ストレイ・ラム

Motoki-rhapsodos

第20話

「なんだかよく解んねぇけど、お前の助けになってくれそうな人、俺等知ってんぞ」

松岡の言葉に、俺は顔を向けた。

「――あ。もしかして、依羅さん!」

顔を指差した俺の手を弾いて、松岡が頷く。

「そう」

「そいつはすげぇ! あの人が相談乗ってくれんの?」

「そりゃ乗ってくれるさ。で、どーする? 相談してみっか?」

眉をそびやかして訊く松岡に、新田がそっと微笑んだ。

「そーだな。君達がそこまで自信満々に言う人なら、何かいい助言をしてくれるかもしれない」

「期待は裏切らないと思うぜ」

「そうそう。スゲー人みたいだからさ」

先に歩き出した俺達の後をついて来る新田を盗み見た松岡が、顔を逸らせボソリと呟いた。

「今日、思い出しといてよかったな」

「ああ。『借り』を忘れるなんて、最低なヤツになるトコだった」

ポリポリとこめかみを掻く俺に、クスリと笑った松岡が威張るようにして胸を反らす。

「俺の、お陰だな」

少し上から見下ろす顔に、素直に認めてやるのもなんだか癪で、俺は即座に否定した。

「いいや」

言って、ゴシゴシと子犬の頭を撫でる。

「こいつのお陰さ」

一瞬首を窄めた子犬が、松岡の腕の中から不思議そうに俺の顔を見上げた。


          

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