異世界召喚のジーンマジック(仮)

et cetera

2話 ミスっちゃいましたてへぺろ☆‎٩(๑>؂<๑)

 今まで経験した全てが記憶が、襲いかかってくる。生まれた頃の記憶も忘れたはずの記憶も、楽しい記憶、悲しい記憶、悔しい記憶、どうでもいい記憶、全ての記憶が何回も何回も永遠にループし続ける。まるで子供の時に見た悪夢のように。

 突然、逃れることの出来ないと思っていた記憶の嵐は終わりを告げる。

 傷ついた心を癒すような温もりと香り、子供をあやすような優しい声が体中を包み、闇のように重く暗い眠りから俺は目を覚ました。

 ゆっくり目を開けると少女が微笑んでいた。優しく頭を撫でながら膝枕をしてくれたようだ。

「おはようございます、燈夜さん。大丈夫ですか? 私の手を握りしめて離さないぐらい怖い夢を見たんですか?」

 膝枕で顔が近く手を握っていた恥ずかしさもあり、俺は離れようとするが体を押さえられる。

「そんなに照れなくてもいいんですよ? 」

「べッ別に照れてないし! そっちだってさっきの泣いてた顔すっげー酷かったけどね!」

「仕方ないじゃないですか! 間に合わなかったかと思ったんですよ! 」

 ふくれっ面になりながら怒る少女に少しだけドキッした

「あのさ、色々説明してくれない? 君の名前とか、ここが何処とか、さっきの死にかけたやつとか」

「分かりました。まず自己紹介からしますね。私の名前はフィレーナです。世界で一番偉い神様をしています! 」

「神ってあの? ヒゲモジャの仙人みたいでギリシャとかの神話の人? 」

「そうですよ大体はそれでであっていますよ」

「中学生ぐらいにしか見てないけど何歳なの?」

「これでも神様の中で1番年上で一番偉いんですよ!でも女性に年齢を聞くのはだめ!ですよ。」

「ゴメンな、でも神様で、一番偉いのってゼウスとかブラフマーじゃないの?」

「それは地球の中での神様のグループ内での話ですよ。例えば神様っていう会社があって、そこの地球課の日本地域担当やインド地域担当みたいな感じですね。」

「へぇーそうなんだ。ならフィレーナはどこの担当なんだ? 」

「私の担当は神様たちの監視とかですよ。」

「えっ、監視ってやっぱり悪い神様とかも居るの? 」

「そうですよ!今あなたがここにいるのも悪い神様、悪神のせいなんです!」

 そう言うと彼女は指をならす、すると空中に映像が現れた。俺は起き上がり映像を見る。そこには蛇に似た顔の20代後半の男と惑星、見たことの無い文字が映っていた

「こいつが管理世界347ー345ー666、通称ヴァーガンガルムで、各国が戦争をするように仕掛けていたんです。」

「それがなんで関係あるの?」

 彼女がまた指をならすと、また映像が変わった。そこには城と古い本と魔法陣が写っている。

「この国は悪神のせいで悪い魔族に襲われていて、その対抗策としてこの古い本からほかの世界の人を召喚する魔方陣をみつけ、異世界からの召喚をしたんです。」

「なら俺はこの悪神と魔族と戦わないといけない感じ?」

「悪神は捕まえたから戦わなくても大丈夫ですけど、魔族の方と戦わないといけないのです」

「それって神様の力で解決できないの?」

「神の力を使って干渉して世界がひとつ消えたことがあってそれから世界に干渉することを禁止にしたんです。」

「なら召喚をキャンセルとかは?」

「キャンセルするのも禁止です。今あなたはヴァーガンガルムと繋がっているので干渉にあたります。ごめんなさい」

 そう言うと彼女は目じりに涙を浮かべながら頭を下げた。

「まー、向こうの世界には飽きてたしこっちの世界の方が面白そうじゃん。少し家族が心配だけど。」

「本当にごめんなさい」

「大丈夫だって。そこまで気にしてないからさ。でもさなんで死にかけたの?」

「それは.......燈夜さんが召喚されたのに気づいて急いでこちらの世界に呼んだんです。でも慌てていて少しミスっちゃいました!てへぺろ☆‎٩(๑>؂<๑)」

 俺は不覚にもその仕草に見とれてしまい、その照れ隠しでフィレーナにデコピンをした。

「てへぺろじゃないわ! 死ぬところだったんだぞ!」

「痛いです。暴力反対です。泣きますよ。」

「ハイハイ分かったから。それでどうやって助けたの?」

「それはですね、新しく体を創りました!! 」

 そう言って少女にしては大きい胸をはる。

「創りましたってこれ俺の体じゃないの?え?」

 フィレーナが指を鳴らすと鏡がでてきた。

 俺は鏡で全身を確認してポージングをすると違和感に気づく。

「なんか元の体より筋肉がついて体が締まってるんだけど」

「それはですね。作ったからだの持ち主の1番のピーク時を作成するからです」

「ピークのときを作るってそんなことも出来るのか。一体どうやって作ったんだ?」

「それはですね某片手片足が鋼でできてる錬金術師の兄弟が作った方法とほとんど一緒です。まー、素材はとかは何百倍もいいのを使ってますけど。」

「人体錬成したのか。等価交換は無いのか?」

「そこはですね神の力を使いました。完成した時はソフトボールぐらいの玉なんですけどそれに燈夜さんのDNAを入れれば燈夜さんのホムンクルスができるんですよ。」

「そんなことが出来るのか。フィレーナは凄いな! 」

「これでも神様ですよ? しかも私が人間の第1号を作ったんですから」

「第1号をはどうなったんだ?」

「えっとですね。勝手に大事な果実を食べちゃったのでそれに起こった友達が勝手に追放しちゃったんです。」

「なんかそれ聞いたことあるな」

 それから色々なことを話一段落つくとフィレーナは椅子とテーブルを作り出した。

「ではここからが本題何ですけど私がミスをしたお詫びにスキルを複数上げます。なにがいいですか?」

「今から行く世界はレベルとかあるのか?」

「ありますよ。スキルの方はLv10までですが。あと、一般人がLv20、普通の剣士ならLv30ぐらいですかね。」

「なら経験値二倍とかは?」

「それなら燈夜さんのからだは特別性なので経験値二倍とか入らないですよ。全ての属性魔法の適性もありますし。」

「基礎ステータスはどうなってるんだ?」

「Lv1でオール500ぐらいですかね一般人は10ぐらいですね。」

「そっかー。なら小説とかにあるスキルでもいいか?」

「即死とか攻撃無効とかあまりにも不公平なのはダメですよ。」

「なら知識系は?世界中の知識とか」

「そうですね」

 そう言うと彼女は顎に手を当ててしばらく考え込んだ。

「知識を一気に与えるとパンクするのでAIが補助をするという形なら大丈夫だと思います」

「AIですけど、毒舌系とアホの子系と私どれにしますか?」

「それしかないの?普通のとか」

「ないです。あったとしても面白くないです。」

「ならおすすめは?」

「そーれーはー、もちろん、わ・た・し♡」

「ならアホの子で。」

「えっ!なんでですか!。私じゃダメなんですか?! 私はいらない子ですか?」

 目じりに涙を浮かべ悲しそうな顔をすると、とうとう泣き出した。少し罪悪感を感じた俺は慌てて慰める。

「冗談だって! 少し恥ずかしかったからら言っただけで本当はフィレーナがいいんだ!」

「ほんとに? フィーナがすきなの? ウソじゃない?」

 俺はいきなりフィレーナが幼児退行したことに、驚き、混乱しながら抱きしめ頭を撫でてあやす。

「ほらよしよし、ごめんね。フィレーナが可愛かったから少し意地悪しただけだからね。もうしないから泣き止んで。」

「うん。もう泣かない。もうしないでね、とーや。」

 そう言って目を擦り涙を拭くと俺の真横に座った

「他に欲しいスキルある? トーヤ」

「そうだな無限に収納出来るスキルはどうだ?」

「それならあるよ。亜空間庫アイテムボックスって言うスキルが。」

「そう言えば、向こうの世界はタバコってあるのか?」

「向こうの世界にはね、ないよ。」

「ならコピーするスキルはあるか?」

「コピーするスキルはあるけどものによってコピーできる回数があるよ。他にはなんでも創造出来る魔法スキルならある。どれにする?」

「なら創造するスキルにするよ。そっちの方が使える幅が広いから。」

「わかった。他には何が欲しい?」

「うーん? もうほとんどないしない。あっ! そうだ。この世界にフィレーナに会いに行けるスキルはない?」

 そう言うとフィレーナは俺に抱きついた。

「燈夜ありがと。実は向こうの世界に行ったら燈夜をこの世界に呼べないの。だからもう少しでお別れだってすごく悲しかったの」

「でも、燈夜から逢いに来てくれれば問題ないの。」

 と、言うとフィレーナは何かを作り始めた。少しすると、とても綺麗なネックレスになっている鍵を燈夜に渡した。

「この鍵はこの世界に来るための扉を開ける鍵だよ。いつでも来ていいからね! 」

 そう言って鍵を首に掛けてくれた。

「それじゃスキルを渡すね。まず人工知能AI次に亜空間庫アイテムボックスこのスキルは、種類別に分けて入れておくことが出来るからね。最後に創造魔法。これは魔力でなんでも作れるけど、高価だったり貴重なものはそれだけ魔力が必要になるからね。」

「それじゃ行ってくるね」

 そう言うとフィレーナは抱きしめてきた。

「あんまり私の事忘れないでね。向こうの世界は危険だから気をつけてね。それと他に可愛い子が居てもあんまりたくさんの人と付き合わないでね。」

 2人は少しの間抱きしめ合い、名残惜しむようにゆっくり手を離す

 すると今までのことが幻のように、少女しか居ないただ広い世界が広がっていた。今そこにあるのは押し殺したように泣く少女の鳴き声だけだった。

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