キミと紡ぐ【BL編】

Motoki-rhapsodos

ある事を口にした 第1話


「修はさー、クラシックよりロックの方が好きなんだよねッ」

「は……?」

クリスマスイブの夕方。待ち合わせの喫茶店で席に座るなり、先に来ていた現在の俺の彼女、さつきが言いだした。

呆然とする俺の耳に、店に流れる音楽が流れ込んでくる。

何? クリスマスソングの話? と頭の中で考えていると、フーッと勢いよく溜め息を吐いてさつきは頬を膨らませた。

「中野がー、『修はクラシックの方が好きなんだぜ』って言うのよッ!」

「あぁ?」

どうなのよ! とドンッとテーブルを叩くさつきを、お前こそどうなのよ、と見返す。

「いつもロックの話で盛り上がってんのにねッ。私達!」

いや、そんなに盛り上がっちゃいないだろ。

CDショップのアルバイトをしている為、一応音楽の事は全般的に知っている。だが、特にロックが好きという訳ではなかった。一方的にロックについてしゃべっているさつきに、話を合わせてただけだ。

返事もせずに黙ったままでいる俺の態度が気に入らなかったのか、さつきはアイスレモンティーを持つと、ストローでズルズルと音を立てて啜った。

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