幼馴染みの2人は魔王と勇者〜2人に挟まれて寝た俺は2人の守護者となる〜

海月結城

誕生

 僕は転生者だ。生前では幼馴染みの女の子を刃物を持ったストーカーに刺される所をギリギリのところで守り、僕は出血多量で命を落とした。そして、この世界に転生し、魔力がある事を知った。

「この力が有れば、僕は大切な人を守って僕も生きることが出来る。そしたら、どれだけ幸せだろうか」

 そして、僕の修行はまだ身体の出来ていない1歳から始まった。修行といっても動けない身体で天井を見ながらただぼーっとするだけだ。
 魔力がある事は院長が近くで魔力を使っているのを見たからで、使い方なんて分からない。だから、瞑想のような状態を保っている。
 そんな瞑想を続ける中で状況が一変した。

 隣の動けない赤ちゃんが魔力を動かして遊んでいたのだ。僕はそれを見てどうやってるのかずっと見続けている中で、更にもう1人の赤ちゃんが魔力で遊んでいた。
 更に数日が経過したある日。僕の魔力が目覚めた。魔力が目覚めると体の周りが少しポカポカし、薄着を1枚着ている感じだ。
 院長は魔力に気付いた。赤ちゃんを育てたことの無い院長ですら、それが異常だと思っていた。が、性格上の問題か特に気にしていなかった。

 魔力が目覚めたら僕は、誰かを守る為に魔力を盾のようにしたり、鎧のようにしたりして遊んでいた。最初は、ヨボヨボな形の鎧だった。それが、毎日魔力で遊んでいる中でそれがどんどん進化していき、きっちりとした鎧に進化した。
 今まで僕の魔力はただの遊び道具だった。けれども、今初めて魔力が遊び道具から誰かを守る魔力に変化した。

「2人とも!!! ストーップ!!!!」

 2人が離れて再びぶつかる前に、僕は全身に魔力の鎧を着て両手を広げて2人の拳を掴んだ。

「「え!?」」
「ストップ!! まったく、何してるの!?!? 周りを見て!!」

 僕が2人の拳を受け止めて、そう言い聞かせると2人はやっと止まった。周りを見て、自分たちが何をしていたのかをやっと理解した。

「……あ」
「これは……その……」
「2人とも。そこに正座」
「「はい」」

 そこから1時間。きっちりと叱った。2人は既に魔法も使えるので、破壊した畑やボコボコの地面を魔法で直してもらった。それと同時に、数日間を使って畑の拡張、食糧庫を大きく改築した。

「院長。このぐらいで良いですか?」
「おう。3人ともありがとうな。今日は少し豪華な夕飯にするから期待しとけよ」
「「「はーい!!!」」」

 あれから、2年の月日が経過して僕たちは5歳の誕生日を祝っていた。

「リュクス、カリーナ、フォレス。誕生日おめでとう。お前達を拾って5年が経つのか、月日が経つのも早いな。」
「あー、院長泣きそうになってるじゃん」
「な、泣いてねぇ!! これは……あれだ……汗だ!!」
「汗って、言い訳にも程があるよ、院長」

 その時だった。いきなりリュクスとカリーナにそれぞれ違う色の光が降り注いだ。リュクスには黒い光が、カリーナには白い光だった。
 その光が収まった。リュクスとカリーナには特に変化は無かった。ある一部を除いては……。

「リュクス! カリーナ!! 大丈夫!?」
「う、うん」
「な、何だった今の?」
「特に体に変化は……」
「ちょっと、2人ともこっち見て」

 2人は頭に「?」を浮かべながら僕の方を向いた。
 この孤児院には子供でも読める本と言う事で、院長が買った幾つかの本があるのだが、その中に『勇者と魔王』と言う本がある。
 その本の一文にこんな事が書いてあった。

『勇者と魔王のどちらかが倒された数年後に、空から黒い光又は白い光が降り注ぐ。光降り注がれた少年少女が次代の勇者か魔王だ』

 と。

 そして、今その光が2人に降り注いだ。その証拠に瞳の中にそれぞれの紋章が浮かび上がって来た。

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