ストレイ・ラム

Motoki-rhapsodos

第37話

「彼女を買い被るのは勝手だが、現に彼女は相手を庇ってる。あの学園で、まだ教師をしているのがその証拠だ。すぐにクビになっても文句は言えない――それ程の事をしてる筈だからな、彼女に」

「先輩に?」

「ああ、『恋は盲目』とはよく言ったもんだな。馬鹿な奴程、盲目になり易い」

あからさまな嫌悪の表情を見せた松岡は、吐き捨てるように言葉を続けた。

「あの女がどう考えようが、どうなろうが、それこそ知ったこっちゃないがな、俺は嫌なんだよ、間接的にせよ、生徒を事故に遭わせといて平気で学園に来れてる、馬鹿教師がいるって事がな。同じ空気を吸ってるってだけでも、ヘドが出る」


――佐藤の意識はまだ戻っていない。


松岡の事だ。それこそ佐藤の為に腹を立てているという事はないだろうが、ここまで感情を露わにした彼を見るのは初めてだった。

「それで? 今日はどうするって?」

「だから、今日はまた学園に舞い戻って校舎の中で息を顰めとくんだよ、ジッとな。相手が自分から名乗り出ない以上、俺達から迎えに行くしかないだろう? 今度は俺達が追跡者となって、奴等を追い詰めていくんだ。徹底的にな」

目に見えない相手を鋭い瞳で威嚇した松岡は、ハタッと足を止めた。

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