邪神の力の一部で不死になったんだが!?
冒険者について聞こう
二話目です。少し長くなってしまいました。
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「まず、ギルドにおいては、冒険者同士の戦闘行為は禁止です。それに伴い、特定の場所以外での武器の使用は禁止です。もし、武器を抜いて戦闘行為を行った場合、罰則が与えられます。」
この規則については、当たり前のことですね。街中には武器を持たない街の住人が毎日数多く行き交っています。そんな所を武器を扱う冒険者同士が喧嘩などで武器を抜こうものなら、死人が出ても不思議ではありません。
「また、冒険者同士の問題については基本的にギルドは関与致しません。また、ギルドが仲介していない依頼で発生した問題についても、ギルドは関与致しません。付け加えると、このギルドが仲介していない依頼で冒険者が負った被害についてギルドは一切責任を取りませんので、注意してください。」
この冒険者同士の問題についての規則は、ミーナさんによると過去にギルド職員が冒険者同士の問題に仲裁にしようとした際に、怒った冒険者が振り回した拳が運悪くその職員に当たってしまい、当たりどころが悪かったのかその職員は頭部に大きな怪我をしてしまい、治療院に入院することになったそうです。
その時、職員を殴ってしまった冒険者は、その意図がなかったとはいえもちろん無罪放免になることはなく、ギルドから除名されたそうです。
その事件以来、ギルドにおいては職員が冒険者同士の問題に関与または介入してはいけないという規則ができたそうです。
これについては、ギルドが職員にこの規則を徹底することはもっともだと思います。ギルドもこれ以上貴重な人材に怪我させる訳にはいかないでしょうしね。
「もし、冒険者同士で問題が起こった際は、ギルドの裏に広い訓練場が用意されていますので、そちらで当事者同士の決闘という形での解決を、ギルドはお勧めしています。もちろん、決闘で相手の冒険者を殺すことは禁止しています。」
どうやら、ギルドでは冒険者同士の問題は決闘で解決することを推奨しているようですね。私はあまり戦いで問題を解決することは、簡単だとは思いますが、良い方法とは思えませんね。これも、日本という平和な国で過ごしてきたことの弊害でしょうか。
 「では次に、依頼について説明したいと思います。依頼には大別して四つの種類があります。まず、一つ目は常駐依頼と呼ばれる物です。これは、名前の通り常にギルドが掲示している依頼で、比較的低ランクの魔物の討伐や、一般的な薬草の採取の依頼が主です。また、誰でも受けることが出来ますが、冒険者のランクごとに受けることが出来る依頼が異なりますので、お受けする際は注意して下さい。」
次は、依頼の説明ですね。ファンタジー世界における冒険者の依頼と言えば、この依頼というコンテンツが定番ですね。ゴブリンやスライムの討伐なんて定番中の定番で、とても有名ですよね。
(まあ、先日ゴブリンとは一戦交えましたけどね・・・ロシエルが。)
私は、後ろでロシエルがゴブリンの首を斬り落としたのを、ただ見ていただけでした。
「この依頼を受ける際は、依頼票は受付まで持って来られる必要はありません。ですので、討伐や採取を行ったら討伐部位、または採取した物を受付へ持って行ってください。受付の場所は隣の受付か、正面向かって右側にある掲示板のすぐ横の通路を抜けた先に倉庫に併設された受付がありますのでそちらに提出してください。」
ミーナさんに説明された通り、隣には別の受付が設置されており、そこにはミーナさんと同じくらい美人な受付嬢さんがいます。今は冒険者がいなくて暇なのか、こちらをチラ見しながら様子をうかがっていました。ちょうど私がそちらに向いた時、受付嬢さんと目が合い、彼女は私ににっこりと笑顔を送ってくれました。一様私も口元しか見えていませんが、笑顔でペコリと軽く会釈しました。
隣の受付嬢さんに軽い会釈をした後、次に右の壁に設置された大きな掲示板のすぐ横にある、倉庫とつながっている入り口を見ました。
ここからではよく見えませんが、薄ら血の匂いが漂ってきているので、冒険者が討伐した魔物の解体でもしているのでしょう。時間が出来れば、後で行ってみようと思います。
「次は非常駐依頼です。これは常駐依頼と似ていて、名前の通り常に依頼されているものではなく、街の住人の方や商人、その他に職人の方が必要に応じて出される依頼です。この依頼は、常駐依頼よりも報酬が大きい反面、危険な場所での採取や魔物を討伐することがありますので、一回の依頼のリスクは大きくなります。」
こちらの依頼は先程の常駐依頼よりも、依頼数が格段に多く、冒険者はこの依頼をメインに活動しているそうです。
「もちろん、危険な依頼ばかりではなく街中でのお手伝いやお使いなどの依頼もありますので、新人の冒険者の方でも受けられる方は多いです。ただ、街中である分報酬は常駐依頼より安いことが多いので、魔物との戦いに慣れ、ランクが上がると受けられ方ほとんど居なくなりますが。」
確かに街中での依頼は、街の外で活動する依頼に比べれば、怪我を負うリスクが減ります。
私たちも最初は常駐の薬草採取か、この街中の依頼を受けるのが無難でしょう。
「次に、指名依頼について説明します。といっても、これについては、ランクC以上の冒険者の方が対象ですので、今簡単な説明しますね。この依頼は名前の通り、依頼主から特定の冒険者に対して依頼される物です。このような依頼はリスクが高かったり、特定の技能が必要であったりするので、総じて難しい依頼になります。注意してください。」
これもファンタジー世界においては定番の物ですね。このような、指名依頼という物は、物語では大体厄介ごとの種なので注意が必要ですね。今後もし、私たちに指名依頼された際は、受けるか・受けないかは慎重に行動した方が良さそうです。
(まあ、時すでに遅し、という感じですけどね。)
先ほどの会議室で、ギルドマスターのブロズさんが、この街の領主様からギルドに対して要請されたあれについては、本来であれば指名依頼という形になるんだと思いますが、今回はあまり目立たないようにしたいようなので、要請という形になっているのでしょう。
「最後は、緊急依頼です。これも、名前の通り緊急時に発行される依頼ですね。この依頼では、今までの依頼とは大きく異なり、一定ランク以上のすべての冒険者は強制的に参加が義務づけられています。内容は具体的に、ごく希に魔物の大群が一斉に街へと襲撃してくる際に依頼されます。他には、ここ数十年はありませんが、戦争が起こった際にも国から依頼されたり、後は天災が起こった際にも依頼されますね。」
ミーナさんが最初に例に挙げた魔物の襲撃はいわゆるスタンピードと呼ばれる現象のことですね。様々な魔物が協力して、街を襲撃し蹂躙するとても危険で理不尽な現象です。戦争についても、たくさんの人が不幸になってしまう理不尽なものです。
天災については、おそらく日本で言う地震であったり台風であったりする、自然災害のことでしょう。これもまた、人ではどうすることも出来ない理不尽な現象です。
「そのほかにもいろいろとありますが、そもそも緊急依頼ですからめったに依頼が出されることはありません。それに、この緊急依頼にはランク制限が強く、Cランク以上が対象になることがほとんどです。Dランク以下には街中での活動を頼まれることが多いです。」
冒険者はたとえランクが低くても、日々魔物と戦うことで、一般人よりも優れた力と体力が鍛えられますから、荷物運びだけであっても一般人の何倍もの働きができます。
「では次に、冒険者パーティーと個人ギルドについてお話しします。冒険者パーティーは大体3〜6人程度を基準とした一緒の依頼を受ける仲間のことです。」
パーティーはヘンリさん達みたいな、仲間と一緒に依頼をこなす人たちのことでしょう。
パーティーを組む一番の利点は、依頼中のリスクを大幅に減らすことができる点でしょう。冒険者には常に危険が付き纏います。
さらに、冒険者は一回の依頼で意外にお金がかかります。その点パーティーを組むことで、みんなで分担して依頼に必要な消耗品を準備することで、ある程度出費を抑えることができます。
しかし、もちろんメリットがある分デメリットもあります。それが、依頼の報酬です。
一つの依頼を複数人で受けることで、リスクを軽減する代わりに、報酬が人数分に分配されます。さらに、パーティーの中にはパーティー共有の資金を貯めることもあります。それらの理由から、よくパーティーの仲間で揉めることがあるそうです。
「ギルドでは、4人組での冒険者パーティーを強く推奨しています。理由としては、怪我をする冒険者を減らしたいのが最もな理由です。もちろん、必ずしも組む必要はありません。ソロの冒険者も少ないですが、存在していますので。」
ソロの冒険者については、ラティナさんがそうです。彼女は普段は一人で活動しているそうですが、今回のヘンリさん達のように、臨時でパーティーを組むこともあるそうです。
「グレイシアさんたちはパーティーを組む予定はございますか?もしそのつもりがお有りでしたら、今こちらでパーティーの登録をいたしますが。もしくは、組む冒険者がいないのであれば、こちらで相性の良い冒険者を紹介いたしますが?」
「いいえ。私たちは二人で旅をするつもりなので、パーティーを組むつもりは今のところありません。」
「分かりました。それでは、そのようにいたしますね。」
ミーナさんはそう言って、手元の資料に何かを記入していると、後ろの部屋から他の職員さんが銅色のタグを二つ持って現れました。
よく見ると、その人はなきほどヘンリさんたちと一緒に来たときにミーナさんが、受付の代わりを頼んだ人でした。
「ミーナ、二人のギルドタグが出来たよ。」
「ありがとう、レナ。はいこれ、二人の登録用紙だから保管しておいて、私は最後の仕上げをするから。」
ミーナさんはレナさんと一言二言話すと、今自分が書いていた紙とエナさんが持っていたタグを交換して、再度私たちと向かい合いました。
「では、こちらがお二人のギルドタグになります。」
そう言って、ミーナさんは私たちに銅で出来ていると思われるギルドタグを渡してくれました。
ギルドタグは、表にはランクの表示がされており、裏に私たちのそれぞれの名前と性別、種族の他にいつ・どこで登録したかが表示されていました。
「こちらのギルドタグは、ランクが上がるにつれて銅、鉄、銀、金、ミスリルと素材が変わっていきますので、冒険者のランクについてはギルドタグを提示していただければ、すぐに判別がつきます。」
最初の四つについては、前世でも有名な金属なので分かりますが、最後のミスリルについては、ザ・ファンタジーという金属ですね。まだ、この世界に転生してからそういったものは見たことがないので、とても興味がありますね。
「最後に、そちらのギルドタグに盗難・不正利用防止措置として本人登録をしていただきます。やり方は簡単で、本人の魔力を込めていただきます。もし、魔力を込めることが出来なければ、血を一滴垂らしていただいても問題ありません。」
「これに魔力を込めるとどうなるんですか?」
「はい、このギルドタグには特殊な加工が施されており、一種の魔道具のようになっています。最初に魔力を込めた人以外が魔力を込めると、ギルドタグに刻まれた文字が赤く光ります。本人の魔力であれば逆に青く光ります。」
なるほど、どのような仕組みの魔道具なのかは分かりませんが、効果は分かりました。これで、冒険者に偽装した犯罪者を判別できるわけです。
早速、私たちはそれぞれのギルドタグに魔力を込めました。魔力の込め方、今まで何度も行ってきたので簡単にできました。
私たちが魔力を込めると、ギルドタグに刻まれた文字が青く明滅し出しました。
「はい、これで本人登録は完了しました。もし、ギルドタグの提示を求められた場合は、魔力を込めて見せてください。そうすれば、本人であるかないかは容易に判別できますので。」
「分かりました。」
「では、質問などがなければこれにて冒険者登録を終了とさせていただきます。長い間、私の説明に付き合っていただきありがとうございました。」
「いえ、こちらこそありがとうございました。ミーナさんの説明は丁寧でわかりやすかったです。」
私たちの冒険者登録は、正体がばれることなく無事終了しました。いろいろと誤解してくれたことで、思ったよりもスムーズに登録することが出来ました。
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最後までお読みくださりありがとうございます。誤字・脱字やアドバイスなどのご意見があればコメントしてください。
次回もよろしくお願いします。
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「まず、ギルドにおいては、冒険者同士の戦闘行為は禁止です。それに伴い、特定の場所以外での武器の使用は禁止です。もし、武器を抜いて戦闘行為を行った場合、罰則が与えられます。」
この規則については、当たり前のことですね。街中には武器を持たない街の住人が毎日数多く行き交っています。そんな所を武器を扱う冒険者同士が喧嘩などで武器を抜こうものなら、死人が出ても不思議ではありません。
「また、冒険者同士の問題については基本的にギルドは関与致しません。また、ギルドが仲介していない依頼で発生した問題についても、ギルドは関与致しません。付け加えると、このギルドが仲介していない依頼で冒険者が負った被害についてギルドは一切責任を取りませんので、注意してください。」
この冒険者同士の問題についての規則は、ミーナさんによると過去にギルド職員が冒険者同士の問題に仲裁にしようとした際に、怒った冒険者が振り回した拳が運悪くその職員に当たってしまい、当たりどころが悪かったのかその職員は頭部に大きな怪我をしてしまい、治療院に入院することになったそうです。
その時、職員を殴ってしまった冒険者は、その意図がなかったとはいえもちろん無罪放免になることはなく、ギルドから除名されたそうです。
その事件以来、ギルドにおいては職員が冒険者同士の問題に関与または介入してはいけないという規則ができたそうです。
これについては、ギルドが職員にこの規則を徹底することはもっともだと思います。ギルドもこれ以上貴重な人材に怪我させる訳にはいかないでしょうしね。
「もし、冒険者同士で問題が起こった際は、ギルドの裏に広い訓練場が用意されていますので、そちらで当事者同士の決闘という形での解決を、ギルドはお勧めしています。もちろん、決闘で相手の冒険者を殺すことは禁止しています。」
どうやら、ギルドでは冒険者同士の問題は決闘で解決することを推奨しているようですね。私はあまり戦いで問題を解決することは、簡単だとは思いますが、良い方法とは思えませんね。これも、日本という平和な国で過ごしてきたことの弊害でしょうか。
 「では次に、依頼について説明したいと思います。依頼には大別して四つの種類があります。まず、一つ目は常駐依頼と呼ばれる物です。これは、名前の通り常にギルドが掲示している依頼で、比較的低ランクの魔物の討伐や、一般的な薬草の採取の依頼が主です。また、誰でも受けることが出来ますが、冒険者のランクごとに受けることが出来る依頼が異なりますので、お受けする際は注意して下さい。」
次は、依頼の説明ですね。ファンタジー世界における冒険者の依頼と言えば、この依頼というコンテンツが定番ですね。ゴブリンやスライムの討伐なんて定番中の定番で、とても有名ですよね。
(まあ、先日ゴブリンとは一戦交えましたけどね・・・ロシエルが。)
私は、後ろでロシエルがゴブリンの首を斬り落としたのを、ただ見ていただけでした。
「この依頼を受ける際は、依頼票は受付まで持って来られる必要はありません。ですので、討伐や採取を行ったら討伐部位、または採取した物を受付へ持って行ってください。受付の場所は隣の受付か、正面向かって右側にある掲示板のすぐ横の通路を抜けた先に倉庫に併設された受付がありますのでそちらに提出してください。」
ミーナさんに説明された通り、隣には別の受付が設置されており、そこにはミーナさんと同じくらい美人な受付嬢さんがいます。今は冒険者がいなくて暇なのか、こちらをチラ見しながら様子をうかがっていました。ちょうど私がそちらに向いた時、受付嬢さんと目が合い、彼女は私ににっこりと笑顔を送ってくれました。一様私も口元しか見えていませんが、笑顔でペコリと軽く会釈しました。
隣の受付嬢さんに軽い会釈をした後、次に右の壁に設置された大きな掲示板のすぐ横にある、倉庫とつながっている入り口を見ました。
ここからではよく見えませんが、薄ら血の匂いが漂ってきているので、冒険者が討伐した魔物の解体でもしているのでしょう。時間が出来れば、後で行ってみようと思います。
「次は非常駐依頼です。これは常駐依頼と似ていて、名前の通り常に依頼されているものではなく、街の住人の方や商人、その他に職人の方が必要に応じて出される依頼です。この依頼は、常駐依頼よりも報酬が大きい反面、危険な場所での採取や魔物を討伐することがありますので、一回の依頼のリスクは大きくなります。」
こちらの依頼は先程の常駐依頼よりも、依頼数が格段に多く、冒険者はこの依頼をメインに活動しているそうです。
「もちろん、危険な依頼ばかりではなく街中でのお手伝いやお使いなどの依頼もありますので、新人の冒険者の方でも受けられる方は多いです。ただ、街中である分報酬は常駐依頼より安いことが多いので、魔物との戦いに慣れ、ランクが上がると受けられ方ほとんど居なくなりますが。」
確かに街中での依頼は、街の外で活動する依頼に比べれば、怪我を負うリスクが減ります。
私たちも最初は常駐の薬草採取か、この街中の依頼を受けるのが無難でしょう。
「次に、指名依頼について説明します。といっても、これについては、ランクC以上の冒険者の方が対象ですので、今簡単な説明しますね。この依頼は名前の通り、依頼主から特定の冒険者に対して依頼される物です。このような依頼はリスクが高かったり、特定の技能が必要であったりするので、総じて難しい依頼になります。注意してください。」
これもファンタジー世界においては定番の物ですね。このような、指名依頼という物は、物語では大体厄介ごとの種なので注意が必要ですね。今後もし、私たちに指名依頼された際は、受けるか・受けないかは慎重に行動した方が良さそうです。
(まあ、時すでに遅し、という感じですけどね。)
先ほどの会議室で、ギルドマスターのブロズさんが、この街の領主様からギルドに対して要請されたあれについては、本来であれば指名依頼という形になるんだと思いますが、今回はあまり目立たないようにしたいようなので、要請という形になっているのでしょう。
「最後は、緊急依頼です。これも、名前の通り緊急時に発行される依頼ですね。この依頼では、今までの依頼とは大きく異なり、一定ランク以上のすべての冒険者は強制的に参加が義務づけられています。内容は具体的に、ごく希に魔物の大群が一斉に街へと襲撃してくる際に依頼されます。他には、ここ数十年はありませんが、戦争が起こった際にも国から依頼されたり、後は天災が起こった際にも依頼されますね。」
ミーナさんが最初に例に挙げた魔物の襲撃はいわゆるスタンピードと呼ばれる現象のことですね。様々な魔物が協力して、街を襲撃し蹂躙するとても危険で理不尽な現象です。戦争についても、たくさんの人が不幸になってしまう理不尽なものです。
天災については、おそらく日本で言う地震であったり台風であったりする、自然災害のことでしょう。これもまた、人ではどうすることも出来ない理不尽な現象です。
「そのほかにもいろいろとありますが、そもそも緊急依頼ですからめったに依頼が出されることはありません。それに、この緊急依頼にはランク制限が強く、Cランク以上が対象になることがほとんどです。Dランク以下には街中での活動を頼まれることが多いです。」
冒険者はたとえランクが低くても、日々魔物と戦うことで、一般人よりも優れた力と体力が鍛えられますから、荷物運びだけであっても一般人の何倍もの働きができます。
「では次に、冒険者パーティーと個人ギルドについてお話しします。冒険者パーティーは大体3〜6人程度を基準とした一緒の依頼を受ける仲間のことです。」
パーティーはヘンリさん達みたいな、仲間と一緒に依頼をこなす人たちのことでしょう。
パーティーを組む一番の利点は、依頼中のリスクを大幅に減らすことができる点でしょう。冒険者には常に危険が付き纏います。
さらに、冒険者は一回の依頼で意外にお金がかかります。その点パーティーを組むことで、みんなで分担して依頼に必要な消耗品を準備することで、ある程度出費を抑えることができます。
しかし、もちろんメリットがある分デメリットもあります。それが、依頼の報酬です。
一つの依頼を複数人で受けることで、リスクを軽減する代わりに、報酬が人数分に分配されます。さらに、パーティーの中にはパーティー共有の資金を貯めることもあります。それらの理由から、よくパーティーの仲間で揉めることがあるそうです。
「ギルドでは、4人組での冒険者パーティーを強く推奨しています。理由としては、怪我をする冒険者を減らしたいのが最もな理由です。もちろん、必ずしも組む必要はありません。ソロの冒険者も少ないですが、存在していますので。」
ソロの冒険者については、ラティナさんがそうです。彼女は普段は一人で活動しているそうですが、今回のヘンリさん達のように、臨時でパーティーを組むこともあるそうです。
「グレイシアさんたちはパーティーを組む予定はございますか?もしそのつもりがお有りでしたら、今こちらでパーティーの登録をいたしますが。もしくは、組む冒険者がいないのであれば、こちらで相性の良い冒険者を紹介いたしますが?」
「いいえ。私たちは二人で旅をするつもりなので、パーティーを組むつもりは今のところありません。」
「分かりました。それでは、そのようにいたしますね。」
ミーナさんはそう言って、手元の資料に何かを記入していると、後ろの部屋から他の職員さんが銅色のタグを二つ持って現れました。
よく見ると、その人はなきほどヘンリさんたちと一緒に来たときにミーナさんが、受付の代わりを頼んだ人でした。
「ミーナ、二人のギルドタグが出来たよ。」
「ありがとう、レナ。はいこれ、二人の登録用紙だから保管しておいて、私は最後の仕上げをするから。」
ミーナさんはレナさんと一言二言話すと、今自分が書いていた紙とエナさんが持っていたタグを交換して、再度私たちと向かい合いました。
「では、こちらがお二人のギルドタグになります。」
そう言って、ミーナさんは私たちに銅で出来ていると思われるギルドタグを渡してくれました。
ギルドタグは、表にはランクの表示がされており、裏に私たちのそれぞれの名前と性別、種族の他にいつ・どこで登録したかが表示されていました。
「こちらのギルドタグは、ランクが上がるにつれて銅、鉄、銀、金、ミスリルと素材が変わっていきますので、冒険者のランクについてはギルドタグを提示していただければ、すぐに判別がつきます。」
最初の四つについては、前世でも有名な金属なので分かりますが、最後のミスリルについては、ザ・ファンタジーという金属ですね。まだ、この世界に転生してからそういったものは見たことがないので、とても興味がありますね。
「最後に、そちらのギルドタグに盗難・不正利用防止措置として本人登録をしていただきます。やり方は簡単で、本人の魔力を込めていただきます。もし、魔力を込めることが出来なければ、血を一滴垂らしていただいても問題ありません。」
「これに魔力を込めるとどうなるんですか?」
「はい、このギルドタグには特殊な加工が施されており、一種の魔道具のようになっています。最初に魔力を込めた人以外が魔力を込めると、ギルドタグに刻まれた文字が赤く光ります。本人の魔力であれば逆に青く光ります。」
なるほど、どのような仕組みの魔道具なのかは分かりませんが、効果は分かりました。これで、冒険者に偽装した犯罪者を判別できるわけです。
早速、私たちはそれぞれのギルドタグに魔力を込めました。魔力の込め方、今まで何度も行ってきたので簡単にできました。
私たちが魔力を込めると、ギルドタグに刻まれた文字が青く明滅し出しました。
「はい、これで本人登録は完了しました。もし、ギルドタグの提示を求められた場合は、魔力を込めて見せてください。そうすれば、本人であるかないかは容易に判別できますので。」
「分かりました。」
「では、質問などがなければこれにて冒険者登録を終了とさせていただきます。長い間、私の説明に付き合っていただきありがとうございました。」
「いえ、こちらこそありがとうございました。ミーナさんの説明は丁寧でわかりやすかったです。」
私たちの冒険者登録は、正体がばれることなく無事終了しました。いろいろと誤解してくれたことで、思ったよりもスムーズに登録することが出来ました。
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最後までお読みくださりありがとうございます。誤字・脱字やアドバイスなどのご意見があればコメントしてください。
次回もよろしくお願いします。
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