無いな。ってか、面倒くさいな、お前達は一瞬で終わらせてやる」

 リュクスは体に纏っていた闇を解き、1万の魔物の中心に跳んだ。そして、新たに魔法を使った。風で魔物を中心に引き寄せ台風の様にした。そこに、炎と水を合わせた。すると、魔物の体は千切られ燃え水で体が突き抜けられる。一瞬で5mもの巨体を持ったの1万の魔物は跡形もなく死んでいった。
 そして、残りの魔物を倒した。

「さて、終わったしカリーナの手伝いでもしますか」

 時は少し遡り、カリーナの方も無双していた。
 カリーナ自身少し戦闘狂の部分があるので今は物凄く楽しんでいる。

「ほらほら!! 私の剣の錆にしてあげる!!」

 4、5体の魔物が襲って来ても数秒のうちに剣で切り裂いて行く。そこで、本人でも知らない勇者の力が発揮されていた。勇者の剣には倒したものの力をほんの少し自分の力に変える能力を持っている。そんな力を持っているとは知らずにその剣でどんどん魔物を倒して行く。

「なんか……力が湧いてくる……?」

 最初に動いていた速度とは今はもう違う。数秒で倒していた4、5体の魔物はもう一瞬で倒せる様になっている。

「アハハ、楽しい……楽しいね!!!」

 その後もどんどん倒しどんどん成長していく。最終的には約百体の魔物を一閃で倒せる様にまでなっていた。

「あれ? もういなくなっちゃった……残念」
「あれ? そっちも終わってたのか」
「リュクス。うん。なんか呆気なかったね」
「そうだね・・・なぁ、力有り余ってないか?」
「・・・有り余ってる」
「やるか?」
「・・・やろっか」

 そして、有り余った力で魔王と勇者が衝突した。

 リュクスが魔力を解放し、カリーナは剣を構えた。そして、カリーナが攻撃を仕掛けた。その動きは今までとは全く違く、リュクスも驚いていた。驚いていたのも一瞬。今までとは違う事を理解してカリーナの攻撃を防いだ。

 カリーナの攻撃は上から振り下ろすような攻撃。それを槍を横にして防ぐ。すると、足元が5mほど沈みクレーターが出来上がった。

 一撃、一撃とカリーナが攻撃を仕掛けるが、リュクスはそれを尽く防ぎ続ける。そして、クレーターが幾つも作られる。

 それを遠くから見ていた者がいる。

「おいおい。あの子供達やばすぎないか?」
「……あ、あぁ。信じられん。あの数の魔物を一瞬でやっちまうなんて」
「それに、まだ足りないのか二人で戦い始めたぞ」
「……確かに、あの二人もやばいが、一番やばいのはあいつだ」
「あぁ、そうだな。また少し離れたところにいる子供だろ?」
「そうだ。あの分厚い壁、そして、二人に誘導した魔物の数。ほとんどあいつが一人で倒したようなもんじゃないか」

 そう。二人は気付いていないが、二人に行った魔物は少し少なかったのだ。魔物を逃さないように作った壁は高さ数十メートルあった。それの3mほどの大きさの壁を他に作り、リュクスとカリーナに行く魔物の数を制限したのだ。

「さて、実験台になって下さいね」

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