ストレイ・ラム

Motoki-rhapsodos

第26話

「……あの。佐藤さんの事故って、詳しくご存知なの? 誰かに追われていたとか、さっき――」

「ああ、彼女とは友達なのでご両親から聞いたんですよ。突然道路に飛び出したようで、目撃者の話では、誰かに追われている様子だったとか。追っていた人の事は、誰も見ていないそうですけれど。……あなたの曾爺様の時と一緒ですね。灯りが消えて、事故に遭う。――こりゃ、本物かもしれませんよ。鎧武者の呪いは」

「え、ええ……」

薄い微笑みを浮かべた松岡は、ジッと彼女の手を見つめていた。スカートを掴んだその手が、小さく震えている。

コツンとテーブルを人差し指で叩いた松岡に、ピクリと微かに肩を揺らす。

「おっと失礼。じゃあ俺達はこれで。二時限目までの残り時間、有効に使わないとな」

スックと立ち上がった松岡は、両手をズボンのポケットへと入れると楽しげに肩を震わせた。

「校内で寝れそうな場所ってやっぱ、屋上かなぁ。どう思うよ? 山下」

欠伸混じりに言った松岡は、そのままドアへと足を踏み出した。






          

コメント

コメントを書く

「推理」の人気作品

書籍化作品