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邪神の力の一部で不死になったんだが!?

Mikuzi

一ヶ月間の報告をしよう


 グランドベアとの一件から、すでに一ヶ月が経ちました。私たちは、ある冒険者のエルフの女性と遭遇しました。

 彼女の名前はラティナさん。ファンタジー系のゲームや物語でよく見るエルフの外見をしており、今はケープの様なものを羽織っていてよくは見えませんが、金髪に緑色の瞳のとても綺麗な女性です。

 彼女はこの森にとある依頼で訪れたと話してくれました。その依頼とは、私たちが最初に出会った時に、彼女が追っていた、また、私たちに襲いかかってきた、ゴブリンの上位種である、ゴブリン・ジェネラルと言う2メートル近くある魔物の討伐依頼だそうです。

 私とロシエルは偶然森を彷徨っている途中、逃走していたゴブリン・ジェネラルと遭遇し、ロシエルが一瞬の交戦でそれを倒し、ラティナさんと出会ったと言う形です。

 今私たちはラティナさんが言う、臨時のパーティーメンバーの元へ向かっています。

 そのパーティーは『誓いの剣』と言うラティナさんと同じCランクの冒険者だそうです。

 でも、ゴブリン・ジェネラルとその取り巻き達との戦闘で重傷を負い、逃げたジェネラルは唯一追跡が可能なラティナさんに託して、その場に残ったそうです。


 「逃がして一般人に被害が出ないように、ヘンリ君の咄嗟の指示で私が追いかけたのだけど、結局は間に合わなかったわ。」


 彼女はこう言いましたが、ラティナさんはよく頑張ってくれたのだと思います。

 最初にゴブリン・ジェネラルの接近に気がついた時、ジェネラルは外見的にはともかくとして、かなりのダメージを負っていました。

 話を聞くと、自己回復系のスキルを持っていたようですから、それも含めると、彼女と誓いの剣の方達は相当腕が立つのでしょう。

 彼女と出会うまで私たちは何をしていたのかと言うと、森の中を彷徨っていました。

 何故森を彷徨っていたかと言うと、一ヶ月前に街に行くと決めてから、森を抜けるための道を探し回っていたからです。

 しかも、未だに森を出る道は、分かっていません。

 では、一ヶ月の間彷徨い続けたのかと言うと、そうではありません。

 森の中を彷徨っていたのは、ラティナさんに話したようにここ5日間ほどです。

 ここで、「この一ヶ月は何をしていたのか?」と言うと。

 実は一ヶ月前、グランドベアを倒し帰宅後、数日はグランドベアについて色々と調べたりして過ごしていました。

 さらに、その後グランドベアの調査が終わってから、「さあ街に行こう」と言う時に、私は肝心な事を見落としていたのに気がつきました。



 それは、『私たちの素性について』です。



 何故、私たちの素性について考えなければいけないのかと言うと、私は吸血鬼でしかも始祖です。ロシエルはホムンクルス(人工生命体)ですが、中身は悪魔です。

 普通に考えると、私たちはとても危険な存在です。

 具体的にどう危険なのかと聞かれれば、私もこの世界での吸血鬼や悪魔の扱いがどうなのかは知りません。

 だって私、転生してからまだ1年も経っていませんから。

 しかも、この世界の事を知るにしても、情報源はロシエルと家に残っている、古い本だけです。ちなみに本は研究室にそれなりに残っており、最近は『錬金術についての本』を読んでいます。

 とは言っても、ロシエルについては間違いなく危険視されるでしょう。何故ならロシエルは禁呪を用意て召喚した第二階級悪魔ですから。なので見つかれば、タダでは済まないでしょう。

 とにかく、私たちが街に行くには、自分たちの素性を隠さなければいけません。

 取り敢えずは私たちのことは、旅人と言うことにしておいて、もし、何か問題があればその時に対処することにしました。

 そして、他にもこの一ヶ月の間に、街へと出掛けている間、家をどうするのかや、街で必要になるお金のことなども、どうにかしなければいけませんでした。

 幸いなことに、お金の方は例の悪魔召喚の魔法陣があった地下室の、机の上にそれなりの額が入った袋が置いてありました。

 恐らく、あの日記の人物がホムンクルスの生成に必要な素材の費用のために残しておいた物でしょう。

 ホムンクルスのコアに必要な魔力媒体は、私が作った血晶玉を使ったので、その分の残ったお金はありがたく貰っておきました。

 袋の中には、金貨と思われる硬貨が数十枚も入っていました。お金は数百年もの時が経っていて、今でも使えるのかは分かりませんが、無いよりはマシなのでいいでしょう。

 次に、私たちが留守の間の家の管理などについてですが、家自体は数ヶ月空けていても掃除すれば問題ないと、ロシエルが言っていたので大丈夫でしょう。

 問題は家の守りについてですが、それについても、いい解決方法があったので、問題ありませんでした。

 その方法とは、ちょうど今私が読んでいる本のタイトルにもある、〈錬金術〉です。

 具体的に何をしたかと言うと、〈ゴーレム生成術〉と言うものを使いました。。これは名前の通りゴーレムを人工的に作る錬金術です。

 この術はホムンクルスの生成にも繋がる術で、この系列では初歩の技能だそうです。

 ゴーレムといえば、ゲームなどではゴツゴツした岩などからできた巨体を持っていて、力がとても強いイメージがありますよね。

 私がここで言うゴーレムとは、だいたいそう言うイメージです。

 錬金術の本によると、この世界のゴーレムには三通りあって、一つ目が、今あげた錬金術を使って人工的に作るゴーレムです。二つ目が、土系統の魔法を使って作るゴーレムです。最後の三つ目は自然発生するゴーレムです。

 一つ目と二つ目のゴーレムの違いですが、一つ目の錬金術を使ったゴーレムは、体に使われる素材やコアの性能によって強さが変わります。二つ目の魔法によるゴーレムは、術者の魔力を使ってその場にある土から擬似的にゴーレムを作っています。このゴーレムは術者の魔力の質や技術によって強さが変わります。

 さらに、錬金術のゴーレムはコアから魔力を得て、体の構造を保っているので、コアが破壊されると構造を維持できずに崩れてしまうそうです。

 逆に、魔法のゴーレムは、術者の魔力供給が途絶えない限り、崩れてしまうことはないそうです。

 なので利便性で言うと、ちょっとした用事でゴーレムが必要になった時などは魔法を使ったゴーレムがいいでしょう。

 でも、長時間にわたってゴーレムが必要な場合は、錬金術で作ったゴーレムが最適でしょう。これは体の素材が劣化したり、コアが壊されない限りずっと存在していられますから。

 私が今回選んだゴーレムはもちろん錬金術のゴーレムです。

 作り方は意外と簡単で、ホムンクルスを作る際と手順はほぼ一緒だそうです。

 先ず初めに体の材料となる鉱物などを用意します。

 素材は簡単に作るとなれば、その辺に転がっている岩などでもいいですが、今回は私たちが留守の間を任せるため、しっかりしたゴーレムが必要です。

 なので鉄などの鉱石を使うのがいいんでしょうが、もちろん転生してから数ヶ月の私にはそんな大層なものは持っていません。

 家の研究室にもそれらしい鉱石などはありませんでした。

 どうしようかと悩んだ時、錬金術の本によれば「錬金術においてゴーレムの体となる素材は、単に土や岩などでも良いが、より性能の良いゴーレムを作るのであれば、魔力が宿った素材や魔力伝導率が高い素材であれば、高性能のゴーレムを作ることができる。」と書かれていました。

 私はこの「魔力が宿った素材や魔力伝導率が高い素材」と言う一説から着想を得て、なら私の魔法で作った氷で作ることができるんじゃないかと思ったんです。

 ゲームでもよく普通のゴーレムの親戚みたいな感じでいますからね。

 そんな感じで、私は自分で作った氷を素材にして、コアはホムンクルスの時のような大それた物でなくて、普通に魔力媒体になるものでいいようなので、またまた私の血と魔力が込められた血晶玉を使いました。

 取り敢えず、一体だけ試作で作ってみました。

 ゴーレムを作る際には、ゴーレム生成用の魔法陣を用意して、その上にゴーレムの素材を置きます。最後にゴーレムの姿を想像しながら魔法陣に魔力を込めます。

 私はこの時ゴーレムの姿を、無骨な岩の塊ではなく、カッコいい全身鎧の騎士を想像しました。

 やっぱり、こう言う門番的な存在は前世の男心を刺激されて、全身鎧の騎士を想像してしまいます。

 すると、魔法陣が光り次の瞬間には、目の前に私の想像した通りの氷でできた、青白い全身鎧を着た騎士が佇んでいました。

 初めてできた時は、思わずロシエルが側に居るのにも構わずに、大興奮してしまいました。

 ゴーレムの性能を見るために鑑定を掛けたところ、驚きの性能でした。


    ーーーーーーーーーーー

 【アイスゴーレム】・・・グレイシア・アル・ネヴィカーレの錬金術によって創り出された騎士型ゴーレム。その体は全て、グレイシア・アル・ネヴィカーレが創り出した素材でできており、素材属性も合わさり、一般的なゴーレムを遥かに上回る性能を持っている。

 Name:Unkown
 Class: MagicDoll 〔魔道人形〕
 Rarity:8[Unique〔ユニーク〕]
 Level:30/30
 Exp:0/1000
 Magic:10000/10000
 Quality:A
 Durability:A+
 Skill:
 ・武器系〈剣術I〉〈槍術I〉
 ・魔法系〈氷魔法II〉〈魔力感知I〉
 ・補助系〈気配感知I〉〈再生I〉
 Ability:
 ・強化系〈身体能力強化I〉
 ・耐性系〈物理耐性I〉〈魔法耐性I〉
 ・特殊系〈自動吸収I〉〈自動修復I〉

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 これが私が作ったゴーレムの詳細です。

 鑑定しただけでは、このゴーレムがどのくらい強いのか全然分かりませんが、説明文を読むと、普通のゴーレムよりは性能が良いそうです。

 実際どのくらい良いのかは、実力を見てからでないと分かりませんが。

 錬金術の本によると、ゴーレムはレベルこそ作った時点より上げることができませんが、強化や経験を積ませる事で、より強くなる様です。

 取り敢えずは、初めてのゴーレム生成は成功しました。

 武器はステータスのスキルを見ると、剣と槍の両方を使うことができる様ですが、これは恐らく、私が両方を使うからでしょう。

 他のスキルも私が作った素材でできているので、私の持っているのスキルを元にした構成になっていますね。

 ただ、特殊系のアビリティの自動吸収と自動修復は恐らく、ゴーレムとしての固有のものでしょう。

 自動吸収は必要な魔力を周囲から吸収するものでしょう。これは私の指輪にもついているので分かります。自動修復は魔力を消費して、損傷した部位を自動で修復する様です。

 もし、仮に腕や足を破壊されたとしても、再生のスキルですぐに回復できるので、私たちが留守の間安心できます。

 ここで再生のスキルについて細く説明すると。通常であれば再生のスキルは使用者の体力を消費して傷を塞いだり、高レベルでは失った四肢を再生させることができます。しかし、ゴーレムの場合は、生命力と呼ばれるものがなく、代わりに耐久値が体力となるようです。そして、再生のスキルは生命力の代わりに蓄積魔力を消費して再生のスキルを使うようです。

 試作ゴーレムが見事完成したので、私は家を囲む壁に沿う形で、一定間隔を空けてゴーレムを配置することにしました。

 創り出したゴーレムは合計で15対。流石に1日で15個の血晶玉を作る事は精神的に疲れるので、それはやめて1日に一体ずつ丁寧に作っていきました。

 武器に関しては、ゴーレムの体の素材と同じ私が魔法で作った氷の剣と槍をそれどぞれ七本ずつ用意しました。

 ・・・皆さん疑問に思ったかもしれません。作ったゴーレムは15体、なのに用意した武器が全部で14本。一本足りませんよね。

 でも、問題ありません。最後の一体は他のゴーレムと違った特殊なゴーレムだからです。

 それがこちらです。


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 ・【アイスゴーレム・スパーダ】・・・グレイシア・アル・ネヴィカーレの錬金術によって創り出された騎士型ゴーレム。その中でもグレイシア・アル・ネヴィカーレに近づけた姿をしており、女性姿の騎士型ゴーレムとなっている。その体は全て、グレイシア・アル・ネヴィカーレが創り出した素材でできており、素材属性も合わさり、一般的なゴーレムを遥かに上回る性能を持っている。

 Name:Unkown
 Class: MagicDoll 〔魔道人形〕
 Rarity:9[Epic〔エピック〕]
 Level:40/40
 Exp:0/1500
 Magic:15000/15000
 Quality:A+
 Durability:A+
 Skill:
 ・武器系〈細剣術II〉〈槍術II〉
 ・魔法系〈氷魔法III〉〈魔力感知I〉
 ・補助系〈気配感知I〉〈再生I〉
 Ability:
 ・強化系〈身体能力強化II〉
 ・耐性系〈物理耐性I〉〈魔法耐性II〉
 ・特殊系〈自動吸収I〉〈自動修復I〉

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 このゴーレムは私の姿、と言うよりは私の戦う姿を想像して作ったゴーレムで、この一ヶ月の間の訓練相手として作りました。

 使った素材はほぼ一緒で、一つだけ他とは違うことを施しました。それはコアで、このゴーレムのコアには、家の地下室に残っていたホムンクルス用の素材である、記憶のカケラと呼ばれるものを使いました。

 これはあの日記の人物が、娘さんの体を再現する際に利用したものの様で、この記憶のカケラに、自分の記憶に残る者の情報を保存できる物だそうです。

 彼はこのカケラを使って、あそこまで精巧な娘さんの体を完成させたのでしょう。

 私はこれを利用して、自分に似たゴーレムが作れないか試してみたんです。

 先ず、記憶のカケラに私の戦っている姿をロシエルに込めてもらい、それをコアと一緒に体となる氷の上に置きゴーレム生成を行いました。そしたら、意外とあっさり成功しました。

 記憶のカケラはその場に落ちていて、再度利用することができるようです。

 ゴーレムは私と同じ体格になりましたが、外見では私が騎士の姿を想像して生成したので、女騎士の外見をしています。

 名前の後についているスパーダと言うのは[剣]を意味するイタリア語です。恐らく私が剣を主に使うゴーレムをイメージしてもらったからでしょう。

 彼女にはこの一ヶ月の間いい訓練相手となってもらい、自分の欠点を見つけて修正することができました。

  ここでゴーレムの行動原理についてですが、基本は根底となる命令を元に指示行動はもちろん、自立行動も可能だそうです。

 ゴーレムは基本的に登録者の命令以外は言う事を聞かないらしいので、私が事前に命令を出さないといけません。

 取り敢えず、私たちが留守の間ゴーレムには、「許可なく立ち入ろうとした者は無力化して私に報告せよ。」と言う命令と、「攻撃性を持った魔物は排除せよ。」と言う、二つの基本命令を与えておきました。

 彼女は今回の留守の間は、最も重要な研究室の守りをお願いしました。基本命令は上記の命令に加えて、「私が留守の間、研究所を死守せよ。」と言う命令を与えました。


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 この一ヶ月間はこんな風に、色々な事を試して過ごしました。

 そのおかげもあり、スキルのレベルアップの他に、〈錬金術〉と〈ゴーレム生成術〉のスキルをゲットできました。その他にもいくつか新しくゲットしたスキルがありますが、それはまた今度、報告することにします。

 そして、私たちは5日前に漸くリカレオの街に向けて、家を出発しました。

 この5日間も、いろいろな発見や体験があって、とても充実した一時でした。


 「誓いの剣と別れた所まで、後もう少しよ。あなた達のことは私が説明するから、必要以上に警戒しなくて大丈夫よ。」


 そんな事を話しているうちに、もう大分歩いた様です。ラティナさんがこちらに振り向いて、そう説明してきました。


 「はい、お願いします。」


 私は全て彼女に任せるつもりなので、笑顔で返事を返しました。

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 最後までお読みくださりありがとうございます。誤字・脱字やアドバイスなどのご意見があればコメントしてください。

   次回もよろしくお願いします。

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