日常【BL】

Motoki-rhapsodos

しづこころなく 20

違うのか? と顔を覗き込むと、弘人は驚いた顔のまま何度か頷いた。

「じゃあいいじゃん」

俺はコーラを開けて、ゴクリと咽喉に流し込んだ。

「お前が買ってくれたこれは、マジで美味いけど」

なんだそれ、と笑う弘人に、俺はさっきの言葉の『お返し』にと言葉を綴った。

「誰のでもいいって訳じゃねぇけど、俺は誰かの『特別』になんの、結構好きだぜ。『初めて』貰うのもな。俺だけでいいじゃん。お前の『遠慮しなくていい奴』はさ。他の奴には今まで通り、気ィ遣ってずっと生きてろ」

「エッラソー」

クスクスと笑っていた弘人は、ハタと何かを思いついたように、悪戯っぽい瞳をこちらへ向けた。

「なんかー、『初めて』貰うの結構好きってヤラシくない?」

「ヤラシくねぇよ」

「えー? 祐志君は今までにいったい何人の女の子の『初めて』貰ったワケ?」

興味津々に訊いてくる弘人に、低く一言「死ね」と返してやる。

一瞬フンッと鼻に皺を寄せた弘人が、「ここで問題」と突然人差し指を突き立てた。

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