日常【BL】
わが身ひとつの 7
しばらく車で走って着いた『肝試し』の場所は、山の中にある廃病院だった。
「ここは~、ケッコー有名な幽霊スポットなんだぜ」
車を降りながら竹内が言う。
「頭のおかしくなった奴等を閉じ込めておいたとか~、結核の奴を隔離しておく病院だったとか~、戦時中の実験施設跡地だとか~、色々言われてるみてぇ」
雑草の先にある元々は白いだろう建物は、風化して建物自体が傷んでいる上に、闇が降りてどす黒い物体と化していた。
2階建て、いや3階建てだったのか。一部が崩れて、歪な形をしている。
「何あれ、スゲー怖いじゃんッ!」
いろんな意味でッ。
俺の叫びに竹内が笑いながら身を屈め、どこに隠していたのか2本の懐中電灯を車の中から取り出した。
「ふた手に分かれて、散策しようぜ」
そのうちの1本を、当然のように祐志へと渡す。
もうこの時点でなんだかグループ分けされていて、祐志の隣には坂城先輩が立っていた。
祐志は視線で「どうする?」と問いかけてきているが、この状況で「祐志と行きたい」なんて言えやしない。
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